女の人のところへ来たドラえもん

21歳の女の人と43歳の男の人が意気投合し、社会の矛盾に科学的に挑戦していく過程です。                    ブログの先頭に戻るには、表題のロゴをクリックして下さい。

量子色力学との出会い

 現在2021年10月25日18時27分である。(この投稿は、ほぼ5460文字)

麻友「太郎さんって、ひとつ問題を、解決できたな、と思うと、もう新しい問題を、探しに行くのね」

私「新しい問題を、探していたわけでは、ないんだ。10月3日に、今読んでいる、量子力学の教科書の続編を、見ようとしたんだ」

若菜「どの本ですか?」

グライナー『量子力学概論』(シュプリンガー

私「これなんだが」

結弦「アマゾンで、『グライナー 量子力学』カチャカチャ、ポンッ」

結弦「あれっ、続編なんて、ないよ」

私「分かってる。ドイツ語が、原著で、グライナー自身が、英訳してる。図書館に10月3日に予約した」

若菜「あの本ですか。お父さんが、訳したいと言ってた。そうすると、洋書ですね」


グライナー『量子力学特論』

グライナー『量子力学2 対称性』

グライナー『相対論的量子力学 波動方程式

グライナー『量子電磁力学』

グライナー『場の量子化

グライナー『弱い相互作用ゲージ理論


グライナー『量子色力学


若菜「カチャカチャ、こんなにありますよ。しかも、題名にある、『量子色力学』は、最終巻」

私「そんなに、全部、いっぺんに、見る気はなかったんだ。前に話したかも知れないけど、このシリーズのほとんどは、横浜市の図書館に買ってもらっていた。今回は、差し当たって、上の2冊を、取り寄せたんだ」

麻友「横浜市が、わざわざ太郎さんのために」

私「少しは、借りている人も、いるみたいだけど」

結弦「それで、どこから、変節したの?」

私「私は、かねてから、疑問に思っていたことが、あった。それは、今読んでいる『量子力学概論』、そして、『量子力学特論』、そして、『量子力学2 対称性』の3冊は、普通、非相対論的量子力学として、上下巻2冊とか、場合によっては、3つ分を、1冊で、済ましてあるんだ。どうして、グライナーが、書くと、こんなに凄いことになるんだろう? とね」

若菜「題名だけでは、分かりませんが」

私「そう。それで、取り寄せた。結論を言うと、偶然の一致だが、現在私が、一所懸命読んでいる、群論の説明を、グライナーが、物理学科の学生向けに、説明しているからなんだ」

若菜「そうすると、お父さんは、この2冊は、必要ないと」

私「眺めるだけで、良いかも知れない」


結弦「それから、どうやったら、量子色力学へ、行くの?」

私「さっき、結弦が、アマゾンで、『グライナー 量子力学』と、やったとき、一緒に、

グライナー『熱力学・統計力学

というのも、ヒットしただろう。あれだけは、訳されているんだよね。『量子力学概論』の他に」

結弦「お父さんとしては、段々、熱力学とかにも、目が行くようになった?」

私「熱力学や、統計力学は、もう良い本をいっぱい持っているから、いいのだけど、借りるだけなら、タダだからと、予約を入れた」


グライナー『熱力学・統計力学』(丸善出版


若菜「丸善出版なんですね」

私「シュプリンガーフェアラークって、有名な会社なんだけど、理学書って高いから、あまり売れなくて、さらに易しい本ばっかり売れるものだから、日本での版権を、丸善に渡して、販売してもらっているみたい。東京図書みたいに、ランダウ理論物理学教程や、ブルバキを絶版にしたままにするより、よっぽど良いよね」

結弦「そんなこと言うと、東京図書から、刺客を放たれるぞ」

私「実は、今日の話は、なぜ東京図書が、これだけ非難されながら、ランダウを出版できないのかにも触れる」

結弦「東京図書のためでもあるの?」

麻友「まあ、見ていましょう」


私「今日、鶴見図書館で、3冊の予約してあった本を、受け取った。


グライナー『熱力学・統計力学』(丸善出版

デュドネ『数学史Ⅰ』(岩波書店

斎藤毅『集合と位相』(東京大学出版会


の3冊だ」

若菜「『集合と位相』いつもの、岩波のものではない、『数学原論』書いた人の本だわ。斎藤毅(さいとう たけし)って、凄い名前だから、覚えてる」

麻友「『集合と位相』の本、まだ必要だったの?」

私「1度は、選択公理を用いて、ツォルンの補題を導く証明に、OK 出して、ブログ記事にもしたんだけど、岩波の方の『集合と位相』

彌永『集合と位相』(岩波基礎数学選書)

の、証明中に現れる、『{\alpha} を含む塔』というのが、私の中で、解決し切れてなくて、ちょっと、他の本でも、見てみようか? ということだったんだ」

若菜「解決したんですか?」

私「図書館で、本を借りて、いつものように、そばのソファに座って、もうひとつの『集合と位相』を、開くが、『塔』という言葉はないけど、同様に分かりにくい証明。ガッカリして、グライナーの本を開いたのが、良かった」

結弦「そこ、動画撮っていたかったな」

私「バラバラ見た後、目次を、見ていく。第18章まである中の、第15章に、『相対論的ボーズおよびフェルミ気体の応用』とあり、15.1節に『ビッグバンや重イオン衝突の際のクォーク・グルオンプラズマ 387ページ』とある。すっごく、面白そうと、387ページを、開く。


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 今日の素粒子物理では,量子色力学(quantum chromodynamics, QCD)が強い相互作用の基本理論であると考えられている(本シリーズ『量子電気力学』参照).


