女の人のところへ来たドラえもん

21歳の女の人と43歳の男の人が意気投合し、社会の矛盾に科学的に挑戦していく過程です。                    ブログの先頭に戻るには、表題のロゴをクリックして下さい。                                   数式の変形。必ずひと言、添えてよ。それを守ってくれたら、今後も数学に付き合ってあげる。

30年半かかったジョルダン標準形(その2)

 現在2022年9月19日3時40分である。(この投稿は、ほぼ3664文字)

麻友「太郎さん。ジョルダン標準形と、言われても、私には、全く分からないのよ」



 1時59分に起き、上の2行を書いた後、眠くなり、8時55分まで、眠った。


 現在2022年9月19日9時06分である。再開。

麻友「寝られているということは、躁になりすぎていないということね」

私「そう理解している」

若菜「私達には、ジョルダン標準形と、言われても、分からないのですが」

私「行列というものを、知らなかったら、分からなくて、当然だね。私のブログでも、何度も登場してる。例えば、

mayuandtaro.hatenablog.com

のとき。これの説明を、馬鹿丁寧にやってたら、この投稿、終わらない。大切なことだけ、話す」

麻友「難しさ3.の説明では、仕方ないわね」

私「まず、行列というのは、昨日も出てきた、

{\displaystyle

A=\begin{pmatrix}
27 & 48 & 81\\
6 & 0 & 0\\
1 & 0 & 3
\end{pmatrix}}

みたいなものなのだが、これを、ひとつの数みたいに思って、

{A\times A=?}

みたいなことを、しなければ、ならなくなる。これは、それぞれの数を、{27^2} や、{48^2} みたいに、自乗しただけでは、済まされないんだ。数学では、20世紀初めに、計算法が確立していた。だが、物理学者は、まだ知らないほど、新しいものだった。量子力学を建設中だった、ハイゼンベルグは、物理量を、行列みたいなもので、表すことを、思い付いた。行列の掛け算は、どうしたものか? と、考えていて、数学での定義を、独立に編み出した。このハイゼンベルグ流の計算を見て、これは、行列の積だと見抜いたのが、同僚の物理学者のボルンとヨルダンだった」

若菜「ちょっと待って下さい。ヨルダンとジョルダンは、同じ人?」

私「いや、ジョルダンは、Camille Jordan で、1838~1922のフランスの数学者。ヨルダンは、Ernst Pascual Jordan で、1902~1980のドイツの物理学者」

若菜「スペル同じじゃないですか」

私「どちらか分かるように、日本語では、書き分けている」

若菜「なるほど。それで、見抜いて、どうしたのですか?」

私「ハイゼンベルグを、手伝って、1925年の量子力学建設という偉業をなした」

結弦「ジョルダン標準形は、ジョルダンが行列に関し、定義したもの。一方、行列を物理学に持ち込むのに貢献したのが、ヨルダンなんだね」

私「そういうことだ」

麻友「それで、与えられた、行列を、ジョルダン標準形というものにするのが、太郎さんには、難しかったのね」

私「そう。なぜ、ジョルダン標準形にしたいかというと、例えば、

{\displaystyle

B=\begin{pmatrix}
3 & 0 & 1\\
0 & 2 & 0\\
ー1 & 0 & 3
\end{pmatrix}}

を、そのまま、

{\displaystyle

B^2,B^3,B^4}

と、求めていくのは、大変だが、ジョルダン標準形、この場合、

{\displaystyle

C=\begin{pmatrix}
4 & 0 & 0\\
0 & 2 & 0\\
0 & 0 & 2
\end{pmatrix}}

と、対角成分だけにすると、

{\displaystyle C^2=\begin{pmatrix}
4^2 & 0 & 0\\
0 & 2^2 & 0\\
0 & 0 & 2^2
\end{pmatrix}}

