女の人のところへ来たドラえもん

21歳の女の人と43歳の男の人が意気投合し、社会の矛盾に科学的に挑戦していく過程です。                    ブログの先頭に戻るには、表題のロゴをクリックして下さい。                                   数式の変形。必ずひと言、添えてよ。それを守ってくれたら、今後も数学に付き合ってあげる。

忘我の喜び

 現在2022年6月24日20時59分である。(この投稿は、ほぼ6760文字)

 6月17日深夜(6月18日0時頃)に投稿した後、ポートで『忘我の喜び』と言っても良いほどの計算上の成功に酔ったり(6月20日)、結弦が実家へ来たので、会いに行ったり(6月21日)、数理物理学の難しい文献を読んでいて、それが40年前の本であることに気付き、現在物理学でやるべき事は、なにかと考えたり(6月22日)、と、色々あって、投稿の断片だけ書くものの、完成させられなかった。今夜、一部分を、とにかく投稿してしまうこととする。



 現在2022年6月20日21時29分である。

麻友「なんか今日は、ポートへ行って、ゴキゲンだったそうじゃない?」

私「数学の計算が、上手く行かなくて、1時間くらい腐ってたのが、ひとつ式を書いた途端、パーッと全部、解決して、最後まで行っちゃうという経験は、麻友さんでも小さいのは、1、2度は経験あるんじゃないかな?」

麻友「そういう数学の、スカッというのも、少しは、知ってるけど、今日の太郎さんのは、凄かったの?」

私「これは、説明せずには、いられない」

若菜「お父さんが、お母さんと、結婚したいのは、この数学の説明を、したいからなんでしょうねえ」

結弦「なんか、この本、

自体は、余り進んでないみたいなんだけど」

私「本を100ページ読むのと、1行、式を理解するのが、同じくらいの価値のことが、あるんだ」

若菜「第15講のスキャンしてましたね。説明してもらえませんか」

私「そうだな。


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   第15講

アーベルの問題とサイクロイド振り子


テーマ

◆降下の時間と高低差の関係(アーベルの問題)
◆等時性が厳密に成り立つサイクロイド振り子
◆Tea Time:振り子時計


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私「と、始まるが、第15講全部やらなくても、いいよね。本来、麻友さん達は(或いは麻友さん本人は)微分積分を、ほとんど知らないのだから。そういう訳で、『
現代論理学(その32) - 1から始める数学』のときと、『
易しいことと難しいこと - 女の人のところへ来たドラえもん』のときの {\TeX} 原稿を生かして、ダーッと進む。


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       アーベルの問題

 1つの質点が重力の影響のもとで1つの鉛直面内で動くとき,静止の状態から出発した質点の降下時間が落下の高さの与えられた関数になるような経路を求めること.これはアーベル(Abel)の問題という有名な問題である.


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というのが、問題提起。さて、(1)、(2)、(3)、(4)、式は、飛ばして、(5)式から、説明する。そこまでの、スキャン原稿は、

だ。私の書き込みで、(1)~(4)も、ある程度分かると思う。さらに進んで、


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{\displaystyle \varphi(\xi)=\sqrt{1+\biggl(\frac{dy}{d \xi} \biggr)^2}}  (5)

とおけば(3)は

{\displaystyle \int_0^x \frac{\varphi (\xi )}{\sqrt{x-\xi}} d \xi =f(x)}  (6)

となる.これがアーベルの問題の基本的な方程式である.この方程式の解 {\varphi (\xi )} を知れば,求める曲線 {y=y (\xi )} は(5)を解いて得られる。{\blacksquare}

【アーベルの方程式の解】

(6)を解くためにこの方程式の両辺に {\displaystyle \frac{1}{\sqrt{z-x}}} をかけて {x} について積分する(テキスト図58 参照).左辺は積分の順序を変えると

{\displaystyle \int_0^z \int_0^x \frac{\varphi (\xi )}{\sqrt{(z-x)(x-\xi)}} d \xi dx=\int_0^z \varphi (\xi ) \int_{\xi} ^z   \frac{1}{\sqrt{(z-x)(x-\xi)}} dx d \xi} (7)

