現在2018年12月3日18時15分である。
AKB48のオーディションに受かってから、今日で、12年経ったんだね。
まゆゆ、誕生、おめでとう。
「ありがとう。でも、まゆゆ、という愛称は、米沢瑠美さんが、後でつけてくれたものだから、まゆゆが、2006年12月3日に、誕生したわけでは、ないのよ」
そうなんだろうね。
でも、アイドル渡辺麻友は、この日誕生した。それは、動かしようのない事実だ。
「そして、2017年12月31日に、AKB48からは、卒業した」
そうだね。もう、アイドルでは、ないんだ。
「だから、自由の身なの」
なんか、今まで、捕まってたみたいだな。
「やっと、少し、ゆっくり時間を過ごせるように、なったわ」
そうだね。麻友さん自身のブログにも、書いてあった。
「太郎さん。私のブログ、どれくらい、読んでるの?」
全部読んでるよ。
『コスメおじさん』
とか。
「アッハッハッ、そうだった、そうだった」
ところで、ヤクルトのはっ酵豆乳って、いくらコンビニで探しても、ないんだけど。
「あれは、ヤクルトさんに頼まなきゃ、手に入らないわよ」
そうなのか。
「若菜と結弦、怒ってるかな?」
麻友さんが、私に、肘鉄食らわせたこと?
「うん。『未来のお父さんに、なんてことしたの?』ってね」
じゃあ、2人のスマートフォン、オン!
結弦「お父さん。待ちぼうけだったね」
若菜「女の人が、それくらいで、なびくなんて、お父さん、女性経験少なすぎですよ」
「あなたたちも、お父さんが悪いと思う?」
若菜「悪いっていうか、言葉を交わしたこともない女の人に、『うちくる?』って言うなんて、ナンパ目的としか、思えませんよね。お母さんの方は、真面目に、交際考えてるのに」
結弦「ただ、お父さんにとって、結婚を前提とした交際と、ただのナンパと、区別できてないんだな」
「そうなの?」
結弦、良く気付いた。
実は、今回入院してたとき、1人が女の人、2人が男の人で、私を加えて4人で、仲良くなったんだ。
どうも、電気ショックをかけられたらしい、男の人が、記憶がもの凄く消えてるらしくて、ニュースなんかも、良く理解できなかったんだ。
偶然、
『暴力団の幹部だった人が、捕まって、・・・』
というニュースが流れたとき、その人が、
『なぜ、暴力団なんてものが、あるんでしょうか?』
と言ったので、私が、
『世の中で、チンピラみたいな人も、ある程度は、いるんだよ。そういう人達を、まとめて管理するには、悪い人の側にも、みんなをまとめる、頭が必要なんだよ。だから、暴力団っていうのは、あれはあれで、役目があるんだ』
と、応えた。
そうしたら、聞いていた女の人が、
『そうなんです。だから、暴力団の幹部なんていう人は、本当は、IT企業立ち上げられるくらいの人だったりするんです』
と言ったのである。
私は、
『この女の人、結構ヤバイ仕事の経験あるな』
と思ったから、疑問に思っていることを、聞いてみた。
不倫のニュースが、報じられたとき、
『なんで、不倫って、いけないの?』
と、聞いてみた。
この人、わざと言ってるのかと思い、向こうは、無視していた。
私は、さらに、
『源氏物語のなかでは、たくさんの女の人と関係持ってもいいのに』
と言ったら、
『あの時代は、良かったのよ』
と、応えてきた。
『時代によって、不倫が良くなったり、良くなくなったりするのか。じゃあ、今の世界では、どうなってるんだろ。それが、分かるまでは、結婚ってしちゃいけないな』
というと、
『そうかもね。でも、もしまゆゆが、同性愛者だったら、どうする?』
と来たので、
『まず、女の同性愛者だったら、他の男の人に持って行かれる心配はないから、ずっと好きでいられるから、別にいいよ』
と、応えたら、
『あっ、そうか』
と、笑われた。
『男の同性愛者だった可能性もあるけど、そうだとしたら、麻友さんのあの顔見て、男だと気付けなかった自分の、美意識を、残念に思うだけだな』
とも、言った。
「結弦が言うように、太郎さんって、結婚というものが、少女マンガレヴェルよ」
それは、分かってる。
でも、結婚というものが、
『堂々と、セックスします』
という宣言だとするなら、なんで、結婚した後、セックスレスになる夫婦が、こんなにいるの?
