女の人のところへ来たドラえもん

21歳の女の人と43歳の男の人が意気投合し、社会の矛盾に科学的に挑戦していく過程です。                    ブログの先頭に戻るには、表題のロゴをクリックして下さい。                                   数式の変形。必ずひと言、添えてよ。それを守ってくれたら、今後も数学に付き合ってあげる。

持ち上がった卵(その3)

 現在2016年3月23日22時52分である。

 いらっしゃい。

「今日は、どこへ行っていたの?」

 作業所のトントン工房へ行って、栄養のあるお昼を食べて、その後、図書館へ行っていたんだ。

「本屋へ行ったとか、図書館へ行ったとか、本当に本が好きね。」

 うん。これは、本当に小さいときからなんだ。

 渋谷から山手線で、新宿周りで池袋、大塚、巣鴨の巣鴨(すがも)という駅にあった、父の会社のプールへ、連れて行ってもらうときも、父が、

『25メートルを、ビート板で、10往復したら、『船』っていう図鑑、買ってやる。』

などというので、その図鑑、欲しさに10往復したこともあった。

「太郎さん、泳げるのね。」

 いや、ほとんど泳げないよ。

「でも、500メートルも。」

 ビート板があるからだよ。

 クロールでは、25メートルが、やっと。

「それでも、25メートル泳げるんだ。」

 麻友さんは、金づちなのだったね。

「2012年に『1年で100個の苦手克服』っていう目標を掲げて、『泳げるようになる。』も入ってたの。」

 それで、今は泳げるの?

「5メートル。」

 それって、犬かきしてるってこと?

「水に入るのが、恐かったのよ。」

 まあ、私も、水に入るのは、嫌だなあ。

「500メートルも、泳げるのに?」


 教育熱心な父は、SONYの井深大(いぶか まさる)の書いた、『幼稚園では遅すぎる』という本を読んで、我が子を伸ばそうとしたんだよね。

幼稚園では遅すぎる 新装版 (サンマーク文庫 G- 108)

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 そして、私が、3歳のとき、ヴァイオリンと水泳を習わせ始めたのは、知ってるかな?

「3歳で、ヴァイオリン?モーツァルト並じゃない。」

 そんなことを言うけど、何でも私のやることは、自分もやりたがる妹は、同時に始めたから、1歳半だった。

「エーッ、1歳半の子供が弾けるヴァイオリンなんて、あるの?」

 笑っちゃうことなんだけどね、もし、妹が、あのとき始めなければ、こんなことにならなかったんだけど、我が家には、一番小さい『16分の1』という大きさのヴァイオリンがあるんだ。

 そして、私は、1つ大きい、『10分の1』から始めたから、実家には、全部のスケールのヴァイオリンが、きちんと揃っているんだ。

「ちょっと、ちょっと。私だって、ヴァイオリンくらい触ったことあるけど、あれの16分の1の大きさって言ったら5センチメートルくらいにならない?」

 ああ、そういうことじゃないの。『16分の1』というのは、便宜上そう言っているだけで、本当に縮尺が16分の1なわけではないの。

「じゃあ、何が、16分の1なの?体積とか?」

 前、調べたことあったんだ。本当に、数学的には根拠のない数なの。ただ単に、この大きさを、『16分の1』と呼びましょう、というだけなんだよ。

「太郎さんでも、そういう結論に達することがあるんだ。」

 もちろん、徹底的に調べた後だけどね。

 ヴァイオリンの教室にも色々な種類があるんだけど、父が選んだのは、『スズキ・メソード』だった。

「才能教育というものね。」

 あっ、麻友さん、知ってるんだ。

「私も、音楽に携わっている身ですから。」

 じゃあ、スズキ・メソードが、他の方法とどこが違うか知ってる?

