現在2018年2月6日12時47分である。
『安浪京子VS松田太郎』の2回目だよ。
「太郎さん。インスタグラム、始めたのよ」
うん。今、ツイッター、チェックして気付いた。
「インスタグラムで、新しい記事のURLをコメントすると、他の人にもクリックされちゃうわね」
もう、麻友さんからのクリックをカウントするのは、やめるよ。
だって、麻友さんが、私のブログを見てるのは、ほとんど確かだもん。
「それで、小学校の計算は?」
3桁の数の足し算に進む。
『計算の教え方』の本での話題だけど、『AKB48小学算数』から、問題を持ってこよう。
第1番
AKB48劇場のお客さんは,おとといが248人,昨日が241人,今日が239人でした。3日間合計は何人ですか?
麻友さんなら、どう計算する?
「まず、
248
+241
_____
489
次に、
489
+239
_____
728
とやって、答えのところに、728人、と、書くわ」
合格だね。
ただ、安浪京子さんは、下の桁から繰り上がりがあったとき、小さく1を書いて、計算すると良い、と書いている。
「あっ、それは、そうよ。私も1を書くようにしてる。パソコンだから、書けなかったの」
そうなのか。
私は、繰り上がりしたときは、覚えておいて、あえて1を書かないんだ。
これには、小学校の時の授業風景が、重なる。
「どういうこと?」
私が、小学校2年生の時、先生に当てられて、前に出て黒板でこういう計算を、書いたんだ。
そうしたら、先生が、
『一カ所間違ってますね。繰り上がりの1が、書いてありません』
と言ったのだ。
自分の計算に自信のあった私は、それ以来、
『絶対に1を書かないぞ』
と誓って、今日に至っている。
「あっはっは、太郎さん、根に持つタイプなのね。振ったら、一生恨まれそう(恐)」
いや、それは、冗談じゃなく、恨むよ。
あっ、恨むって言うか、悲しいというか、そんなこと、起こらないよね。
「どうだか。それで、太郎さんの解答は?」
AKB48小学算数のその問題を、私は、暗算でやって、答えだけ書いている。
「そんなの模範解答じゃないわよ」
よく、『数学のできる人の答案ほど省略が多い』、と言われるよね。
ちょっと話は飛躍するけど、麻友さん因数分解って、得意だった?
「高校の初め頃に、出てくるのよね。公式が多いから、苦手だった」
そうか。高校の数学で、つまずく最初の石なんだろうな。
実は、大学受験を描いた、林真理子の『下流の宴』という小説があるんだけどね。その中に、因数分解の話が出てくるんだ。
- 作者: 林真理子
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2013/01/04
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログ (5件) を見る
「どんな風に、出てくるの?」
第十章にね、
珠緒は今、因数分解をしている。
「」
これはまずを取り除いて考えていくのだ。
「」を、
「」にし、最後にをつけ加えていく。
『下流の宴』単行本306ページより、数式をで打ったことのみ異なる。
とあるんだ。
これ読んだとき、笑っちゃった。
「えっ、でも定石通りよ?」
そりゃ、最初は、そう習うのかも知れないけど、すぐに、
「」
「」
というように、穴埋め問題のようにして、1行で解けるじゃない。
「だって、太郎さんだって、2行、書いてるじゃない」
私は、あらかじめ上の式のように、空白を残しておいて、暗算でそこに入るものを計算して、そこを埋めるから、計算は1行なんだよ。
「そんなの減点されない?」
実際、減点されたことある。
京都から戻ってきた後、東京大学受けるって言って、Z会やってたって言ったでしょう。
「3回、受験した話は、聞いたわ」
その時、こんな因数分解の問題があった。
解ける?
「あー、これ、一番いやなタイプだわ。こうやるのよ。
まず、でそろえるのよ。
次に、で、因数分解する。
ここからが、大変なのよ。との組と、との組を、たすきがけっていうのやって、
✕ +
と、ピタッと決めるのよ。そうすれば、
と、因数分解できるのよ」
さすが、特待生だねぇ。解けるんだ。
「これは、疲れるから、余りやりたくないのよ。でも、配点が高いから、一問解くと、大きいのよね」
Z会でさあ、この因数分解、暗算でやって、一発で答え書いたら、
『途中式を書きなさい』
って言って、5点くらい、減点された。
「暗算でできるわけないじゃないの、こんなもの! 本当は、どこかで、計算したんでしょ!」
朝日新聞の星5つの数独くらいなら、まったく消しゴムを使わず、可能性を書き上げもせずに、1時間くらいで、きれいに解けるのと同じように、私には、因数分解できるんだ。
「どうやるのか見てるから、ちょっとやりなさいよ」
やってみせようか。
だね。
まず、解答欄に、括弧を2組書く。あいだは、かなり空けて。
次に、2次の式の部分を因数分解する。
の部分。この部分が2通りに因数分解できるときは、後のことを良く考える。でも、ここが2通りに分かれる問題は滅多にない。
問題文をにらみながら、
と書く。
頭を使いながら、
と書く。
後は、定数をどう分けるか。
やってることは、たすきがけみたいだけど、分解するのは、ただのだから、ちょっと頭を回転させて、
とになるように、とかな?とかな?とかな?と、試して行けば、
と、周りで計算しなくても、暗算で、できる。
「ウッ、本当に、暗算で、できる。信じられない。トライ式高等学院の一番優秀な先生も、こんな技、教えてくれなかった」
