女の人のところへ来たドラえもん

21歳の女の人と43歳の男の人が意気投合し、社会の矛盾に科学的に挑戦していく過程です。                    ブログの先頭に戻るには、表題のロゴをクリックして下さい。                                   数式の変形。必ずひと言、添えてよ。それを守ってくれたら、今後も数学に付き合ってあげる。

謎、解けたよ(その3)

 現在2016年12月16日20時50分である。

「やっと、投票してくれたのね」

 このガラパゴス携帯、結構タフで、2008年5月19日から使っているんだけど、ちゃんとメールも送れるんだよね。

「わーっ、8年以上動いてるのね」

 当時にしては珍しく、防水の携帯を選んだお陰かも知れない。

「きっとそうよ。太郎さん、そういうところには、お金かけるのねぇ」

 どこに、かけないというの?

「おしゃれ」

 アッハッハ。それは、痛いところ指摘された。確かに。

 前回入院してたとき、折り紙で、お月見の飾りを、作ったんだ。

「それで?」

 私が、

『女の人が、なぜ、外出の前に、ファッションショーみたいに、とっかえひっかえ洋服を試したりするのか、分かりました』

と言ったんだよね。

「どういうつもりで、分かったと言ったの?」

 お月見の飾りを、麻友さんが見て、綺麗だなって、思ってくれるようにしよう。と、思って、折り紙を、色んな色を当ててみて、一番良さそうなのに、したからなんだ。

「太郎さんの周りで、どれだけの女の人が、泣いたことか・・・」

 確かに、女の人の、綺麗に見られたい。という願望は、すさまじいものがあるものね。

「少しは、分かってよ」

 いや、頭では、分かっているんだ。

 例えば、

『女の人は、2回目会うとき、ものすごく緊張する』

なんてのも、新聞小説で読んだから、知ってる。

『この前会ったときほどじゃない。とがっかりさせたらどうしよう』

と、ものすごくおしゃれするからなんだね。

「そんな、単純なものじゃないけど、確かに太郎さんの文献からの情報収集は、たいしたものね」

 でも、百聞は一見にしかず、なんだよね。

「そう。だから、あの謎を解いてよ」

 そうだったね。

 どっから、行こうか。

「あの表の解析の仕方が、前回は、速すぎてついて行けなかったわ」

 じゃあ、あのアクセス解析の表の分析から、説明を始めよう。

 今回は、12月12日のデータで、やって見せよう。

 『麻友25』のノート1492ページから。



1492


2016.12.12 18:13

2016年12月12日18時25分


18%        謎、解けたよ
 6%        持ち上がった卵(その5)
 5%        最初に種明かしします
 4%        1から始める数学(その8)
 4%        相対性に破れたスパイ作戦(その2)
 4%        ブログトップ
 4%        持ち上がった卵(その4)
 4%        1から始める数学(その2)
 3%        躍るアトム
 2%        持ち上がった卵(その3)
 2%        持ち上がった卵
 2%        解ける謎は解こう
 2%        右がどっちか答えるまで10分かかる少年
 2%        1から始める数学(その13)
 2%        躍るアトム(その3)
 2%        1から始める数学(その6)
 2%        1から始める数学(その5)
 2%        持ち上がった卵(その2)
 2%        1から始める数学(その9)



と解析されている。

「この前は、真ん中に、何回アクセスがあったかが、表示されてなかった?」

 あんなものは、ないんだよ。

 私が、計算して、割り出したものなんだから。

「じゃあ、これが、生データってこと?」

 そう。

「上に、日付が、二通り書いてあるのは?」

 上のは、ノートに書き始めた時刻。下のは、アクセス解析の画面を開いた時刻。

「だとすると、18時25分というのが、このデータの時刻ね」

 そういうこと。

 これから、ひとつひとつの投稿が、何回アクセスされてるか、計算する。

「そこを、聞きたかったんじゃない」

 まず、私だって最初は、書いてあるパーセントがそのままアクセス数だったら、楽だよな、と思って、試してみる。

「試すって?」

 左側のパーセントは、取り敢えず今は、この19段のデータの中で、自分が何パーセントを占めているかを、表しているだろう。と、仮定する。

「19段って?ああ、19個データがあるのか」

「でも、どうしてそう仮定するの?」

 いいんだよ。小学校や中学校では優等生で聞けなかったかも知れないけど、私には、何を聞いてもいいんだよ。

 この仮定はね、これ以上、簡単にできない、一番当たり前の仮定なんだよ。だって、書いてあるものが、そのまま答えになっていて、他のものの影響はない、なんて、理想的なデータじゃないか。

 物理学の道を進んでいくと、こういう状況に、非常に良く出くわす。

「たとえば?」

 たとえば、麻友さんは、2016年3月22日にN響を背に、パイプオルガンを弾いたね。

「もちろん、覚えてるわよ。ものすっごく緊張したけど、あのパイプオルガンの振動、ちょっと言葉では表現できないけど、素晴らしかったわ」

 麻友さんは、ものすごく感動しているけど、そもそもそのすごい振動は、なぜ生まれるか、考えたことあるだろうか?

