女の人のところへ来たドラえもん

21歳の女の人と43歳の男の人が意気投合し、社会の矛盾に科学的に挑戦していく過程です。                    ブログの先頭に戻るには、表題のロゴをクリックして下さい。

有理数体

 現在2019年6月12日15時07分である。

「太郎さん。あの本は、本当に出版されるの?」

 大丈夫。昨日の23時に、社長から、

『無事に印刷所に入稿しました』

と、連絡があった。

「今の時代って、出版って、簡単なのね」

 麻友さんだって、本、出版したじゃないか。

まゆゆきりん「往復書簡」(双葉社


「でも、あれは、色んな人の手を借りてるのよ」

 まあ、私達だって、4人だけではない。

「でも、出版されることになって、良かったわ。ドラミちゃんに助けてもらったとは言え、私、いけにえになるところだったもの」

 あれは、申し訳なかった。


 それで、『有理数体』始めたのね。


 そうなんだけど、前回のまとめの記事で、1つ漏れている概念があった。

 同値類という言葉だ。

「あれは、良く分からなかったのよ」

 一応、ここで、再現してみよう。


.
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 定義 32 整数の加法

{(X,\cdots}


 上手く書けないわ」

 うん。麻友さんの語彙では、それは、無理だね。

 あの時、言葉だけ教えた、『同値類(どうちるい)』という概念を使わないと、書けない。

 まず、自然数の直積、{\mathbb{N \times N}} のうち、例えば、{(4,2)} という座標の点は、{ \{ (3,1),(4,2),(5,3),\cdots \} } という集合に属している。そして、同時に2つのこういう集合に属していると言うことはないね。

「傾き1の直線が交わることはないから、確かにそうね」

 そういうとき、{ \{ (3,1),(4,2),(5,3),\cdots \} } のような集合のひとつひとつを、同値類と言って、{(4,2)} は、{ \{ (3,1),(4,2),(5,3),\cdots \} } の同値類に属すという。

 そして、これが重要なんだけど、{(4,2)} の属す同値類のことを、大括弧でくくって、{[(4,2)]} と、表すんだ。

「代表だけで、全体を、表しちゃうの?」

 これはねぇ、最初は、すっごく気持ち悪いと思う。

 私も、大学に入学したばかりの頃、川口周君の『代数概論』のゼミに出ていて、どうしても分からず、困っていたとき、川口君が、

{\mathbb{Z}/n \mathbb{Z}} というのは、{ \{ \overline{0},\overline{1},\overline{2},\cdots,\overline{n-1} \} } みたいなものなんですよ』

と、書いてくれて、

『ああ、代表だけ取ってきたようなものですか』

と、分かったというわけなんだ。

「太郎さんでも、分からなかったのなら、安心ね」

 これは、実際に使ってみると、納得できるんだ。


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 以上『整数環(その5)』から引用。




「あっ、前、読んだときより、ちょっと分かった」

 そう。繰り返しやることで、難しいことも、分かってくる。

 代表だけで計算してても、矛盾が起きない。つまり、{\mathrm{well}}-{\mathrm{defined}}になってる、ということの意味が分かったとき、一気に霧が晴れる。

「同値類って、大学生の語彙よね。私が分かったら、表彰状ものよね」


 さて、有理数へ向けて、まず掛け算の定義を、見直そう。

「太郎さん。掛け算の定義を、『定義 35 乗法』でやったのを、見直すって?」

 うん。一応、あのとき、どう定義したか、見直しておこう。


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 かけ算はね、足し算とは比べものにならないくらい、複雑になる。

 やってみよう。



 定義 35  乗法

 {A,B} を、自然数とする。

 {B=1} のとき、

 {A \times B=A \times 1=A}

と、定める。

 次に、自然数{C} を用いて、

{B=C+1} と、表されるとき、

 {A \times B =A \times (C+1) =A \times C+A}

と、定める。

 自然数は、{1} をいくつかつなぎ合わせたものであったから、{B} は、どちらかに分類される。

 そして、{1} の個数は有限個であるから、ある回数下の場合が起こった後は、{B} は、{1} になり、{A \times B}は、ある個数、{1} の並んだものとなる。