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と、始まる」

結弦「えっ、『量子電気力学』じゃなくて、『量子色力学』なんじゃない?」

私「このレヴェルになると、どこでそのことを議論しているか、題名だけでは、判定できない。とにかく、読み進む。


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QCD は QED では見られない性質をたくさんもつ.QCD の基本方程式を解くことは残念ながら今の所,不可能である.このため,計算機シミュレーション(格子ゲージ理論)により部分的に検証されている模型に依って議論せざるを得ない.


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これ読んで、どう思う?」

麻友「言葉が、難しくて、分からないことばっかりだけど、太郎さんは、『QCD の基本方程式を解くことは残念ながら今の所,不可能である.』というのに、燃え上がったのかしら?」

私「というか、この文章全体からして、コンピューターで、計算しなければ、クォークの性質が、分からない。つまり、陽子と中性子がくっついている理由が、手計算では、ほとんど分からないということなんだよ」

若菜「あれっ、陽子と中性子が、くっついて、重陽子、もうひとつ中性子が、くっついて、三重水素トリチウム)というのを、核融合発電所のときやりましたが、あれは、砂上の楼閣ですか?」

私「少なくとも、この本の書かれた、1995年には、そうだったんだ」

麻友「でも、そんなはずない。グライナーは、誠実でないのかも知れない。あの誠実な、ランダウは、どう書いているのよ」

私「そこで、東京図書の弁護をすることに、なる。実は、ランダウは、生前、強い相互作用のことも、『相対論的量子力学』の中に、量子電磁力学(QED)と共に、書いていた。ただ、ランダウ自身、厳密でないその理論を、嫌がっていた。そんな中、物理学は、群論を用いるゲージ理論というものを生み出し、クォークモデルというもので、クォークと、グルーオンというものを用いて、強い相互作用に、決着を付けた」

若菜「じゃあ、ランダウは?」

私「ゲルマンとツワイクが、クォークモデルを提唱したのは、1964年。ランダウは、どうだった?」

麻友「あっ、1962年に、交通事故に遭ってる。ノーベル賞委員会が、『ランダウノーベル賞与えてなかったとあっては、面子が立たない』と、あわててその年、ノーベル物理学賞贈ったのよね。だから、覚えてる」

私「そうなんだ。ランダウは、事故の後、ほとんど物理学を考えられない状態だった。そして、理論物理学教程は、あくまでも、ランダウのやりたいように、やりたかった。それで、もうクォークモデルを、書くことはできない(本当のところは、あの教程は、リフシッツのペンから生まれたものなのだが)ということで、『相対論的量子力学』の巻は、『量子電磁力学』と題名を変え、QED だけの本になったんだ」

結弦「えっ、東京図書の弁護は?」

私「つまりね、古い本に、いつまでも頼ってたら、駄目だよ。と、言うことなんだよ。ランダウ理論物理学教程が、良いものだったのなら、新しく、もっと良いものを、書きましょう、ということ。そして、もうひとつ、ランダウの『量子電磁力学』が、訳されていないお陰で、ランダウの時代の強い相互作用の理論を書いた本が、図書館などで、見られるというのも、いいね」


若菜「科学って、本当に、人間くさいというか、決して、計算だけでは、ないんですね」

私「私、今日、3冊借りただろう」

麻友「そうね。デュドネって、『解析入門Ⅰ』のレヴューにあった、教科書を、超えているという人ね」

私「その本、

自体は、横浜市の図書館になかったんだけど、デュドネ編の『数学史Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ』というのが、あったので、Ⅰ巻だけ、借りてみた」

結弦「それも、図書館のソファで、読んできたの?」

私「いや、あれでもう満腹で、『クォークか。要するに、強い相互作用を、するんだよな。QED は、電子と光子の理論。私は、まだこれすら、分かってない。強い相互作用や、弱い相互作用って、どうやって計算するんだ?』などと考えながら、帰ってきた」

若菜「家に帰ってきて、『数学史Ⅰ』を、見た?」

私「時代がかった本で、

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こんなことになっている」

麻友「そんな本が、残っているのね。でも、太郎さんが、この大発見の後、まだ話を続けるのは、理由があるのよね」

私「いつものことで、参考文献から見る。そうすると、その向かいのページに、

D) Weil 予想

とあって、最後に、


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一般化された《Riemann予想》は最も難しい予想であったが,最終的に1973年 Deligne により Grothendiek の理論を本質的に使って証明された([12],(48),(い)).


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と書いてあった」

麻友「どういうことなの?」

私「ミレニアム懸賞金問題の1つ、リーマン予想は、もう1973年に、解かれている。また、その解決に功績のあった、ヴェイユが、最初に証明したのは、1948年。だから、ヴェイユは、ブルバキの『数学原論』の集合論の10ページで、堂々と、リーマン予想は正しいと読める記号列を、証明できる論理式として、書けたんだ」

若菜「お父さんは、ショックじゃないの?」

私「リーマン予想は、私には、解けないだろうと前から、思っていた。むしろ、皆の前で、いっぱいしゃべった、リーマンゼータ関数の3での厳密値が、超越数かどうかや、5での厳密値が、無理数かどうか、ということの方が、前から気になっている。Weil の本を読んだら、分かるのかな?」

結弦「こういう、もう分かっていることを、一般の人に隠して置いて、自力で証明してくる人間を、選抜しているという、学問の在り方って、許されるのかな?」

若菜「でも、全部の問題が、解けているわけでは、ないでしょ」

麻友「それを、見分けるために、専門家というのは、いるんじゃないかしら?」

私「そうなんだろうね。取り敢えず、リーマン予想への登攀で、行方不明にはならない。安全だね。今日は、それが分かって、満足。これで、お開き」

若菜・結弦「おやすみなさーい」

麻友「おやすみ」

私「おやすみ」

 現在2021年10月25日23時12分である。おしまい。