となる.この右辺の積分

{\displaystyle x=\frac{\{(z+\xi )+(z-\xi) \cos{\theta}\}}{2}}   (8)

とおけば {\displaystyle \sqrt{(z-x)(x-\xi)}=\biggl\{\frac{(z-\xi )}{2} \biggr\} \sin{\theta}}

{\displaystyle dx=-\biggl\{\frac{(z-\xi )}{2} \biggr\} \sin{\theta} d {\theta}}なので

{\displaystyle\int_{\xi} ^z   \frac{dx}{\sqrt{(z-x)(x-\xi)}} =-\int_{\pi}^{0} d \theta =\pi } {(z>\xi )}  (9)

である。
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              (『一般力学30講』87ページより)

の、(8)式から、次の2式が、導けなくて、苦労していた。というのが、4月5日の『現代論理学(その32)』のとき」

麻友「それで、どうなったの?」

私「何度も、{x} を含む式を、計算した。


{\displaystyle z-x=z -z\frac{1+\cos{\theta}}{2}-\xi \frac{1-\cos{\theta}}{2}}

{\displaystyle =z\frac{1-\cos{\theta}}{2}-\xi \frac{1-\cos{\theta}}{2}}

{\displaystyle =(z-\xi ) \frac{1-\cos{\theta}}{2}}

と、

{\displaystyle x- \xi=z \frac{1+\cos{\theta}}{2}-\xi \frac{1+\cos{\theta}}{2}}

{\displaystyle =(z-\xi) \frac{1+\cos{\theta}}{2}}

まで計算して、これを、掛け合わす。

{\displaystyle (z-x)(x- \xi) =(z-\xi ) \frac{1-\cos{\theta}}{2} \times (z-\xi) \frac{1+\cos{\theta}}{2}}

{\displaystyle =(z-\xi )^2 \frac{(1-\cos{\theta})(1+\cos{\theta})}{4}}

{\displaystyle =(z-\xi )^2 \frac{(1-\cos^2{\theta})}{4}}

 上手くできたもので、{(1-\cos^2{\theta})=\sin^2{\theta}} となるから、

{\displaystyle (z-x)(x- \xi)=(z-\xi )^2 \frac{(1-\cos^2{\theta})}{4}}

{\displaystyle =(z-\xi )^2 \frac{\sin^2{\theta}}{4}}

となって、

{\displaystyle \sqrt{(z-x)(x- \xi)} = \sqrt{(z-\xi )^2 \frac{\sin^2{\theta}}{4}}=(z-\xi) \frac{\sin{\theta}}{2}}

と、根号が、外れる。後は、積分を、間違えないようにやる。ここで、動いている変数が、{x} と、{\theta} だけで、{\xi} や、{z} は、この外の積分でだけ、変数であることに気付くと、(8)から、

{\displaystyle dx=  - (z-\xi) \frac{\sin{\theta}}{2}d \theta}

であるから、(9)式が、

{\displaystyle\int_{\xi} ^z \frac{dx}{\sqrt{(z-x)(x-\xi)}} =-\int_{\pi}^{0} d \theta =\pi }  {(z>\xi )~~~~(9)}

というのが正しいことは、

{\displaystyle \int_{\xi}^z \frac{dx}{\sqrt{(z-x)(x-\xi)}}=\int_{\pi}^{0}\frac{\displaystyle \frac{- (z-\xi) \sin{\theta}}{2}}{\displaystyle (z-\xi) \frac{\sin{\theta}}{2}} d \theta =-\int_{\pi}^0 d \theta=\pi ~~(z>\xi)}

この計算で、分かる。ここでは、最後まで、誤植がなかったことが、確かめられた。ただし、積分する変数に関し、

{\begin{array}{c|cc}x&\xi \rightarrow~~z\\ \hline \theta& \pi \rightarrow ~~0 \end{array}}

