女の人のところへ来たドラえもん

21歳の女の人と43歳の男の人が意気投合し、社会の矛盾に科学的に挑戦していく過程です。                    ブログの先頭に戻るには、表題のロゴをクリックして下さい。                                   数式の変形。必ずひと言、添えてよ。それを守ってくれたら、今後も数学に付き合ってあげる。

整数環(整数のまとめ)

 現在2019年5月30日17時39分である。

 色々、検討したけど、この『整数環』という連載での、自然数の掛け算の定義(定義35 乗法)が、もっと楽な方法で、できることに気付いたので、一気に、自然数の掛け算の新しい定義も含めて、『有理数体』という新しい連載を、始めようと思う。定義や公理や定理の番号は、全部通しで付けてるので、過去のものを、他のものに置き換える時、どうやるか? というのも、やって見せようと思う。

「『整数環』は、なくしちゃうの?」

 いや、全部、温存する。

 相対性理論のブログで、『「やっほー」の効果(その2)』の中で、(有理数{\mathbb{Q}} なんてのも、書いたけど、これがどんなものか、説明するよ。

 そして、一番やりたいのは、実数体 {\mathbb{R}} を構成することなんだけど、これを、普通にやる場合、『デーデキントの切断』を、用いるか、『有界コーシー列を同値関係で割ること』を、用いるんだけど、私達は、『超有理数体の有限部分環を無限小超有理数の作るイデアルで、割る』という方法で、やってみようと思う。

「どうして、その方法を?」

 『真理のカメさん』を、早く、麻友さんに会わせたいからだよ。

「あっ、実数作るのに、『真理のカメさん』使えるんだ」

 そう。この方法で、実数を作ると、無限小の数や無限大の数が、あって当たり前のように、思える。

「難しそう」

 それは、確かに難しい。大学の数学科で、3年生くらいで習うことだ。

「それは、私には、無理よ」

 挑戦する前から無理だと言うなんて、特待生の称号、剥奪するぞ。

「剥奪されてもいい。そんな難しいもの、説明されても、分からない。眠くなっちゃう」

 分からない本を、読むとき、私がどうやっているか、教えてあげよう。

 まず、小説を読むように、日本語だけ、読むんだよ。数式は、無視して。

 それで、読んだ感じで、

『これを、精読するには、これと、これを、片付けておかなければ、ならないな』

と、見通しを立てて、準備ができてから、数式も追いながら、丁寧に読むんだ。

 私が、本当に、数式も追いながら、丁寧に読めた本なんて、数えるほどだよ。

「ボロボロにした『数学基礎概説』?」

 『現代論理学』もね。

「『数Ⅲ方式ガロアの理論』は?」

 第29章まであるうちの、第17章までだよ。

「なんだ、太郎さんって、たいしたことないのね」

 おお、さすが、特待生。

「それで、この後に書いてあるのは?」

 『整数環』での定義や公理や定理の一覧だよ。

「つまり、復習ね」

 定義 23 だけ、まだ必要ないのに、環の定義なんか、長々と書いてるから、分からなければ、飛ばしていいよ。

「分かった。太郎さんが、ちょっと、言葉を、補ってくれてるのね」

 もちろんだよ。

 じゃあ、始めるよ。


『整数環』~『整数環(その8)』

から、定義、公理、定理を引用する。



『整数環(その2)』より


 定義 18

 ものの集まりである『集合』という言葉を定義する。

 集合は、今は説明できないが、22個ほどの公理(約束事)を満たすものとして、定義される。

 まだ、証明できないが、あるものの集まりが、集合であることが分かっているとき、そのものの集まりのうちの集まっているものの一部だけを集めた集まりは、やっぱり集合になるということが、後に証明される。