それは、そうだよ。だって、横浜翠嵐高校で、この解き方したとき、京都大学の大学院の博士課程出てる数学の先生が、
『こんな解き方が、自分で思い浮かぶのか?』
と聞いてきたので、
『はい』
と言ったら、
『危険だな』
と言ってたくらいだもの。
「エッ、そんなレヴェルなの? 太郎さん、本当に、思い浮かんだの? いつなの?」
この方法は、中学3年の時、思い浮かんだんだ。というより、実は、私は、この問題は、私がやったようにして解くものだと、思ってたんだよね。
「なんで、中学3年で?」
私、数学を、ものすごく、自分のペースで、勉強してきたんだ。
例えば、天体望遠鏡のレンズの倍率を知りたいから、入射光と屈折して入っていく光の角度を知りたくて、そのために光学の本を見たら、
みたいな式が、書いてあって、母に、
『なぜこのシンっていうのは、約分できないの?』
と聞いたけど、
『そのうち、習うわよ』
と、教えてくれなかったので、色々調べた。
そのうち、三角関数というものだと分かったけど、例えば、60度とかじゃなくて、37度みたいな角度のサインが、どうやって求められるのか、知りたくなった。
そんな中学3年生のある日、本屋さんで、高校1年生向けの、数学の問題集を、見つけたんだ。
薄い問題集だったけど、高校の問題集だから、三角関数の加法定理とか、余弦定理とか、載ってるわけ。
それを見た私は、この問題集やっていけば、37度のサインの値とか、求められるんじゃないか?と、期待したわけ。
だから、母に頼んで、その問題集、3ランクあったんだけど、一番上のレヴェルのものを買ってもらったんだ。
「その問題集も、今でもあるの?」
いや、さすがに、あれまではない。でも、赤いカヴァーの『特選級』とかいうレヴェルのだった。
「それで、37度のサインを、求められた?」
原理的には、求められたんだろうけど、高校1年生で、私は、テイラー展開というものを知ってしまったので、加法定理をあえて使うことはなかったんだ。
「あれっ、中学3年生って、受験じゃなかったの?」
私は、高校受験に関しては、ものすごく余裕があったの。だから、一応、鎌倉学園という滑り止めを受けさせてもらったのに、冬休みの頃、父が買ったNECのPC-9801VM21というパソコンと、当時はインクリボンなんてもので印刷してた熱転写プリンターを使って、『一太郎』のVer.2.1で、
『不合格通知』
なんてものを印刷して、封筒に入れていき、合格発表の日に、帰ってきて、
『鎌倉学園、落ちたよ』
なんて母に言ったほどだったのだ。
「それは、悪趣味ねぇ。ドッキリなんて、あんな前からあったの?」
ドッキリ番組なんて、ほとんど見たことないから、分からない。
とにかく、暇だったので、高校1年の問題集で、まず『式の展開』、次に『因数分解』、と進んだ。
「解けるの?」
問題集だから、説明はないから、解き方は、あまり分からない。
でも、式の展開は、とにかく分配法則で、粉々にするだけだから、全部、解ける。
因数分解は、その逆をやるだけなんだよね。
そして、さっきの『危険だな』の問題に、出くわしたわけ。
この順番に式が並んでるんだもの、最初の3つを因数分解するのが、道理だよ。
はて、ここからどうしたものか?
ここで、私は、思い切って、を2つに分けて、とに、それぞれかけて、うまいことになるものを、見つけられることに、気付いたんだ。
「最初から、暗算で?」
そんなことはない。初めは、いっぱい書いてた。
ただ、特選級だから、難しいのが多くて、時間はあるからゆっくりだけど確実に解いて、いつの間にか、暗算でできるようになった。
「でも、その方法、他の人は、誰も知らないの?」
そんなこと、あるわけないじゃん。
「えっ、知ってる人いるの?」
計算の得意な数学者は、こうやってるはずだよ。
だって、あのアーベルが、麻友さんみたいな、あっち行ったり、こっち行ったり、の見通しの悪い計算してたわけないじゃん。ガウスだって、オイラーだって、モチのロンだよ。
「あっ、そうか。でも、それは、やっぱり、才能なのかしら?」
まず、計算が好きでないと、良い方法には、気付かないだろうね。
「太郎さん。計算好き?」
興に乗って、巫女さんが神がかりの状態になったみたいになって、バーッと、ノート30ページくらい計算した後が、一番、
『生きてて良かったなあ』
と思えるほど、気持ちが良いんだよね。
今までの人生で、10回は、ないんじゃないかなあ。そんなこと。
「太郎さんにとって、私と数学とどっちを選ぶ?となったとき、数学を選んだ方が、その後の人生幸せなんじゃないかしら?」
麻友さん。そういう男の人の方が、いいんじゃない?
麻友さんも、私を好きなのと同じくらい、お芝居のことが好き。
私も、麻友さんと同じくらい、数学が好き。
でも、お互い相手がそばにいてくれると、安心。
それくらい、おしば・・・、思い出した!
「エッ、何? なに?」
今日、TSUTAYAで、『アメリ』借りてきたんだよ。
「それはそうと、1月27日は、見られなかったの?」
見られなかった、どころか、22時まで、リアルタイムで、見ましたよ。
「見てくれたんなら、伝わってるわね」
麻友さんらしさ、というものが、さらにはっきり分かってきました。
「太郎さん、安浪京子さんじゃなくて、私と、戦ってたじゃない」
一度、この因数分解の話を書いてみたかったんだ。
「じゃ、『アメリ』見てね。おやすみ」
もちろん見るよ。おやすみ。
現在2018年2月7日0時01分である。おしまい。