 これを、{A,B} の積という。

 そして、積を求める算法を、かけ算、または、乗法という。

 定義 35 終わり



「わっ、難しい。どうして、自然数は、{A=1+1+1+1} とか、{B=1+1+1} なんだから、

{A \times B}
{ = 1+1+1+1}
{+1+1+1+1}
{+1+1+1+1}

より、

{A \times B =\overbrace{1+ \cdots +1}^{12}}

と、しないの?」

 この場合の、{B} 個、つまり、{3} 個縦に並べる、という概念は、今までの {1} を1列に並べるという発想では、とらえきれないんだ。

 小学校では、四角く並べたものの個数と言って通じるけど、厳格に {+} という記号だけ使うとすると、そんなことは、できない。

「でも、その新しいものを、{\times} なんだとしたら?」

 {+} の記号を定義するときは、最初だったから、自由にできた。でも、2番目の {\times} を定義するときには、今までの {+} との関係を明らかにしなくてはならない。

 しかも、ふたつの自然数から、ひとつの自然数を決める。自然数は、{1}{+} でつないだものだけだと定義してある。

「ああ、そうか。それで、あんな段階的なものにしたのか」

 そう。

 例えば、麻友さんの例なら、

{ \begin{eqnarray} A \times B &=&(1+1+1+1)\times (1+1+1)\\
&=& \{(1+1+1+1) \times (1+1) \}+(1+1+1+1)\\
&=& \{(1+1+1+1) \times (1) \}+(1+1+1+1)+(1+1+1+1)\\
&=& (1+1+1+1)+(1+1+1+1)+(1+1+1+1)
\end{eqnarray}}

というように、ひとつずつほぐしていく。

「こうすることの、メリットは、何かあるの?」

 足し算だけを使って定義してあるから、かけ算の交換法則や、かけ算の結合法則を、足し算の定義だけから証明することができる。

「ああ、なるほど」

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 以上『整数環(その6)』から引用。


 こういうことだったんだよね。

「そうだったわね。私が、なんとかならないのって言った」

 それが、なんとかなったんだ。

「どうやって?」



と、書いてたところに、あの映像!

「あっ、太郎さん、観てる」

 そう、麻友さんには、窓に映る映像で、私の目に映っているものが、見えるんだよね。

「この前の、気付いたかしら?」

 大丈夫、今回は、壁紙を、ブログに載せたりしないから。

 この前、6月3日に載せたら、スタッフさんが、スタッフブログ、半年ぶりに慌てて更新して、

『転載禁止です』

っていう、メッセージ送ってきたものね。

「そりゃ、そうよ。ファンクラブ会員限定の壁紙なんだから」

 だからこの場合、言葉で、書かなければ、ならないんだね。

 まず2月1日に、麻友さんは、なんだか物騒なものを持っている壁紙を、発表した。

『これなんだろう?』

と思って、周りを見たら、ビリヤード場(プールバーともいう)だと分かった。

 それで、麻友さんに、以下のツイートをした。

「太郎さん。ポール・ニューマンがアカデミー主演男優賞獲った、『ハスラー2』を貶すなんて」

 いや、『ハスラー2』は、やっぱり駄作だよ。本当は、その1つ前にノミネートされた、『評決』で、取らせてあげたかった。

「『評決』って、いいの?」

 って、こういう風に、話が繋がるでしょ。

 実は、『評決』では、シャーロット・ランプリングが、ポール・ニューマンの恋人になってる。

 この映画の一番すごいところは、評決のシーンではない。

 普通、女の人を殴る場合、平手打ちにするものだよね。

 女の人の顔だし。

 ところが、この映画の中で、自分の敵側だったことを知って、ものすっごく怒ったポール・ニューマンが、バーの中で、近付いていって、もう知られたと分かっているシャーロット・ランプリングを、思いっきり拳骨で殴るんだ。

 初めて観たのは、高校生のときだったけど、男の人が、なぜそこまで、怒ったのか、分からなかった。

 母が、

『自分の本当に大切にしていたもの(この場合、弁護士という仕事)を、台無しにされたからだよ』

と、言った。

 それは、最後のシーン(鳴り続ける電話)にも、表れている。

 この映画に、納得するまでには、何年もかかった。

「太郎さんに、映画を語らせると、止まらないわね。でも、『ハスラー2』は、一応面白かったわよ」

 でも、

『ちょっと、後なにか』

というのが、なかった?

「まあ、本当の対決は、あの後ですものね。でも、余韻を残すってのも、良いんじゃない?」


 ただ、数学では、いつも、余韻を残してちゃ、いけない。

「でも、『渡辺麻友の笑(ショー)TIME!』、は、面白かったでしょ」


 読んでいる人のために、書いておくが、今日(2019年6月12日)、麻友さんが、ファンクラブのMOVIEに新しい動画を加え、それが、私のリクエストのビリヤード攻略だったのだ。

 もちろん、2月の麻友さんの壁紙を見て、同じ提案をしたファンは、他にもいたかも知れない。

 だが、もし、麻友さんが、私を拒みたかったら、火に油を注ぎそうな、動画をアップするのを、控えただろう。

 こんな気違い、つけあがらせたら、大変なことになると。

 でも、麻友さんは、私の提案を、受け入れてくれた。

 ふたりの心が、『シンクロときめき』しているのは、疑いようがない。

 しかも、周囲も巻き込んでいる。

 シモーヌ・ド・ボーヴォワールと、ジャン・ポール・サルトルみたいな、感じだ。



「動画、長かった?」

 長くはないけど、麻友さんの声しか、マイクが拾ってなかったのは、なぜ?