 だから、集合の一部分は、集合だと知っていると役に立つ。

 この集合の一部分は、元の集合の部分集合という。

 こういう、集合という言葉を使うことを、認める。

 定義 18 終わり




 定義 19

 自然数{1}を、袋に入れたものを想像して、それを、

{ \{ 1 \} }

と、表す。

 これが、集合だと認める。

 これを、{1}を要素とする集合と呼ぶ。

 定義 19 終わり




 定義 20

 自然数{A}{B}があったとき、{A}{B}を袋に入れたところを想像し、それを、

{ \{ A,B \} }

と表す。

 これが、集合だと、認める。

 これを、{A}{B}を要素とする集合と呼ぶ。

 定義 20 終わり



 例 21

 以下のものは、集合である。

{ \{ 1+1 \} }

{ \{ 1,1+1 \} }

{ \{ 1+1,1+1+1 \} }

{ \{ 1,1 \} }

{ \{ 1,1+1+1+1+1 \} }

 例 21 終わり



 公理 22(I.集合になるための十分条件

{\forall X \forall Y ( X \in Y \Longrightarrow m(X))}

何かの要素になれば、集合である。

 公理 22 終わり


 定義 23 は、分からなくても良いです。


 定義 23

 集合{R}が、空集合でないとする。

 このとき、{R}の2つの要素、{x,y}に対し、{R}の新しい要素を決める約束事が決まっていて、その新しい要素を、{x+y}と、表すことになっていたとしよう。

 次に、{R}の2つの要素、{x,y}に対し、{R}の新しい要素を決める先ほどとは違う約束事が決まっていて、その新しい要素を、今回は、{xy}と、表すことになっていたとしよう。

 さて、上のような約束事を演算(えんざん)といい、{+}の方の演算を、加法(かほう)といい、もう一方を、乗法(じょうほう)とよぶ。

 そして、演算が、次の3条件を満たすような集合{R}を、環(かん)であるという。環をつくる。環をなす。ともいう。

(1){R}は、加法に関し、可換群(かかんぐん)である。

    可換群とは、次のA,B,C,Dが成り立つもののことである。

    A.{(x+y)+z=x+(y+z) \ \ \ \ (\forall x,y,z \in R)}(加法の結合法則

    B.{Rの要素zで、任意のxに対し、x+z=x}
        {となるものが、存在する。}(零元の存在)

    C.{Rの任意の要素xに対し、上で存在するといわれているzについて、}
        {x+x'=zとなるようなx'が、存在する。}(加法の逆元の存在)

    D.{x+y=y+x \ \ \ \ (\forall x,y \in R)}(加法の交換法則)


(2)乗法に関する結合法則が、成り立つ。すなわち、

    {(xy)z=x(yz) \ \ \ \ (\forall x,y,z \in R)}

   が成り立つ。


(3)加法と乗法の間に分配法則が、成り立つ。すなわち、

    {x(y+z)=xy+xz \ ,\ (x+y)z=xz+yz \ \ \ \ (\forall x,y,z \in R)}

   が成り立つ。

 以上です。

 定義 23 終わり





『手加減しないで!』より


 定義 24  秒

 私達は、後に改めて定めるまで、時間を計る基準として、渡辺麻友スマホの時計に表示される時間を用いる。

 基本的に、単位は、秒{(\mathrm{s})}であり、分{(\mathrm{m})}や、時間{(\mathrm{h})}も、用いる。

 定義 24 終わり





『整数環(その3)』より



 定理 25    足し算の結合法則

 自然数{A,B,C} について、

{(A+B)+C=A+(B+C)}

が成り立つ。

 証明

 今、3つの自然数を、次のようなものとしよう。

{A=1+1+1}

{B=1+1+1+1}

{C=1+1}

 この時、

{A+B+C}

として、

{(1+1+1)+(1+1+1+1)+(1+1)=1+1+1+1+1+1+1+1+1}

を結果として与えることに定義すると、これは、

{(A+B)+C= \bigl((1+1+1)+(1+1+1+1)\bigr)+(1+1)}

と、同じであり、

{A+(B+C)=(1+1+1)+\bigl((1+1+1+1)+(1+1)\bigr)}

とも同じである。

 ここで、同じであるとは、つまり、1の並んでいる絵が、模様として同じであるということである。

 ただし、括弧『()』は、見る人のためにつけてあるだけで、自然数の絵としては、そんなものはないとする。

 そうすると、

{(A+B)+C=A+(B+C)}

であり、足し算の結合法則が、成り立つ。

 そこで、以後、

{A+B+C=(A+B)+C=A+(B+C)}

を、{A+B+C}の定義とする。

 定理 25 証明終わり

 証明できているのだろうかと、余り悩まないで。


『整数環(その5)』より


 定義 26 座標

 {A,B} を自然数とするとき、

 {(A,B)}

のように、括弧(かっこ)でくくって、2つの自然数を書いたものを、自然数に値(あたい)をとる座標(ざひょう)という。

 {(A,B)=(C,D)}

の時には、

 {A=C かつ B=D}

が成り立っているものと、約束する。

 定義 26 終わり



 公理 27

 自然数全部の集まり、

{\mathbb{N}=\{X|\forall Y(1 \in Y \wedge \forall Z(Z \in Y \Rightarrow Z+1 \in Y) \Rightarrow X \in Y) \} }

