現在2016年5月13日22時48分である。
麻友さん。こんばんは。
「こんばんは。太郎さん。」
今日は、絶対、早く寝てみせるよ。
「見てるわよ。それで、数学って言うか、算数の話は、どう進めるの?」
本当のところを言うとね。私も、小学校で、『1たす1が2だ。』というようなことを、どうやって習ったか、覚えていないんだ。
むしろ、何度も何度も、繰り返し、色んな人から聞いて、いつの間にか、納得したのだったように思う。
「私も、一番最初に、『1たす1が2だ。』ということを知ったのが、いつだったか、記憶にないわね。」
今までの歴史上、最も多くの分野に業績を残し、『数学の王様』と言われている数学者がいるんだけど、誰だか知ってる?
「おっ、クイズ形式になったな。ちょっと待って。王様って言うくらいだから、私でも知ってる数学者よね。私の知ってる数学者は、・・・ピタゴラスっていたわよね。」
確かにいたよ。紀元前だね。
「紀元前に、そんなに業績を残すのは無理ね。あと、ニュートン。」
ニュートンも、数学での業績は、微分積分法を発見したことや、『プリンキピア』という本を書いたことなど、沢山あるが、ほとんど、微積分に偏っている。もっと、数学全体に、業績を残さないと、王様とは、言われない。
「あっ、思い出した。本屋大賞の初回に、1位になった『博士の愛した数式』に、一人出てくる。『オイラーの公式』じゃなかった?」
うわっ、すっごい残念賞。でも、頑張ったで賞。オイラーは、18世紀の世界最高の数学者であり、業績の数では、恐らく、今までの歴史上、最高の数学者。オイラーを、王様にしても良いんだけどね。数学の分野のうち、まだ誕生してなかった、数学基礎論という分野と、コンピューター科学の分野を除く、あらゆる分野に業績を残した数学者なんだ。その王様って言われてる人は。
「私、もう数学者知らない。」
思い出してごらん。『人の名前が付いた、単位って多いわね。』って麻友さんが言ったとき、ピップエレキバンの話をしたでしょう。
「ああ、2000ガウス。」
そう。そのガウスこそ、『数学の王様』と言われている人なの。
「どれくらい、業績が、多いの?」
多分、証明付けずに、定理のステートメントだけ並べたとしても、ガウスの業績だけで、400ページくらいの文庫本だったら埋まるだろうと思う。
「それって、すごいの?」
私の業績だったら、2ページにもならないと思うと言えば、分かるかな?自分で、業績って言うのも、変だけど。
「太郎さんが、200人。それなら、王様と言われても十分ね。」
オイラーは、数の上では、ガウスの4倍以上、業績があるんじゃないかな。
「じゃあ、オイラーは、クイーンなのね。」
そう思っても良い。ただ、その言い方は、他の人には通じないから、気を付けてね。でも、チェスでは、キングよりクイーンの方が強いから、このアナロジーで、ガウスとオイラーという名前を覚えておくのは、役に立つかもね。
「ところで、メールを送ったように、『寝不足には気をつけてね~』。」
はい。ここで止めましょう。
「なぜ、ガウスの話をしたの?」
今日の最初のところで、『1たす1が2だ。』というのを、どうやって習ったか思い出せない、という話をしたでしょ。
「そうだったわね。」
実は、ガウスの言葉で、
『私は、言葉を覚えるより前から、計算していたように、記憶している。』
というものがあるんだ。
「やっぱり、天才だから。」
確かに、そうも取れる。でも、私は、こういう風に、日本語を覚えるのと一緒に、数学(この場合、算術かも知れないけど)を学んで行っている人が、結構多いのではないかと思うんだ。
「私も、いつ計算を最初に習ったか覚えていないから、ガウスになれる!?」
かもね。
「ウフッ。今日は、お腹も痛いし、頭も痛いしで、辛かったけど、最後に希望をもらったわ。」
良かった。おやすみ。
「おやすみ。」
現在2016年5月14日0時31分である。おしまい。