「パイプがあるからよ」

 じゃあ、あそこからパイプ一本持ってきて、麻友さんが吹いたら、あんな音が出るかい?

「意地悪。どうすれば良いのよ」

 あれには、麻友さんも言葉だけは知っている、共鳴という現象が、関係している。

「ああ、共鳴か」

 さすが、特待生、飲み込みが速い。

「共鳴って、ピアノなんかでも、音が、中で何度も反響するから、起こることよね」

 ツボは、押さえている。だが、実際に計算したことはないから、定量的なことは、分からない。

「どこが悪いの?」

 じゃあ、反響してたらどうして音が大きくなるの?

「反響しているから、じゃ、駄目なの?」

 世の中に、勝手に音を大きくしてくれるものなんかがあるのなら、エネルギー問題なんて、起きない。

 中東で戦争やってるけど、あの国が武器を買えたのは、石油をたくさん売ったからだ。

 そもそも、石油を買わなければならなかったのは、電気を起こさなければならないからだ。

 勝手に音を大きくしてくれるものなんかがあるのなら、それを使って、その振動を熱に変え、水を沸騰させて、蒸気タービンをまわせば、いくらでも電気を起こせることになる。戦争もなくなる。

「すごい!太郎さん、そのアイディア、発表すべきよ」

 特待生でも、このていたらくかい。

「駄目なの?そのアイディア」

 パイプオルガンやピアノで、共鳴して、どんどん音が大きくなるのは、その間ずっと、エネルギーを供給し続けているものが、あるからだよ。

「つまり、どういうこと?」

 パイプオルガンでは、空気を送り続けているし、ピアノでは、鍵盤を叩いたのが、弦をハンマーで叩くということになり、弦が震え続ける。

「でも、あの弦が共鳴してるんじゃないの?」

 弦が共鳴しているんじゃなくて、弦は、エネルギーのプールなの。

「プール?」

 つまり、ピアノの箱が、共鳴箱で、そこで、反響が起こる。

 でも、いつまでも、反響が続くわけではないし、そもそも音が大きくならないと、人間の耳に聞こえない。

 だから、その共鳴箱に、ある間、エネルギーを与え続けなければならない。

「それが、弦の役目だっていうの?」

 そう。ある振動数の波を、しばらくの間、ためておくプールなんだ。

「はー。私、今まで、ずっと謎だったのよ。弦が、震えて、音が出るんだって教わって、そうなのかなって思いながら、疑ってた。謎が解けたわ。ありがとう」

 いや、お礼を言われても、困るなあ。私も、麻友さんに説明する気持ちで考えていて、つい最近気付いたんだ。

「いつもの刻印は?」

 今回は、外にいるときだったから、記録がないんだ。

「外歩きながら、私としゃべってる気分なの?」

 そういうことは、多い。

 今回のは、11月30日に、母に、あのN響との共演のブルーレイを見せて、あのパイプオルガン、どうして鳴るのかな?と、考えながら帰ってくる途中だった気がする。

「それで、共鳴の話を持ち出したのは?」

 共鳴の現象を解析する場合だって、考えられる要因は、いくらでもあるんだよ。

 だけどね、物理学では、一番易しいのから、考え始めるんだ。

「具体的にいうと、どうやって解析するの?」

 微分も知らない人間に、理系の高校生の習う普通の力学より数段難しい、こんな本に書いてある解析力学という兵器をちょっとだけ見せると、

 第5章 微小振動

 §23.多くの自由度をもつ系の振動

の問題に、


1.ラグランジアン

{\displaystyle L=\frac{1}{2}(\dot{x}^2+\dot{y}^2)-\frac{\omega^2_0}{2}(x^2+y^2)+\alpha xy}

で与えられる自由度2の系の振動を決定せよ(固有振動数{\omega_0}をもつ2つの等しい1次元の系が、相互作用{\ -\alpha x y\ }で結ばれている).


