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女の人のところへ来たドラえもん

21歳の女の人と43歳の男の人が意気投合し、社会の矛盾に科学的に挑戦していく過程です。

1から始める数学(その9)

 現在2016年5月21日22時14分である。

「私も、ツイッターや、メールを、結構サボるけど、太郎さんも、サボるように、なったわね。」

 麻友さんに対する気持ちが冷めてきたわけじゃないんだよ。

 ただ、私が、夜更かししていて、病気が悪化して、入院を繰り返していて、麻友さんと結婚式を挙げられなくなったら、それこそ人生最大の失敗になると思ったんだ。

「私は、睡眠時間1時間、なんていう時もあるけど、これは、若いからできるのかもね。」

 確かに、それは、あると思う。でも、前に、ナポレオンの死因で示したように、若いときの過労は、早死にを招くよ。せめて、5時間は寝てよ。

「人間に、寝たのと同じように、身体をリフレッシュしてくれる薬なんて、作れないのかしら。」

 作れたとしても、そんなもの飲まない方が良い。

「どうして?」


 電流、つまり電気、の元になっている、電子というものすごく小さい粒は、確かに、永遠に動き続けている。

「原子とは、違うの?」

 原子というのは、電子がマイナスの電気を持っているのと反対に、プラスの電気を持った原子核(げんしかく)というものが、中心にあって、その周りを、電子がグルグル回っているものなんだ。

「ちょっと、イメージできないわね。」

 うん。まだ無理でもしょうがない。

 これと同じような話を、何度もするから、ちょっとずつ近付けば良い。

 とにかく、原子の一部である、電子は、ずっと動きっぱなし。

「止まることは、ないの?」

 ない。

「でも、動いてるうちに、時々止まるとかないの?」

 ウッ、さすが、優等生。目の付け所が違う。


 そもそも、『動いている』って、どういうことか、言える?

「そりゃあ、時速48キロとか、秒速30万キロとか、速さがあって、それが、ゼロじゃないということでしょ。」

 確かに文系の女の子に、これ以上は、要求できないよな。

 その、48キロとか、30万キロというの、地面を基準に測ったの?

「えっ、基準?地面?そっか、どこに対して動いてるか、言わなきゃ、ならないんだ。」

 そう。

 だから、地面を基準にして、時速48キロで動いてるAKB48のトラックなら、麻友さんが、タクシーで、時速60キロで、追い越しながら、麻友さんを基準に測ったら、トラックは反対の方向に、大体時速12キロで、動いてることになる。60-48=12だからね。

「でも、私が、時速60キロで動いているのは、分かるじゃない。だから、自分を基準にしちゃいけないって分かるんじゃない?」

 それは、もっともな言い分。

 でも、麻友さんは、地面を基準にするのを、当たり前と思っている。

「当然じゃない。」

 ガリレオ・ガリレイって、知らない?

ガリレオ・ガリレイ?『Galileo Galilei』って、私の好きな、ロックバンドじゃない。6月に『車輪の軸』っていうベスト・アルバムを出すのよね。」

 そっちに話をふったんじゃなくて、その名前の由来は?

「『ガリレオ・ガリレイ、地動説を唱えた』だったわね。」

 そう。

「でも、地球は、動いてないって言ったんだったわよね。」

 そう言わないと、殺すって言われたからでしょ。

「そうか。だから、『それでも地球は動く。』って、小さい声で言い足したのか。聞かれたら、殺されてたわね。」

 うん。だから、イタリア語ではなく、ギリシャ語で言ったんだという説があることを、私の甥から教わった。

「太郎さん、姪御さんや甥御さんを大事にしてるのよね。私みたいな物騒な商売の人間が、親戚になって、大丈夫かしら。」

 今残っている私達の親戚は、仲良いけど、お互いに干渉し合うことはほとんどないから、麻友さんが来て困ることは、ないと思う。

「でも、人間関係は、大変だから、裁判所なんてものがあるわね。ガリレオは、裁判にかけられたのよね。それで、なんで、ガリレオ・ガリレイだったの?」

 ガリレオは、ギリシャ語でなんと言ったんだった?

