現在2022年9月16日18時36分である。(この投稿は、ほぼ3384文字)
麻友「太郎さん。頑張るわね」
私「そろそろ、真理のカメさんの、可算級善良超フィルターという名前が、気になり出しているだろう。何が、可算なのか、何が、善良なのか、何が、超なのか、フィルターって何? クェッションマークだらけだろう」
若菜「それは、最初の『真理のカメさん』の投稿以来、ずっと、謎のままです」
結弦「調べようと思っても、文献が、ないんだよな」
私「それは、申し訳ない。超フィルターという言葉が、出て来る本は、数少ないが、ある。例えば、
など。だが、私が学んで、至るところ書き込みだらけの、この本、
齋藤正彦『超積と超準解析』(東京図書)
は、絶版で、1万円くらいの値段が付いている。大学の図書館を利用できる人くらいしか、読めない状態が、続いている」
麻友「何とかしてよ」
私「この大切な本が、絶版になっているのは、無意味では、ないんだ。実は、この本の著者、齋藤正彦さんが、『飽和モデルは難しいから、広大モデル(こうだいモデル、広島大学では、ない)で、いいよね。飽和モデルのための善良超フィルターは、一般の場合は、証明を附録に回すよ』と、書いているのだが、その後数学基礎論が進んで、誰でも皆、飽和モデルを、使うようになり、『今さら、広大モデルか』という風潮になっているのだ。つまり、この本は、もう old-fashioned になっているのだ。旧約聖書は、歴史上最高のベストセラーかも知れないが、今さら、旧約聖書で、ウクライナの戦争が、治まるか? ということなのだ」
麻友「確かに今、太郎さんはその本を、持っているのね」
私「持ってる」
麻友「じゃあ、そのエッセンスを、ブログに上げてよ」
私「実は、齋藤正彦さん自身が、ネット上にある程度、上げている」
若菜「お父さん。熱心に見てるんですねえ」
私「知っているかも知れないが、放送大学の授業で、齋藤さんの授業、取ってる。それだけでなく、お手紙を書いたこともあって、励ましてもらっている」
27182818284590452.hatenablog.com
麻友「あっ、あの過去記事の先生」
私「超準解析の、『真理のカメさん』のアイディアは、大学3回生のときから、微積分を、分かり易くしようという試みで、ずっと続いている。齋藤正彦さんにも、励まされ、今に至る」
結弦「道理で、自信持って書いてるわけだ」
私「さて、ちょっと出てきたが、善良という言葉は、飽和モデルという言葉に、つながっている。『超積と超準解析』の附録に、『善良超フィルターの存在定理』というのが、確かにある。この本の古本が、高い理由のひとつは、この附録を読みたい人が、多いからだ」
若菜「それを、スキャンしちゃうとか」
私「確かに、11ページだから、スキャンすることは、できる。だが、本当のところを言うと、これは、(カッパ) を無限基数として、 級の善良超フィルターの存在定理なのだ。この本を、丁寧に読んでいくと、可算級の善良超フィルターの存在は、13ページにちゃんとある。まだ、善良という言葉の定義をしていないから、分からないだけである。善良という言葉の定義は、72ページである。ここまで、たどり着く前に、撃沈される人が、多いのではないだろうか?」
麻友「その、可算級というのと、 級というのは、どっちが、強いの?」
結弦「なんか、ウルトラマンと、仮面ライダーは、どっちが強いの? というレヴェルの会話に聞こえるけど」
私「ここは、キリッと、 級の、 の一番低レヴェルな場合が、 級、つまり可算級だ」
麻友「じゃあ、 級の方が、強いんじゃない。必要よ」
私「証明の都合上、高い基数が、必要になる場合も、あるけど、やってることは全部、可算級善良超フィルターの、真理のカメさんと、全く同じで、ある意味、高い基数の場合も証明してあるというのは、数学者の精神安定剤みたいなものなんだ」
若菜「ちょっと、お父さん。レヴェルが上がりすぎて、付いて行かれませんが、・・・」
私「ゴメン。気合いが入りすぎた」
麻友「そうすると、善良というのは、言葉通り、性質がいいわけなのね」
私「そう。もう少しいうと、『超積と超準解析』の12ページから13ページにかけて、
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自由超フィルター
1.1.11 定義
を無限集合, を 上の超フィルターとする. に属する可算個の元 で、 なるものが存在するとき、 を自由超フィルター(free ultrafilter)と言う.
注意
これは慣用と著しく異なる用法である.普通,この条件をみたす超フィルターは、(訳せば可算級非完備)と呼ばれ,《自由》は《非単項》と同義である.我々が使うのはもっぱらこの種の超フィルターであるのに,この名称は長すぎるし、否定辞を含んでいるのも、気に入らない.それに,非単項で自由でない超フィルターは存在するかどうか分っていない.(ここに、脚注がある)こういう理由であえて慣用を破った.ほかの本や論文を見るときは注意を要する.
脚注
これはいわゆる可測基数の存在問題である.もしゲーデルの を仮定すれば可測基数は存在しない.
研究者注
説明の都合上、ひとつ命題を、飛ばす。後で、補うから、心配しなくて良い。
注終わり
1.1.13 命題
自由超フィルターは単項でない.とくに が、可算集合なら、逆も成立つ.
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(以上、『超積と超準解析』の12ページから13ページの一部)
麻友「何が、言いたいの?」
私「善良という言葉は、出てこないんだ。後で、飽和モデルという、齋藤正彦さんのいう難しいものを、正当化する過程で、 級の善良超フィルターというものが、出てくるんだ。だけど、私は、13ページの『あえて慣用を破った』というのが、なんとかならないものかと、思ったんだ。齋藤正彦さんは、『我々が使うのはもっぱらこの種の超フィルターであるのに』と、言ってる。自由超フィルターというものを、この本の中の言葉で、慣用を破らないで、言いかえられないか?」
麻友「えっ、言い換える? 根拠は聞いたけど、どうやって?」
私「読んでいって、私は、74ページで、
3.3.5 定理
任意の自由超フィルターは可算級善良である.
という定理を、見つけた。最低レヴェルの可算級の場合だけ、自由超フィルターという言葉を、善良超フィルターという言葉で、言い換えられる。否定辞も含んでないし、長すぎもしない。それで、私は、可算級善良超フィルターという言葉を使い始めたんだ」
麻友「ネーミングの秘密を、聞かせてくれたのね。でも、今晩はもう、21時31分よ。取り敢えず投稿して、寝たら?」
私「分かった。細かい点は、次回補うよ。おやすみ」
若菜・結弦「おやすみなさーい」
麻友「おやすみ」
現在2022年9月16日21時33分である。おしまい。