というものがある。

「あれっ、これ、ランダウじゃない」

 よく、覚えてたね。

「だって、太郎さんが、物理学者になるなら、ランダウのようになりたいって言ってたじゃない」

 そう。その通り。

 これも、文献、示しておこうか。

ランダウ/リフシッツ『力学(増訂第3版)』archive.org

「えー、ただで読めるの?」

 読めるなら、読んでごらん。

「さっきの問題を解くの?」

 解けない、解けない。どんなに説明したって、分かるものじゃない。

 物理学で、一番易しいところから、解いていくっていうのの例にしたかったの。

「どうやって?」

 あの式のままだと、分からないんだよ。

 一応、式の展開くらいは、知っていると仮定するよ。

「それくらいが、限度ね」

{\displaystyle L=\frac{1}{2}(\dot{x}^2+\dot{y}^2)-\frac{\omega^2_0}{2}(x^2+y^2)+\alpha xy}

って、書いてあったでしょ。これを、並べ直すんだ。

{\displaystyle L=\frac{1}{2}\dot{x}^2-\frac{\omega^2_0}{2}x^2+\frac{1}{2}\dot{y}^2-\frac{\omega^2_0}{2}y^2+\alpha xy}

と、ばらばらにして、かっこでくくる。

{\displaystyle L=\frac{1}{2}(\dot{x}^2-\omega^2_0x^2)+\frac{1}{2}(\dot{y}^2-\omega^2_0 y^2)+\alpha xy}

 {\omega^2_0}は、固有振動数って書いてあったから、差し当たって大きさが変わらないので、無視して。

 そうすると、{x}ばっかりのところと、{y}ばっかりのところと、{x}{y}が混ざったところになる。

「それくらいは、見ていれば分かるけど」

 実はねぇ、麻友さんは物理学者じゃないから、知らないけど、この、

{\displaystyle L_x=\frac{1}{2}(\dot{x}^2-\omega^2_0x^2)}

や、

{\displaystyle L_y=\frac{1}{2}(\dot{y}^2-\omega^2_0y^2)}

という式は、物理学者が、調和振動子(ちょうわしんどうし)と呼ぶ、振動している物体を表す典型的な式なの。

「それが、2つあるということ?」

 ちょっと、速いな。普通の人だったら、そこは、

{x}軸と{y}軸の振動があるってことですか?』

とかいうボケた質問をしてくるところなんだよ。

「ウフッ、じゃあ、私の考えたので良いのかしら?」

 振動しているものが、2つある。

 ただそれだけなんだよ。

「これらは、共鳴のように、一方から他方へ、振動が移らないの?」

 このままだと、そうならない。

「分かった。その『伝える』っていう役目をするのが、{\alpha xy} なんでしょ」

 まさに、その通りなんだけど、この式見てよ。{\alpha xy} だよ。

 ただ、{x}{y}をかけただけ。

 余りにも、安易だと思わない?

「私は、かけ算より高度なものをほとんど知らないから、これが、安易かどうか、分からないけど、ランダウっていっても、まったく理解不能な人じゃないのね」

 冗談じゃない。これを見て、

ランダウを理解できる』

なんて。

 たった一本、この式書いて、問題としている、ランダウの羨ましいまでの素晴らしさ。形容できないね。


って、これを書いてるところに、麻友さんが、井上芳雄さんとのラブラブな写真をツイートしてきた。

 嬉しそう。

 調べてみたら、WOWOWで、1月2日に13時20分から放送される、『井上芳雄の小部屋』という番組で、麻友さんゲストとして招かれるんじゃない。

「太郎さんに取って、どういう気持ち?」

 他の男の人ってのは、全員気になるけど、麻友さんが、幸せそうに笑顔浮かべてたら、何も言えない。

「太郎さんも、優等生みたいな、返答しか、できないのね」

 ジークフリード・キルヒアイスは、常に模範解答を提出するんだよ。

キルヒアイスね。もっと長生きして欲しかったわ」

 誰だって、そう思うよね。って、麻友さん、いつ『銀河英雄伝説』の勉強したの?