「『それでも地球は動く。』でしょ。ああ、だから、地球は動いているから、地面を基準にするのは、おかしいって言いたいのね。」

「じゃあ、何を基準にするのかしら?」

 そもそも、地面を基準にしたのは、地球が動いているように見えなかったからでしょ。

「そうね。」

 つまり、動いていないように見えた地球も動いていた。

「ああ、だから、止まっているものなんて、この世にないと言うのね。」

「最初の『電子は、ずっと動きっぱなし。』って、こういうこと?」

 ちょっと、勘違いさせてしまった部分があるけどなあ。

 ある方向に、同じ速さで動いている、ということを続けられなくて、常に、フラフラと、あっちへ、こっちへ、と、方向も速さも変化させてるんだ。だから、どんなものを基準にしても、動いていることになるんだ。

 こういう運動を、ブラウン運動と言います。

「あれっ、その言葉、前に聞いたことある。」


 はい、さすが、優等生。

 アインシュタインの1905年の3つの論文として、

ブラウン運動に関する論文

光電効果に関する論文

特殊相対性理論に関する論文

の3つがあることを、宇宙の年齢を求めていた頃、話しました。

 物理学をやっていると、本当によく、アインシュタインの名前にお目にかかります。

 やっぱり、今までの物理学者から1人選ぶなら、アルバート・アインシュタインでしょう。

「2人目は?」

 今、話題になっている、量子力学の建設に決定的な役割を果たしたニールス・ボーアかな。

量子力学って?」

 今、話している、電子とか原子核などのものすごく小さなものの動きを扱う物理学の理論。

「原子は?」

 原子も、量子力学で扱うよ。

「じゃ、ちっちゃいものは、全部、量子力学で、扱うの?」

 そうだよ。可愛くてちっちゃい、ベーグルちゃんや、スコーンちゃんなんかはね。

「プリンくんやマカロンちゃんは?」

 実は、大きいものは、小さいものの寄せ集めだから、小さなもののことが分かってれば、大概扱える。

「じゃあ、私が、量子力学、勉強すれば、私のことや、もっと大きく地球のことも分かって、熊本の地震のようなものを予言することができる?」

 ある意味、できるような方法は、手にする。

「本当に?」

 最後に必要なのは、地球みたいに大きなものの、原子全部の動きを計算出来るだけの、速いコンピューターなんだ。

「あっ、そうか。最後はそれか!」

 麻友さん、5月20日の深夜、頑張って英作文してるじゃない。

「見たのね。」

@darren_bousman Can't wait to see the final thing!

I'm so honored to have been able to work with @darren_bousman and @tableforjoe

と書いている。

 麻友さん、誰かにちょっと手伝ってもらった?

「どうしてそう思うの?」

『最後を見るのが、待ちきれない。』

『最後』

を英訳するのに、なかなか日本人だと、

thing

と書けないと思ってね。

 それともう一つ、

to have been able to

という技巧的な英文。

「分かっちゃうのねぇ。どうして分かったの?」

 ただ、私も、こんな英文出てこないな、という箇所を、指摘しただけ。

「なんだ、そうか。太郎さんも大したことないのね。」

 そうだよ。私の英語は、数学と物理学の論文を書けるのがせいぜいだって、言ってるじゃん。

「いや、今は、偉そうなこと言ったけどねぇ。太郎さんの英語力って、生半可じゃないわよ。」

 あれっ、今度は、褒めるの?