は、集合である。

 公理 27 終わり


 1が入っていて、Zが入ってれば、Z+1も入っていて、そういうものだけなのは、自然数の集合だけ。

 そして、その自然数が、集合になると、公理で定める。

 ただし、私達の自然数というとき、{\mathbb{N}} と表したときは、0は含まないとする。自然数を、{\omega} (オメガ)と表したときは、{0} を含むとしよう(正確には、集合論では空集合 {\emptyset}{0} と定義し、{\omega} に入っていると、する)。集合論では、自然数の集合を、{\omega} と表すのは、一般的です。私達は、このように、使い分けよう。



 定義 28 正の整数

 {n \in \mathbb{N}} を、自然数とするとき、集合、

{\{(X+n,X)|X \in \mathbb{N}\}}

を、整数の {n} と呼び、混乱の恐れのないときは、これも、{n} と書く。

 定義 28 終わり



 定義 29 {\mathbb{N}} の直積(ちょくせき)

{\mathbb{N \times N}:= \{(m,n)|m \in \mathbb{N} \wedge n \in \mathbb{N} \} }

と、定義して、左辺を、自然数 {\mathbb{N}} の直積(ちょくせき)という。{\mathbb{N}^2} とも書く。

 定義 29 終わり

『:=』という記号は、右辺によって、左辺を定義します。という記号。

 今後は、これらは、同じものとするよ、という意味だと思って下さい。



 定義 30 整数のゼロ

 以下の集合を、整数のゼロと呼ぶ。

{0:=\{ (X,X) |X \in \mathbb{N} \}}

 定義 30 終わり



 定義 31 負の整数

 {n \in \mathbb{N}} を、自然数とするとき、集合、

{\{(X,X+n)|X \in \mathbb{N}\}}

を、整数のマイナスエヌと呼び、混乱の恐れのないときは、これを、{-n} と書く。

 定義 31 終わり


 混乱の恐れのないとき、というのは、私達の自然数は、{1+1+1} みたいなものだけでしたね。

 ところで、ここで定義した、マイナスさんというのは、

{\{(1,1+1+1+1),(1+1,1+1+1+1+1),\cdots \}}

というような、集合なんですよ。これが、整数のマイナスさんなのです。

 ところで、混乱の恐れがないときは、これを、{-(1+1+1)} と、表しますよ。という注意なんです。

 {3} は、{1+1+1} の省略記号ですから、{-3} と、書くことも許されます。念のため。



 定義 32 整数の加法

 2つの整数、{[(A,B)]} と {[(C,D)]} に対し、それらの和を、

{[(A,B)]+[(C,D)]:=[(A+C,B+D)]}

によって、定義する。これを求める算法を、加法という。

 定義 32 終わり




 定義 33 マイナス

 整数、{n=[(A,B)]} に対し、

{-n:=[(B,A)]}

によって、マイナスエヌを定義する。

 定義 33 終わり




 定義 34 減法

 整数 {m,n} に対し、

{m-n:=m+(-n)}

を、エム引くエヌといい、この演算を減法という。引き算ともいう。

 定義 34 終わり



『整数環(その6)』より

 この定義を、もっと分かり易いものに、そのうち変えるね。

 定義 35  乗法

 {A,B} を、自然数とする。

 {B=1} のとき、

 {A \times B=A \times 1=A}

と、定める。

 次に、自然数{C} を用いて、

{B=C+1} と、表されるとき、

 {A \times B =A \times (C+1) =A \times C+A}

と、定める。

 自然数は、{1} をいくつかつなぎ合わせたものであったから、{B} は、どちらかに分類される。

 そして、{1} の個数は有限個であるから、ある回数下の場合が起こった後は、{B} は、{1} になり、{A \times B}は、ある個数、{1} の並んだものとなる。

 これを、{A,B} の積という。

 そして、積を求める算法を、かけ算、または、乗法という。

 定義 35 終わり




 定理 36

 {n} を、自然数とするとき、

{10^n=1\underbrace{0 \cdots 0}_{n}}

{10^{-n}=\underbrace{0.0 \cdots 0}_{n}1}

が、成り立つ。

 証明

 小数点を実際に動かすことで分かる。

 定理 36 証明終わり


{10^{-3}=\underbrace{0.00}_{3}1} とか、やったね。



 以上で、『整数環』の連載の中の、定義、公理、定理は、終わりである。


 次なる、『有理数体』に、乞うご期待。

「分かったわ。楽しみにしてる。それにしても、太郎さんの話は、物理学よりも、分子生物学よりも、音楽よりも、数学の話が多いわね」

 やっぱり、一番数学が好きなんだね。

 あっ、もちろん、麻友さんの方が、好きだけど。

「そんな、とってつけたようなこと、言わなくていいわよ」

 じゃあ、もう眠いから寝るね。

「おやすみ」

 おやすみ。

 現在2019年5月30日22時06分である。おしまい。