「指の練習とか弓の練習とかのつまらない練習はさらっとやって、すぐ曲を弾けるようにするんじゃないかというイメージがあるけど。」

 全然、そういうことじゃないんだ。鈴木鎮一さんの考えたのは、言葉をしゃべれるようになるように、音楽を楽しめるようになることなんだ。

「言ってる意味が分からないけど。」

 つまりね、簡単に言うと、

『音楽を聴いて、『ああ、良い音楽だな。』と思ったら、すぐその場で、ヴァイオリンを取り出して、楽譜がなくとも、その曲を弾けるようになれ。』

というのが、金科玉条なんだ。

「楽譜がなくても、口ずさむくらいはできるかも知れないけど。」

 そういうでしょ。

 実は、私は、スズキ・メソードで、習ったから、楽譜が読めないんだ。

「楽譜がなくても口ずさめる、というのと、楽譜が読めないというのは、違うんじゃない?」

「そもそも、初めての曲を練習するときは、どうするの?」

 だから、スズキ・メソードで、自分の子供を習わせる親は、大変なんだ。

「何が大変なの?」

 つまりね、初めての曲を、先生が弾いてくれたのを、当時は、カセットテープに録音して、さらに親は、曲の細部を覚えて、家に帰ってくるんだ。

 そして、家で、親は、楽譜を見ながら、例えば最初のモーツァルトのキラキラ星変奏曲なら、

『タカタカタッタ、タカタカタッタ』

と、口で言って、子供に、こう弾けというんだ。

「えーっ、じゃあ、子供は、楽譜、見てないの?」

 その訓練を受けているから、今でも私は、スズキ・メソードの標準の楽譜の2巻にある、ベートーヴェンの『ト調のメヌエット』や、ボッケリーニのメヌエットは、楽譜がなくても、練習してなくても、かなり弾ける。

 私にとって、楽譜って、非常に読みにくいものなんだ。

「楽譜が読めないのに、ベートーヴェン交響曲の話をしたり、ソナタ形式の展開部が、なんていうんだから、頭の中で、どうなってるのかしら。」

 でもこれで、母が、音楽の才能がなかったら、ヴァイオリンを習わせられなかったというのが、分かるでしょう。


「太郎さんのお母さまね。(消えたい)」

 麻友さんが、NHK交響楽団との特別コンサートで、キャスリーン・バトルや、サラ・ブライトマンや、美空ひばりや、中島みゆきのように、朗々と歌おうと頑張って、『太郎さんのお母さまどう見てくれるかしら、どう聴いてくれるかしら、駄目だったらどうしよう。太郎さん、さよなら…』と逃げ出したいのは、分かる。

 でも、麻友さんが、結婚式を挙げるのは、母が相手ではない。私が相手だ。

 それに、実は、麻友さんに、とっておきの秘策を思い付いたんだ。

「秘策?」

 これは、母を黙らせるための秘策ではなく、今年の選抜総選挙に関してのもの。

 実は、弟や母が好きな歌手の一人に、エンヤがいるんだ。今日、その歌を聴いていて、気付いたの。

 エンヤって、知ってる?

「歌手だから、もちろん。」

 だったら話が速いんだけどさあ。

 エンヤって、あの声で、歌っているわけじゃないでしょ。

「あれは、確か、デジタル合成。あっ、そうか!私の声も、デジタル合成で、エンヤみたいにしてみるのもいいか。既に、『ヒカルものたち』でやってるし。1,2曲なら。」

 やっぱり、麻友さんは、血の巡りが速い。良かった。

「これで、K.165のコロラトゥーラを、克服できるわね。」

 まあ、この方法を使うかどうかは、麻友さんの好きにしたら良い。アイディアは渡した。

「ありがとう。」


「それで、『卵』は?」

 この投稿は、麻友さんが、あまりに落ち込んでいるので、それを救済する部分が大きくなってしまったんだ。

「どこが救済なの?」

 この投稿を含めて、ブログの到る所から、我が家の人間が、皆それぞれに、音楽が好きだ、ということが、分かるでしょう。

「それで?」

 つまり、音楽の好きな麻友さんに取って、我が家にとけ込んだら、幸せになれるだろうなと、想像できない?

「ああ、そうねぇ♡」


 卵に関しては、

『どんなコップで実験したでしょう?』

という問題を出しておきましょう。


「英語は?」

 用意してあります。上で、『金科玉条』という言葉を使いましたね。

「意味は、分かるわよ。」

 これを、英語でと思って調べてみると、

{\mathrm{a\ golden\ rule}}

である。

 じゃあ、もう一度、サンライズクエスト英和辞典で、

{\mathrm{golden\ rule}}

を、引いてみると、


{\mathrm{golden\ rule}} 名詞
1 {\mathrm{(the\sim)(ときに G-\ R-)}}〔聖書〕黄金律(マタイ伝7章12節にある次の言葉をさす.{\mathrm{Always\ treat\ others\ as\ you\ would\ like\ them\ to\ treat\ you.\ }}何事も人々からしてほしいと望むことは人々にもそのとおりにせよ)
2 可算名詞 行動の指針,鉄則.


とある。

 『a』の場合と『the』の場合で、意味が違うんだね。

 一緒に覚えよう。

「聖書まで出てきちゃって、神がかった講義になってるわね。」


 眠るときは、平和に寝よっ。

「おやすみ。太郎さん。」

 おやすみ。麻友さん。

 現在2016年3月24日1時52分である。おしまい。