「ヒアリングとスピーキングの練習を積めば、技術者の通訳になれるんじゃないかしら。」

 麻友さん。肝腎なこと忘れてる。

「なんだっけ?」

 私が、のろまだということだよ。

「いつ、そんなこと言ったっけ?」

『右がどっちか答えるまで10分かかる少年』

にも、現れているし、そもそも、ツイッターだって、書くのがのろすぎる。

「でも、何かに生かせないかなあ、その才能。」

 一つだけ、のろくても、語学力を生かせる仕事がある。

「分かった。翻訳ね。英語の数学の本を日本語にするのね。それなら、できる。やれば良いじゃない。」

 今、そういうことも視野に入れて、他の人の訳した本の校閲をしていると、前に話したでしょう。

「思い出した。『ブルーバックスけなすつもりで間違い指摘するよ。』って言って、誤植探ししてるってツイートしてきてたわね。『ブルーバックス』って、何なの?」

 良い環境だねぇ。本当に、何でも聞ける。

「私、聞いてはいけないこと聞いたかしら。」

 いや、しょうがないんだよ。文系の人は、ブルーバックスなんて知らないから。

ブルーバックスって有名なものなの?」

 自然科学の分野では、難しい話を、絵や写真なども使って、分かり易く書いたことで有名な、講談社のシリーズなんだよ。

「どれくらい有名なの?」

 理系の学部の大学生で、知らない学生は、1割もいないんじゃないかな。


「あの、聞きにくいんだけど、ガクブって何?理学部ってこと?」

 あっ、そうだね。大学へ行ってないんだもの知らなくても当然だよね。

 大学って、似たようなものに、大学院というものがあるでしょ。

「その区別が、余り良く分からないのよね。」

 これはね、調べても、区別が良く分からないと思うよ。

 日本国内でも、学校によって様々だし、海外まで目を向けると、まったく分からなくなる。

「太郎さんは、どう区別してるの?」

 結局、名前がどうなっているか。どんな資格がもらえるかで、判断している。

「それだけ?」

 後は、自分が2つの大学に行ったことがある経験から、

『これが、大学のイメージ。』

みたいなものを作って、勝手に捉えている。

「そうなのよね。太郎さん、京都大学中退した後、放送大学に入り直して8年半かけて卒業してるのよね。」

「この8年半というのには、京都大学の3年半が含まれてるの?」

 いや、含まれてないよ。

 放送大学で、8年半やったんだ。

「エッ、じゃあ、12年、大学へ行ってるってこと?」

 大学4年、大学院5年、の9年やった人よりすごいでしょ。(笑)

「確かにねぇ。でも、京都大学で取ってあった単位を振り替えられなかったの?そうすれば、5年くらいで済んだかも知れないのに。」

 完璧主義の麻友さんが、そんなこと言うの?

 私も、完璧主義なんだよ。

 京都大学の優が2つしかないような成績を、引きずりたくなかったんだ。

「はっ!そうだった。太郎さんも、完璧主義なんだった。」

「完璧主義の二人が、一緒になったりしたら、困ったことにならない?家を決めるの一つ取っても。」

 多分、大丈夫だと思う。

 私の完璧主義は、ほとんど数学と物理学に関してだから。

「信じるわよ~。」

「それで、学部というのは?」

 『大学卒業』って、みんなが普通に言ってるのは、学部卒業なんだ。

 つまり、通常、高校卒業した後、4年間あるのが、学部。

 それに対し、学部を4年かけて卒業した後、2年で修了するのが、大学院。

「じゃあ、博士って言うのは?」

 そう。博士課程というのがある。これは、修士修了の後、さらに大学院に残って、3年研究して取得できる。

 この場合、面白いことに、例えば京都大学の場合、

京都大学大学院 理学研究科博士課程単位取得退学 理学博士

となるんだ。

「退学って言うの?」

 うん。これは、私も大学院受けたことあるからちゃんと調べたので、確かだよ。


「太郎さん、大学で12年やった後、大学院へも行こうとしたの?」

 そう。2008年の8月に、試験を受けているんだ。

「どこの、大学の大学院?」

 本当は、京都大学の大学院を受けたかったんだ。

 でも、京都じゃ家賃が払えないということで、東京大学の大学院を、受けたんだ。

「今、博士になっていない、ということは、落ちたわけよね。」

 おっしゃるとおり。

「でも、今、言ったように、4年と5年でない学校もあるじゃない。」

 そうなんだ。そもそも、科目ごとに難易度も違うのに、一律で、4年で大学学部卒業、さらに2年で大学院修士修了、後3年で博士取得、なんて決めるのに、無理があるんだ。だから、学校によっては、もっと短いところがある。