「こんなに、って、どれくらい?」
これは、統計は、取りにくいんだけど、世の中に、男性向け雑誌にしても、女性向け雑誌にしても、もうちょっと良いセックスをしたいと思っている人達向けの、情報が満載だ。
あるいは、不純異性交遊などと言って、年少者が、関係を持つことを、禁止している。
禁止するのは、そういうことで、不当にお金を稼ごうとする人を、取り締まるためだろう。
結局、みんな、好きなあの人とやりたい、あるいは、やりたかった、という思いを悶々とさせたまま、好きでもない人を、パートナーに選んでしまって、後悔しているのだ。
だから、他の人が、幸せなセックスをしていると、許せなく思うんだ。
やだね、こういう人達。
私は、きっと、麻友さんに、パートナーになってもらう。
社会が、私達の結婚を認めてくれなかったら、結婚なんかしなくたっていい。
堂々とやる必要なんて、本当は、ないんだもの。
「太郎さん。堂々とできなくても、いいの?」
麻友さんは、自己顕示欲の欠けらもない人。覚えているんだ。麻友さんが、『UTAGE!』で、
『結婚式は、家族だけで、ひっそりとやりたい』
と言ったときのこと。
麻友さんは、有名人になっているけど、自分がどうしているかを、ことさらに人に吹聴したがる人ではないんだ。
若菜「お父さん。お母さんの気持ち、分かってるんじゃないですか。どうして、こんなに、なんでも、ブログに書いちゃうんですか」
結弦「お父さん、なんのために、ブログ書いているんですか」
若菜も結弦も、知っているだろうか。以前、ソクラテスの話をしたね。『饗宴』という本の話をしたときだ。
あのとき、ソクラテスが、理想の生き方をした人だった、と言ったが、ソクラテス自身が、そう書いたのではない。弟子のプラトンが、本に書いたのだ。
また、『子曰く、・・・』の、孔子も、自分で論語を書いたわけではなく、弟子がその言行を、後で書き記したんだ。
さらに、イエス=キリストも、キリスト自身が、聖書を書いたのではなく、弟子の、マタイオス、マルコス、ルカス、ヨハンネスの4人が、福音書を書き、その後は、弟子達が、書いていったのだ。
若菜「じゃあ、お父さんは、麻友教の聖書を、書いてるんですか?」
結弦「プラトンみたいなこと、したいのかなあ」
宗教にする気はないんだよ。
ただ、多くの人に、この世界で、本当に役に立つのは、学ぶのは大変だけど、自然科学なんだ、ということに、気付いて欲しいんだ。
「もし、私が、太郎さんを、好きになって、太郎さんに応じたら、そりゃー、この一連のブログをたどることで、太郎さんが、科学的に、私を誘惑したっていうのが、分かるわね」
いや、そうは、ならない。
恐らく、麻友さんは、私に、科学的に、誘惑されたのでは、ないだろう。
「そうかしら?」
多分、麻友さんは、私がモネの『日傘をさす女』の絵の前で、麻友さんの写真を撮って、その写真をツイートしたのを見たときから、
『あっ、この人は、何か違う』
と、感じただろう。
「うーん。あのときは、ここまでは、想像しなかったのよ」
でも、私達2人は、特別だった。
「良く言うわ」
ただ、初めは、ちょっとだった違いが、ここまで開いたのは、私が、科学的に、麻友さんとの距離を縮めたからだ。
結弦「どんなことしたの?」
ブログという、記録の残る媒体に、2人の出来事を、記して行ったというのがある。
若菜「今でも、記録されてます」
「こういう風に、データを蓄積する、というのが、星占いや、おみくじに、背中を押してもらうのとは違う、科学的な方法なのね」
数学というのは、その自然科学の女王だよ。
「太郎さんが、ブログ書いてる理由が分かった。じゃあ、ガロア、始めましょ」
よし。始めていいよ。
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オーギュスト・シュヴアリエへの手紙
1832年5月29日,パリにて
親愛なる友よ.