さらに、

{\displaystyle C^3=\begin{pmatrix}
4^3 & 0 & 0\\
0 & 2^3 & 0\\
0 & 0 & 2^3
\end{pmatrix}}

と、対角成分だけ、{n} 乗するだけで、済むんだ」

若菜「つまり、行列の {n} 乗が、楽にできる。でも、なんで、30年半も、かかったのですか?」

私「佐武一郎の『線型代数学』

でも、ジョルダン標準形の説明は、分かりにくい。齋藤正彦さんの『線型代数入門』でも、

192ページで、

*******************************

一般的に方法を説明すると非常に煩雑になるので,以下のいくつかの例から方法を体得されたい.行列の次数が大きくない場合には,おおむねこの方法の方が,単因子による方法よりも便利である.

*******************************

とあり、例が上げてあるだけで、ちょっと不親切」

若菜「いつものお父さんの、『分からなくても、もっと易しく書いてある本が、必ずある』は?」

私「そういう意味では、もう解決していた。

という本の第4章の最後。有限生成アーベル群の基本定理の応用で、ジョルダン標準形が、述べられている。また、

27182818284590452.hatenablog.com

の投稿にコメントしてきた、単因子さんというペンネームのひとの言葉で、ブルバキ 代数5(第7章 主環上の加群)で、完璧に証明されていることは、知っていた」

結弦「それで、なんで、30年半と、なるの?」

私「いきなり、パッと、『これの、ジョルダン標準形は?』と、言われて、インターネットにつながったパソコンもあるのに、『できません』では、通らない」

若菜「あのときみたいに」

麻友「あのときって?」


私「まだ、結弦が、小学生の頃だったな。結弦の一家が、実家に来てて、私も加わって、夕食を食べていた」

結弦「あれか」

私「ちょっと、トイレへ行こうと、私が、腰を上げかけた瞬間、それを、狙いすましたかのように、結弦が


結弦「たろちゃんは、多分、分かると思うんだけどさあ」

私「(何の話だと、座り直した方が良いのか、困っていた)」

結弦「九十九掛ける百一は?」

私「(何? {99} を、{101} 個も、足せって? そんなのできない。ごめんなさい、するか?)」

 ここまでが、最初の1秒。

 次の瞬間、立ち上がった眼の右隅に、

{100-}』 という紙片が、見えた気がしたのだ。

私「({100-1=99} だ、そうすると、{101=100+1} でもある)」

私「(因数分解で(厳密には、式の展開で)、{(x+1)(x-1)=x^2-1} だから、{x=100} として、・・・)」

 ここまでで、2秒。

私「(結弦の方に、向き直りながら、{100} の自乗は、{10000} で、と計算して、そこから、{1} を、引くとと、考えながら)結弦、それは、九千九百九十九だ」

結弦「やっぱり、たろちゃんは、分かったね。{101} のそれぞれの {1} に、{99} を、掛ければいいんだもんね」

私「それを、思いつけなかったから、因数分解使っちゃったんだよ」

 3秒。

父「つまり、{(100-1)(100+1)}

結弦「因数分解って、何」

結弦のお父さん「お前の方法では、{999 \times 1001 =}? では、駄目だろう」

結弦「大丈夫だよ」

結弦のお父さん「とにかく、お義兄さんは、別な方法を、使ったんだ」


私「あのときは、本当に、ヒヤリとした。パズルを出しあいっこ、しているときなら、始めからパズルだと考えるが、完全に不意打ちだった。この場合ではないが、本来解けるはずの問題を、解き損ねるのは、惜しい」

麻友「30年半、かけて、ウルフラムアルファが、あれば、いつでも、ジョルダン標準形が、書けるように、なったということなのね」

若菜「ちょっと、やってみてくれませんか?」


私「そろそろ、3500文字で、お腹も空いた」

麻友「起きてから、食べてないの?」

私「ちょっと、マックへ行ってくる。次の投稿で、やってみせよう。解散」

 現在2022年9月19日14時06分である。おしまい。