 大学に行ってない麻友さんに取っては、異世界のことかも知れないけど。


「太郎さんは、大学院行かれなくて、悔しかった?」

 あの頃の学力では、無理だったんだ。

 それに、今みたいに、頭が働いてなかったからね。

「どれくらい、ひどかったの?」

 一番、はっきりしてるのがねぇ、私、数学の本を一字一句ノートに写さないと、理解できなかったんだ。

『全文写し』

なんて言って、写経のように、全部写してたんだ。

「でも、太郎さんのやってること、難しいから・・・」

 今は、全文写ししなくても、理解できるよ。

「確かに、今、私の見ている太郎さんは、回復してきてるのね。」

「で、易しく書いてあると言ってた、ブルーバックスでも、全文写ししてたの?」

 さすがに、そんなことはない。

 だからこそ、私は、ブルーバックスは、易しすぎだ、と言うわけ。

「でも、易しく書いてあること自体は、良いことじゃない。」

 そりゃ、易しく書ければ、それに越したことはないけど、どうしたってこれ以上は、易しくできないという限界があるんだよ。

「太郎さんは、『難しい数学の本は、説明が不親切なだけだ。自分が、良い本を書く。』って、言ってたけど。」

 そう。親切に説明する。でも、読む側に、理解しようとして、多少は手を動かす努力をしてもらわないと、分かるものも分からない。

「手を動かせっていうけど、中学の参考書には、重要なところに色が付いてたけど、難しい数学の本には色が付いてないじゃない。」

 だから、色が付いてない本の読み方を、教えなきゃならない。

「それってつまり、国語力でしょ。太郎さんって、先日の選抜総選挙の投票権の文章も、読み間違えてたし、読解力あるのかなぁ。」

 痛いところ突いてくるなぁ。トークできるじゃん。

「太郎さんが、しゃべらせてるからじゃない。そもそも、太郎さんの英語力を生かそうという話から、ブルーバックスへ行って、学部になったんじゃない。太郎さんの語学力が問題なのよ。」

 語学力って、どうやったら鍛えられるか、本当は私、模範解答は持ってないんだ。

 記述力は、ラヴレター書けば、上がるのは、確かなんだけど、読解力は、分からない。

「良い文章を読んだら?」

 ただ、良くない文章に書かれている、宝石のような内容を汲み取れるのが、真の読解力にも思える。

 麻友さん、名案ある?

「分かんないわ。」

 今、上の『名案』って打ったとき、『明暗』と、変換されたんだ。

 麻友さん、夏目漱石の『明暗』って読んだことある?

「太郎さん、文学作品、読んでるんじゃない。私は、台本(ホン)は読むけど、本は、余り読む習慣がないの。」

 じゃあ、私のブログ読むの辛い?

「確かに、ラヴレターって、良いわね。」

「でも、一所懸命、読んでるのよ。これ本当!」

 じゃあ、今日は、これくらいで、コーダに行こう。

「いつでも、結尾部に行けたの?」


 今まで話してきた中で、色んな数字が出てきた。

・麻友さんの睡眠時間が1時間

とか、

・AKB48のトラックが時速48キロ

・タクシーが時速60キロ

・(光が)秒速30万キロ

・タクシーから見たトラックが時速12キロ

 それから、

アインシュタインが1番目、ボーアが2番目

とか、

・大学が4年間

などなど。

 これらの数に共通するのは?

「整数であることね。」

 そうだね。しかも、正の整数であることだ。

「分かった。これらは全部、2回前に定義した、『{1}』をいくつか足し合わせて、表せる。だから、『{1+1}』を定義すれば、後は、その繰り返しで、表せるって言いたいんでしょ。」

 はぁー、優等生に説明するのって、楽だなぁ。

 定義やっちゃうよ。


 定義 2

 新しく、『{+}』という記号を導入する。

 これを、普通、『たす』とか、『プラス』と読む。

 使い方は、後で別に定める。

 定義 2 終わり


 定義 3

 定義 1で、定義してある、『{1}』(いち)と、

 定義 2で、定義してある、『{+}』(たす)とを用いて、

{1+1}』という記号の列を作ることを許す。

 『{1+1}』を、通常『いち、たす、いち』と、読む。

 『{1+1}』が、何を表しているかは、後で別に定める。

 定義 3 終わり


 こんなところかな。

「もっと大きい数が表せるように、いちたすいちが、に、だって言わなきゃ。」

 そこは、もうちょっと慎重にやる。

「どうして?」

 麻友さんは、子供の頃、先生から、1+1=2というのを習うとき、先生が、

『この1+1が、本当に2になるというのを、きちんと言うのは、大変なんですよ。』

なんて言ったことは、なかったかな?

「あったかも知れないけど、覚えてないわ。」

 私の大学の時の親友で、グライダー部の親友と言ってる人がいるんだけど、麻友さんには公認会計士になったと話したので分かりにくいね。同じ人なんだけどね、その人の、小学校の先生が、言ったそうなんだ。

「思い出した。英検1級持ってる人ね。その親友って。」

 そう。エピソードを色々話しておくと、便利だね。

「同列に、扱わないでよ。」

 いやー、麻友さんだって、十分、優等生だよ。

「とりあえず、今日は、もう疲れた。」

 分かった。お開きにしよう。

 麻友さんは、何時に読むか知らないけど、今は昼間なので、おやすみでなく、バイバイ。

「バイバイ」

 現在2016年5月23日15時54分である。おしまい。