女の人のところへ来たドラえもん

21歳の女の人と43歳の男の人が意気投合し、社会の矛盾に科学的に挑戦していく過程です。                    ブログの先頭に戻るには、表題のロゴをクリックして下さい。                                   数式の変形。必ずひと言、添えてよ。それを守ってくれたら、今後も数学に付き合ってあげる。

超実数そして実数(その3)

 現在2022年9月16日7時01分である。(この投稿は、ほぼ6446文字)

麻友「昨日、早く寝たから、7時に書き始められる?」

私「そうだね」

若菜「五つ星って、初めてですね。ロボットでなかったことが、証明されましたね」

結弦「確かに、今、プログラムで、同じようなことを、できるからな」

麻友「読んでくれてるのだから、早速書きなさいよ」


私「結弦の、

{\displaystyle 3=(3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3,3 \cdots)}

と、若菜の

{\displaystyle \pi=(\pi,\pi,\pi,\pi,\pi,\pi,\pi,\pi,\pi,\pi,\pi,\pi,\pi,\pi,\pi,\pi,\pi,\pi,\pi,\pi \cdots)}

と、

{\displaystyle \pi=(3,3.1,3.14,3.141,3.141~5,3.141~59,3.141~592,3.141~592~6,3.141 \cdots)}

は、どう違うのか? まず、結弦の {3} は、有理数 {3} だけを並べた、数列だから、丁寧に書くと、

{\displaystyle 3=\biggl(\frac{3}{1},\frac{3}{1},\frac{3}{1},\frac{3}{1},\frac{3}{1},\frac{3}{1},\frac{3}{1},\frac{3}{1} \cdots \biggr)}

ということだな」

結弦「あっ、そうか。有理数の、{3} なんだ。整数の気分だった」

私「数学者が、間違いを、犯さなかったら、新しい数学は、できない。という意味のことを、言ってた人がいた。結弦も、間違いを犯すことを、恐れるな」

若菜「そうか。{\pi} は、無理数だから、

{\displaystyle \pi=(\pi,\pi,\pi,\pi,\pi,\pi,\pi,\pi,\pi,\pi,\pi,\pi,\pi,\pi,\pi,\pi,\pi,\pi,\pi,\pi \cdots)}

の右辺は、ただ記号を書いているだけで、有理数を使って書けないのだから、何も、決めたことに、ならないのですね」

私「そう。だけど、このアイディアは、超有理数を定義し、それから、実数を作って、さらに、実数を使って、超実数を定義するとき、役に立つ」

若菜「あっ、実数に、{\pi} は、含まれているから、

{\displaystyle \pi=(\pi,\pi,\pi,\pi,\pi,\pi,\pi,\pi,\pi,\pi,\pi,\pi,\pi,\pi,\pi,\pi,\pi,\pi,\pi,\pi \cdots)}

は、超有理数ではなく超実数での、{\pi} の定義なんだ」

麻友「太郎さん。難しさ3.の説明って、やっぱり、手加減なしね」

私「麻友さんが、望んだことだ」

若菜「そうしますと、

{\displaystyle \pi=(3,3.1,3.14,3.141,3.141~5,3.141~59,3.141~592,3.141~592~6,3.141 \cdots)}

は、どう解釈するんですか?」

私「いよいよ、真理のカメさんの、登場となる。だが、{\pi} を、最初にやるのは、難し過ぎる。もうちょっと、おだやかな話から、始める」


麻友「今まで、{\pi} を、除いて、数列の全部の・・・、1個1個って、なんて言うの?」

私「項だ。数列の項という」

麻友「じゃあ、全部の項が、同じものばかり、やってる。当たり前過ぎない?」

私「そこに、切り込む。

{5=(5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5, \cdots)}

と、

{7=(7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7, \cdots)}

は、どう考えても、左辺を定義しているな」

若菜「当然ですね」

私「そして、

{5+7=(5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5, \cdots)+(7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7, \cdots)}

は、数列同士の足し算を、普通に定義して、

{12=(5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5, \cdots)+(7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7, \cdots)}
{=(12,12,12,12,,12,12,12,12,12,12,12,12,12,12,12,12, \cdots)}

として良さそうだな」

若菜「『良さそうだな』というのを、数学の言葉で言うと?」

私「well-defined だな。ということ」

麻友「あの、ウェルなんとか、大学へ行ったら、出て来まくるって、本当だった」

私「今、その証明はしない。混乱をまねくだけだから」


結弦「当然、掛け算も、

{5 \times 7=(5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5, \cdots) \times (7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7, \cdots)}

で、

{35=(5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5, \cdots) \times (7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7, \cdots)}
{=(35,35,35,35,35,35,35,35,35,35,35,35, \cdots)}

というわけだね」

麻友「ちょっと待って、何が、定義されていることで、何が、新しく決まったことなのか、分からない」

私「特待生の特権、今でも、行使していいよ」

私「まず、超有理数

{5=(5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5, \cdots)}

と、

{7=(7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7, \cdots)}

と、

{35=(35,35,35,35,35,35,35,35,35,35,35,35, \cdots)}

は、定義されていること。そして、超有理数の掛け算

{5\times7=35}

が、数列の方でも、

{(5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5,5, \cdots) \times (7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7,7, \cdots)}
{(5\times7,5\times7,5\times7,5\times7,5\times7,5\times7,5\times7,5\times7,5\times7,5\times7,\cdots)}