 別に、男の人のインストラクターでもないし、普通に流せなかったの?

「あれは、ちょっと、手違いがあったの、次回を観てもらえば、分かるわ」

 実は、私も、ビリヤードって、やったことあるんだ。

 ずっと、忘れてたけど、1度しかデートしてないと言ってたけど、分子生物学の女の人と、湧源クラブの広島支部のクリスマス会かなんかで、分子生物学の女の人も、混ざってて、ビリヤード、初めてやったんだ。分子生物学の女の人を京都大学入学前から知ってたのは、この集まりも、関係してる。試験の激励会で会うより前から、つまり、クロイツェルソナタの女の人を好きになる前から、知ってたんだ。

「太郎さんって、冴羽獠並の、女たらしね。本能の赴くままというか」

 あっ、思想と言って欲しいな、思想と!

というのが、『シティーハンター ドラマティックマスター』というのに、入ってるんだ。


「ビリヤードは、次回の方が面白いけど、太郎さんだったら、なぜ、ぶつかって、ぶつかった方と一緒に動いていかないか、説明してくれるかと思ったのに」

 うん。ぶつかった方は止まり、ぶつかられた方だけが、動いていくのは、なぜか?

 銀の、カッチ、カッチ、もそうだよね。

 今、麻友さんに説明しようと思って、理由が分かった。エネルギー保存則と運動量保存則の結果だ。

 厳密に言うと、これらはどちらも、エネルギー運動量テンソルというひとつのものが、時間が経っても全体として変化しないという物理学の中心となる仮説なんだ。

「仮説?」

 何重にも、実験によって確かめられている仮説だよ。

「あっ、じゃあ、昔、エネルギーって、なくなっていく、という話をしたとき、そんなことはない、といったのは、そのエネルギー運動量テンソルが、なくならない、ということなのね」

 あのときは、そこまで、考えてなかった、『細胞の分子生物学』での議論で出てきた、ギブスの自由エネルギーなら、減っていくよ、と、話すつもりだったんだ。

「物理学って、複雑ね」

 でも、こういう学術用語を、大量に浴びていると、分かったような気になる。

 それが、重要なんだよね。


「それで、掛け算の定義は、どうするの?」

 麻友さん、掛け算を小学校で習ったとき、

{4 \times 3}

と、

{3 \times 4}

とは、どう違うと習った?

{4 \times 3} は、{4} が掛けられる数で、{3} が掛ける数で、{4 \times 3} は、{4} が、{3}つ、と習ったわ」

 さすが、特待生。ちゃんと、覚えている。

{4 \times 3} の後ろの数字の分だけの個数、前の数を足すんだよね。

 結果は同じだけど、{3 \times 4} とは、意味が違う。


 そこで、新しい掛け算の定義を、次のように与えよう。


 定義 37  自然数の乗法 (定義35改)

{A=1+1+1+1,B=1+1+1} とするとき、{A \times B} を次のように定義する。

{A \times B =(1+1+1+1)+(1+1+1+1)+(1+1+1+1)}
{~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~\uparrow ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~\uparrow ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~\uparrow}
{~~~~~~~B~~~=~~~~~~~~~1~~~~~~~~~~~~+~~~~~~~~~~~1~~~~~~~~~~~~~~+~~~~~~~~~~~1}

 つまり、{B} の3つの {1} を、{A}{1+1+1+1} で、置き換えたんだ。

 代入したと言ってもよい。

 定義 37 終わり


 3個の4という意味では、筋が通っているでしょう。

「確かに、小学校のように、四角く数字を並べるのよりは、厳密だし、ウソを見抜きやすいわね」

「太郎さんの前回の定義より、遙かに分かり易いわ」

 良かった。


 今日は、これで、終わりにするけど、次回以降、有理数に、近付いていく。

「楽しみにしているわ」

 私も、6月15日の『土曜スタジオパーク』と『有田Pのおもてなす』も、楽しみにしているよ。

「じゃあ、お休み」

 お休み。

 現在2019年6月12日22時30分である。おしまい。