と、変換されている」


私「4月5日から、しばらくこの本は、読んでなかった。さて、6月17日、ポートへ行く車中で、その先を、読み始めると、いきなり、(10)式で、躓いた。


{\displaystyle \pi \int_0^z \varphi(\xi) d\xi=\int_0^z\frac{f(x)}{\sqrt{z-x}}dx}   (10)

の、式が、分からない。行きの車中で、色々考えたが分からず、章の最初から読み直そうと思ったところで、ポートに行くバスに乗った」

私「13時20分頃、ポートについて、お弁当を食べた後、第15章というか第15講を、初めからおさらい。そうしたら、(10)式は、クリアできた」


 注 実は、このときは、早合点して、クリアした気になったが、6月24日になって、そんなに甘い式でないことが分かり、6月25日未明になって、再計算して、正しい答えを得た。


私「さてその次、『易しいことと難しいこと』の投稿で報告した部分、スキャン原稿がある」


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この(10)式の右辺は部分積分により

{\displaystyle \int_0^z\frac{f(x)}{\sqrt{z-x}}dx=-z\sqrt{z-x}f(x) \biggl|_{x=0}^z \biggr.+2\int_0^z f’(x)\sqrt{z-x}dx}

{\displaystyle ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~=2\sqrt{z}f(0)+2\int_0^z f’(x)\sqrt{z-x}dx}   (11)


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となっているのだが、計算が合わない。この前のように、誤植ではないのだろうと、色々やったが、駄目。15時くらいになって、いまどき、手計算で確かめるなんて、時代遅れだよなと思って、スマホで、ウルフラムアルファで、計算してみた。数分の計算で、上の式の、右辺の最初の {z} が、{2} の誤植だと分かった。つまり、


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この(10)式の右辺は部分積分により

{\displaystyle \int_0^z\frac{f(x)}{\sqrt{z-x}}dx=-2\sqrt{z-x}f(x) \biggl|_{x=0}^z \biggr.+2\int_0^z f’(x)\sqrt{z-x}dx}

{\displaystyle ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~=2\sqrt{z}f(0)+2\int_0^z f’(x)\sqrt{z-x}dx}   (11)


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だったのだ」

麻友「どう考えると、そうだと言えるの?」

私「

{\displaystyle -2\sqrt{z-x}f(x) \biggl|_{x=0}^z \biggr.}

というのは、{x=z} とした式から、{x=0} とした式を、引くということなんだ。これは、定積分での約束事。だから、

{\displaystyle -2\sqrt{z-x}f(x) \biggl|_{x=0}^z \biggr.=-2\sqrt{0}f(z)-\{-2\sqrt{z-0}f(0)\}}

となって、計算すると、

{\displaystyle -2\sqrt{z-x}f(z) \biggl|_{x=0}^z \biggr.=2\sqrt{z}f(0)}

で、(11)式の右辺第1項が、出てくるでしょ」

麻友「そうしておくと、その後の式変形につながるということね」

私「まあ、そうだ」

麻友「これが、6月17日。それで、今日というか、もう昨日(2022年6月20日)の忘我の喜びというのは?」

私「その次、


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これを(10)の右辺に代入して {z} で両辺微分して {z}{\xi} で書き換えれば

{\displaystyle \varphi(\xi)=\frac{1}{\pi}\biggl\{\frac{f(0)}{\sqrt{\xi}}+\int_0^{\xi}\frac{f'(x)}{\sqrt{\xi-x}} dx \biggr\}}   (12)

を得る.これがアーベルの方程式(6)の解である.


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の計算まで来た。問題の式は(14)なのだ」

麻友「太郎さん、忘我の喜びは、(14)式なの? あっ、スキャン原稿に書いてある」

私「なんとか、忘我の喜びを味わった式まで、書こうとしたんだけど、途中、計算間違いしていたりして、時間を取られ、もう3時34分になってしまった。ブログを、夜遅くまで書くのはやめようと思っていたのに、どうしても、こういうことになってしまう。とにかく、もう寝なければならないので、続きは、次回以降ね」

若菜・結弦「おやすみなさーい」

麻友「おやすみ」

私「おやすみ」

 現在2022年6月25日4時37分である。おしまい。