と、定義することにして、問題が起きないね。という話」

麻友「まだちょっと、分からない」

私「例が、易しすぎるんだ。ちょっと、変化球にしてみる」

若菜「まだ、真理のカメさんが、出てきていません」

私「そうだな。ところで、

{a=(0,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1, \cdots)}

というのは、どうだろう」

結弦「最初だけ違うの?」

若菜「1個でも、間違ったら、満点ではない?」

麻友「完璧主義の私なら、許さないわね」

私「真理とは、必ずしも満点の解答では、ない。真理のカメさんを、連れてこよう。{\mathbb{N}} 上の可算級善良超フィルター {\mathscr{F}} だ」

若菜「まず、このフォントから、教えて下さい」

私「{\LaTeX} で、数式モードで、\mathscr{F} と打つと、出てくる。花文字と呼ばれるものだ」

結弦「使い方は?」

私「数列には、色々な書き方がある、という話をした。

{a=(0,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1, \cdots)}

を、

{a_0=0}{a_1=1}{a_2=1}{a_3=1}{a_4=1}{a_5=1}

と、書いてもいい。{a} だったから、{a_n} とした、というのは、ちょっと数学の規則を破っているが、この場合、混乱はないと思う」

若菜「それで?」

私「これが、

{b=(1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1, \cdots)}

と、同じかどうか、知りたい。例えば、{b} 同士だったら、

{b=(1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1, \cdots)}

{b=(1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1, \cdots)}

で、同じところの番号は、{\{0,1,2,3,4,5,6,\cdots\}} と、自然数の集合全部だ。真理のカメさんに、

『この集合を、持ってますか?』

と聞く。真理のカメさんは、自分の持っている集合と見比べて、

『持ってるよ』

と言う。真理のカメさんが、持ってると言ったら、正しいのだ。だって、真理のカメさんなんだもの」

麻友「その、判定の基準が、見えないわね」

私「じゃあ、もう一度、持ってこよう」


*******************************


私「ジャーン。真理のカメさんとは、次のような性質を持つ {\mathscr{F}} という集合なのです」


1.{\mathscr{F}} は、自然数全体の集合 {\mathbb{N}} 上の可算級善良超フィルター

2.可算級善良超フィルターとは、この場合、次の条件を満たすことである。

 a){\emptyset \notin \mathscr{F}}

 b){A \in \mathscr{F} , A \subset B \Rightarrow B \in \mathscr{F}}

 c){A,B \in \mathscr{F} \Rightarrow A \cap B \in \mathscr{F}}

 d){\mathbb{N}} の任意の部分集合 {A} に対し、{A \in \mathscr{F}} または {\mathbb{N} - A \in \mathscr{F}}

 e){\mathscr{F}} は有限集合を含まない。


*******************************


麻友「ああ、これ」

私「条件a)により、カメさんは、空集合 {(\emptyset)} は、持っていない。次に、条件d)により、{\emptyset} か、{\mathbb{N} - \emptyset } のどちらかは、持っている。ところが、{\emptyset} は、持っていないのだから、{\mathbb{N} - \emptyset } を、持っている。空集合を引き算しても、元のままだから、{\mathbb{N}} を、持ってる。これは、自然数全部の集合で、上で、カメさんが、持ってると言った集合だ」

若菜「えっ、こういうことなんですか? 真理のカメさんって、もの凄く条件が付いているけど、こういうことを、やるためだったんですか?」

私「だから、麻友さん達が、十分数学に慣れるまでは、見せられなかった」

結弦「じゃあ、さっきの、満点でなかったというのは?」

私「あれは、

{a=(0,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1, \cdots)}

と、

{b=(1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1, \cdots)}

を、等しいとして良いか、だったな」

結弦「同じところの番号を、書き出すと、最初の {0} 番目だけが、なくて、{\{1,2,3,4,5,6,7, \cdots\}} という集合だ。これを、カメさんに、

『この集合を、持ってますか?』

と聞く」

私「今の場合、{c=\{1,2,3,4,5,6,7, \cdots\}} という集合で、その補集合、{\mathbb{N}-c=\{0\}} は、元の個数が1個と有限個の、有限集合だ。カメさんは、条件e)より、有限集合は、持ってない。だから、{c=\{1,2,3,4,5,6,7, \cdots\}} と、その補集合のどちらかは、持っているという条件d)より、{\{1,2,3,4,5,6,7, \cdots\}} は、持ってる。だから、

『持ってるよ』

と、答えてくるんだ」

麻友「真理のカメさんに聞く、というのは、あの5つの条件に照らし合わせて、判断することなのね」

若菜「今のを、見ていますと、有限の箇所、違っていても、それらは、同じですね」

私「そうなんだ。有限箇所違うのは、同じ。と、するだけだったら、真理のカメさんなんて、いらない。無限の箇所違うもの同士を、同じかどうか、判定するからこそカメさんが、必要になってくる」

結弦「例えば、どう言う場合?」

私「例えば、

{b=(1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1, \cdots)}

と、

{d=(1,0,1,0,1,0,1,0,1,0,1,0,1,0,1,0,1, \cdots)}

という場合だ」

麻友「あっ、これは、判定できない。{1} かも知れないし、{0} かも、知れないもの」

私「それでも、真理のカメさんは、答えてくれる」

麻友「どうやって?」

私「簡単に言うと、カメさんは、今までに自分が答えた答えを、全部、暗記していて、ヤバい問題でも、自分が矛盾した答えをしないように、慎重に答えるんだ。人間が、どんなに頑張っても、作れる問題は、有限個。だから、過去のことに気を付けていれば、人類が滅びるまで、ウソを1回も言わないで、済ませられるんだ」

若菜「有限って、大事なんですね」


麻友「今日は、7時から、10時までで、かなり、疲れてるし、もう6000文字超えてる。ひとまず、投稿したら?」

私「じゃあ、解散」

 現在2022年9月16日10時13分である。おしまい。