「何年も前に、太郎さんと会うより前に、銀英伝は、アニメ全部見ました」

 そうだったんだ。じゃあ、私の話が良く分かってたんだね。

「そう。この人、本当にキルヒアイス演じるのかしらって、信じられなかった」


「って言って、太郎さん、脱線しちゃだめよ。安易なあの式が、どう働くか、言ってくれなきゃ」

 ランダウが、凄いことのひとつはね。10巻ある理論物理学教程のすべての問題に、解答を付けていることなんだ。

「解答のない問題集なんて、あるの?」

 苦労を知らないねぇ。まあ、高校までで、問題集に解答が付いてなかったら、即返品されるものね。

「大学では、問題の解答が付いてないことが時々あるの?」

 問題の解答は付いてないもの、と思っていた方が良い。あのブルバキでさえ、解答は付いてない。

「前回の、フランスのブルバキね。解答が付いてなかったら、どうすればいいの?」

 自分で解くしかない。

「解けなかったら?」

 永遠に、答えは、分からない。

「そんな~」

 実は、先生や優秀な友人に聞く、という手がある。

「あっ、そうか」

「でも、教えてもらった解法が、正しいかどうか確かめるための、解答がないのに、どうしたらいいの?」

 自分の論理を信じるしかないんだよ。

「つまり、全部、1から築けっていうの?」

 そういうこと。

 『1から始める数学(その1)~(その15)』は、遊びじゃなかったんだよ。

「太郎さんは、それをやってるの?」

 高校1年生の頃から、自分の数学を常にチェックしていて、新しいものが入ってくるたびに、それを取り入れて良いかどうか、調べていた。

「調べきれなかった、例外はないの?」

 『たのしい算数』のとき書いたように、円錐と球と内積の3つだけ、先生が言うから認めましょう。ということになった。

「そういうとき、太郎さんは、先生に質問しないの?」

 数学は、分からなくて質問したことは、ほとんどないんだ。前に1億円の計算をしたとき、話したように、公文の教室に通っていたんだけど、8年通ってて、どうしても分からなくて、夜になっちゃって、妹も帰らなければならないので、解答を聞いたことが一回。

「えっ、どんな問題だったの?」

 いずれ絶対必要になるから、証明はそのときするけど、『三平方の定理』の証明問題だった。

「『ピタゴラスの定理』ともいう定理よね。あれの証明って、私も、苦手だった」

 大学入るまではそんな感じだったけど、大学では苦労したね。

「それで、ランダウの解答は?」

 数式は、書いても解読できないだろうから、日本語だけ写すよ。



 この場合,{x}{y}の変動は,接近した振動数をもつ2つの振動の重ね合わせになる。したがって振動数{\omega_2-\omega_1={\alpha}/{\omega_0}}のうなりの特徴をそなえることになる。



と、書いてある。

「それだけ?」

 いや、きちんと説明してあるけど、これ以上数式書いても意味ない。

「まあ、そうね」

 中学の時の理科の先生の気持ちが分かるよ。

「どういうふうに?」

『松田は、厳しく聞いてくるだろうから、調べなきゃならないけど、微分も知らない松田に、どうやって説明すればいいんだ』

って、いつも困ってただろうと思う。

「アッハッハ。私に教えようと思ったら、初めてその苦労が分かったのね」

「先生喜ぶわー」

 そうだね。

 とにかく、こんなちゃちな {\alpha xy} なんていう式を付け足すだけで、共鳴が再現できてしまう。

 ちょっと驚きだけど、物理学って、そんなにすごくない。

「なんか、ほっとしたわ」


 こんな感じでね、問題を解くとき、一番易しいところから試すってのは、数学者や物理学者には、常識なの。

 それで、アクセス解析で表示されているパーセントが、そのままクリック数だとしてみる。


2016年12月12日18時25分


18%   18   謎、解けたよ
 6%    6   持ち上がった卵(その5)
 5%    5   最初に種明かしします
 4%    4   1から始める数学(その8)
 4%    4   相対性に破れたスパイ作戦(その2)
 4%    4   ブログトップ
 4%    4   持ち上がった卵(その4)
 4%    4   1から始める数学(その2)
 3%    3   躍るアトム
 2%    2   持ち上がった卵(その3)
 2%    2   持ち上がった卵
 2%    2   解ける謎は解こう
 2%    2   右がどっちか答えるまで10分かかる少年
 2%    2   1から始める数学(その13)
 2%    2   躍るアトム(その3)
 2%    2   1から始める数学(その6)
 2%    2   1から始める数学(その5)
 2%    2   持ち上がった卵(その2)
 2%    2   1から始める数学(その9)


としてみる。

「それから?」

 クリックの全回数を合計する。

「どうして?」

 その合計で、各投稿のアクセス数を割れば、全体に対して何パーセントを占めるかが分かる。

「やってみましょう。

{18+6+5+4\times 5+3+2\times 10=72}

だから、

{2\div72=0.0277777\cdots}

どうよ」

 見てごらん。

「2%。合ってる」

「切り捨てるのよね」

 そう。

 それだけで、かなり良い数字がでてくる。

「かなりってことは、これで終わりじゃないの?」

 麻友さんは、1個数字を試しただけだ。全部の数字を試さなきゃ、絶対とは言えない。

「分かったわよ。

{3\div72=0.04166666\cdots}

4パーセントよ。

あれっ、これ、3%のはずよね。どうして?」

 ほらね。このアクセス解析の表は、一筋縄ではいかないんだ。

「最初の仮定は、一番易しいものだったから、もう少し複雑にしないといけないのね」

 そうなんだ。

「って、偉そうなこといってるけど、もう寝なきゃいけないんじゃない?」

 分かったよ。今日は、ここまでにしよう。

 完成できなくて、ゴメン。

「楽しみが、増えたわ」

 おやすみ。

「おやすみ」

 現在2016年12月19日2時38分である。おしまい。