僕は,解析の分野で,新しい結果を得た.
方程式論に関するものと,積分関数に関するものとだ.
方程式論では,方程式が累乗根で解けるための条件を追求した:そのためにこの理論を深く研究し,方程式が累乗根では解けない場合にも適用できる変換を,全部かきあげる事となった.
これらの結果は,三つの論文に,まとめられる.
第一の論文は,できあがっている.ポアソンが文句をつけたが,訂正して保存してある.
第二の論文は,方程式論への面白い応用を含んでいる.特に重要な結果を抜粋しておく:
第一論文の命題ⅡとⅢによれば,方程式に,その補助方程式の根を一つ添加する場合と,全部を添加する場合とでは,大変な違いがある.
このような添加をする時,どの場合にも,方程式の群は,同じ置換によって互いに移りあう組へと,分解される.しかし,これらの組が同じ置換を持つという条件は,第二の場合にしか成立しない.これを,固有分解と呼ぶ事とする.
いいかえると,群Gが群Hを含むとき,群Gは
G=H+HS+HS’+・・・
と,Hの順列に同じ置換を掛けて作られる組へと分解されるし、また
G=H+TH+T’H+・・・
と、同じ置換にHの順列を掛けて作られる組へとも分解される.
この二通りの分解は、通常は、一致しない.一致する時が,固有分解と呼ばれるものだ.
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「取り敢えず、ここまで」
若菜「予習できたんですか?」
「太郎さんが言ってた、シュヴアリエが、シュヴァリエの誤植だという事くらいしか、分からなかったわ」
結弦「『解析の分野』って、何ですか?」
相対性理論のブログで、『微分・積分入門』という連載を始めただろう。微分、積分を使って、数学を研究していく分野を、解析学というんだ。
若菜「方程式論というのも、解析学なんですか?」
方程式論は、方程式というのは、未知数xを、使うのだから、代わりの数xを使う。だから、代数学という。
結弦「方程式が累乗根で解けるための条件って?」
つまり、簡単に言うと、足し算引き算かけ算割り算と、ルートなどの累乗根を用いるだけで、方程式が解けるか? という問題。これが、必ずしも成功しないというのが、ルフィニ=アーベルの結果だ。
この後の文章は、今は、理解できないだろう。
でも、19世紀の初めに、こんなことまで考えていた人がいたというのは、驚きだよね。
「私、一つだけ、調べたの。オーギュスト・シュヴァリエのスペルは、August Chevalier だったわ」
結弦「遺書は、まだ続くの?」
まだ、結構続く。
ガロアは、この遺書が紹介された後、第24章まで出てこないのだから、分からないなりに、読んでおくのも、意味がある。
今日は、ここまでにするか。
結弦「じゃあ、今日の獲物は、誤植リスト第5号『◯シュヴァリエ、✕シュヴアリエ』(p.6 l.10)」
それでは、解散。
「太郎さん。本当に、科学を、広く多くの人に、知ってもらいたいのね」
私は、文学とか芸術というものは、本当には、人類の危機を救えないと思う。
確かに、ベートーヴェンやモーツァルトの音楽を聴いて、感動し、生きる勇気をもらえる。
でも、それと、人の命が救える、とか、生活が便利になるというのとは、違う。
数学と物理学を究め、化学の理解を深め、分子生物学を用いて、医学の本当の目的を達成するのが、私の使命だと思う。
そして、その過程を、麻友さんと、共有したい。
慌てては、いないんだ。
でも、麻友さんに取って、私が特別な人になっているということを、近い将来、はっきりと示して欲しいな。
私に、勇気を持って進めるように。
「太郎さんの気持ちは、分かってる。期待は、裏切らないわ」
じゃあ、おやすみ。
「おやすみ」
現在2018年12月3日23時17分である。おしまい。