現在2022年10月2日15時43分である。(この投稿は、ほぼ3131文字)
麻友「フーリエ、始めたわね」
私「約束したからね」
若菜「私達も、加わります」
結弦「本当は、僕が、レポーターだったんだよな。それで、気付いたんだけど、14ページに、プリズムの話が、出て来るじゃない」
私「そうだな」
結弦「白い光が、虹色に分裂するんだよね」
麻友「そうね」
結弦「この前、AKB48中学理科で、絵を描いてやったように、屈折して、曲がっているわけだよね」
若菜「そうだと思う」
結弦「曲がる角度は、その物質の屈折率から、計算できたはずだよね」
私「いよいよ、核心だな」
結弦「赤と青で、屈折する角度が、違うということは、色によって、同じ物質の屈折率が、違うということにならない?」
麻友「色によって、屈折率が、違う?」
若菜「だとすると、媒質中の光速度も、色によって違うことに、なりますが」
麻友「理科年表2022で、索引で、屈折率と、477~479ページ。水の屈折率は、1.3330 と、なってるけど」
私「いや、結弦、良く気付いたよ。実は、私は、大学中退して、帰ってきてもまだ、カメラのレンズで、屈折率が、色によって異なるということに、気付いてなかった。栄信工業で、レンズの話をしていて、父から、『色によって、ガラスは、屈折率が、違うだろう』と、言われて、初めて気付いたんだ」
結弦「僕、お父さんより凄い発見した」
私「ただ、屈折というのは、複雑な現象なんだ。中学時代、理由も考えずに、読んでいたんだが、天体望遠鏡で、レンズで光を屈折させるとき、普通の光学ガラスを使うと、プリズムと同じように色ごとに、光が分裂して、星が虹色になってしまう。これを、色収差(いろしゅうさ)というのだが、フローライト(蛍石)という魔法のような物質でできたレンズを使うと、光の分裂を抑えられる。アポクロマートの天体望遠鏡と言って、非常に高価だった。今思い出すに、フローライトというのは、色による屈折率の違いが、少ない物質だったんだろうな。ただ、フローライトは、柔らかいという欠点があった。Nikon は、この弱点を、克服し、フローライトほど収差を抑えられないが、硬いレンズを、開発し、ED レンズとして、売り出した」
麻友「太郎さん。レンズに関して、もの凄く詳しい」
私「1983年11月10日に、お祖父ちゃんが、倒れたのが、小学校6年のとき。お祖父ちゃんを引き取るのは、難しかったが、お祖父ちゃんのオープンテープデッキと、Nikon F2 フォトミックS というカメラを、受け継いだ。オープンテープは、中学へ行って、『英雄』を聴き始める、原動力となった。また、ハレー彗星を観たいというので、天体望遠鏡のカタログを集めたりして、星に興味を持つように、なる。でも、そういうときでも、私は、天文の雑誌を買ったことは、ほとんどなかった。いっときだけ、意味のあるものというのは、私は、店頭や図書館で、見るので、満足していた。ただ、土星の位置が、毎年変わるので、天文年鑑だけは、毎年買っていた」
若菜「お父さん、沢山本買うけど、必要以上には、買ってないみたいですね」
私「今は、お金がないから、というのもあるけど、麻友さんのファンだから、応援しようと、同じ CD や、同じ写真集を、いくつも買ったりしないのは、当時から一貫している。さて、天文への熱から、カメラで天体の写真を撮りたくなる。受け継いでみて、分かったのだが、Nikon F2 フォトミックS というカメラは、当時日本で、最も天体写真を撮るのに向いたカメラだった。当時、10秒などという、シャッタースピードを、切れるカメラは、他になかったし、露出計が、発光ダイオードで、夜空でも使えるなんて、他のカメラでは、有り得なかった」
結弦「どんな写真を、撮ったの?」
私「今のお前たちに、フジカラーHR1600、というのが、どれほど凄いのか、想像もできないだろうけど、こんな写真を、撮った」
麻友「えっ、どうして、シャッタースピードが、5秒とか、 って、焦点距離よね、それが、840mmとか、 って、絞りのはずだけど、それが、5.6とか、分かるの?」
私「私の望遠鏡は、通常、焦点距離が、1500mmで、絞りは、10 なんだ。だけど、FR-23 というフォーカルレデューサーというものを、取り付けると、焦点距離を短くして、明るく出来るんだ。でも、今のデジカメは、ASA が、6400 とか、平気でなるから、こんな苦労は、もう昔話だな」
結弦「こういう写真を撮るために、徹底的に、レンズのカタログとか、読んだんだな。今じゃ、カメラなんて、スマホにも付いてて、露出どころか、完全にオートフォーカスだもんな」
麻友「確かに、この皆既月食の写真、苦労して撮ったというの、分かるわね。それで、そのHR1600というのは、何なの?」
私「富士フイルムが、ハレー彗星の時期に間に合うように、売り出した、高感度フィルムなんだよ。その頃、フィルムの感度は、ASA100が、常識だった。それを、ASA1600のフィルムを出したのだから、画期的だった。もう一つ、当時は、サクラカラーという会社だったが、サクラカラーSR1600というのも、発売された。空の綺麗なところで、SR1600で、星空の写真を撮ると、馬頭星雲が、その赤が良い発色で撮れるという噂だった」
麻友「フィルムという文化も、あったのね。可哀想だけど、歴史を逆行していては、ダメね」
結弦「それで、スマホのカメラでも、色収差とか、問題になるの?」
私「そもそも、レンズが小さいだろう。大きいレンズでも、絞りを絞れば、被写界深度も深くなり、収差も、レンズの中心部を通る光だけだから、ぐっと減る。もう、よっぽどの高密度な写真でも撮る場合を除いて、色収差なんて、関係ないんだろうな」
結弦「僕の発見も、時代遅れか」
私「そう、悲観したものでもない。例えば、ガラスに光が入って、虹色に分かれたとする。それぞれ光の速さは、違うだろうが、どれが、本当の光の速さだろう?」
結弦「えっ、本当の速さ?」
私「これに答えるには、最低でも複素数の知識が必要で、『ファインマン物理学』のⅡ巻の第6章 屈折率の本質 を、読むまで、多分分からないだろう」
結弦「お父さんは、いつ分かったの?」
私「2008年6月22日だ。
27182818284590452.hatenablog.com
この投稿に、なっている」
結弦「お父さんが、36歳か。僕に今すぐ無理でも、しょうがないか」
私「そう慌てるな。今日は、もう21時35分になってしまって、眠い。『フーリエの冒険』は、明日にしよう」
若菜「でも、お父さんのレンズや望遠鏡やフィルムの話、面白かったです。お父さん、最後まで、記事を書こうと努力してたのですよね」
麻友「太郎さん、いつも、沢山準備しているのよね。じゃあ、おやすみ」
若菜・結弦「おやすみなさーい」
私「おやすみ」
現在2022年10月2日21時40分である。おしまい。