女の人のところへ来たドラえもん

21歳の女の人と43歳の男の人が意気投合し、社会の矛盾に科学的に挑戦していく過程です。                    ブログの先頭に戻るには、表題のロゴをクリックして下さい。                                   数式の変形。必ずひと言、添えてよ。それを守ってくれたら、今後も数学に付き合ってあげる。

疑似定理

 現在2023年4月3日17時34分である。(この投稿は、ほぼ3262文字)

麻友「太郎さん。嬉しそう」

私「量子力学の本で、分からなかったところを、攻め落としたんだ」

若菜「どの本ですか?」

私「グライナーの本」

結弦「これ、新装版より新しいのが、あるみたい」

私「本当のこというと、こんな非相対論的量子力学のレヴェルで、新装版なんか出すのは、卑怯なんだよ。あのファインマンの『ファインマン経路積分量子力学』という題で、最初マグロウヒルから出版された本も、『量子力学経路積分』という題になって、みすず書房から、出版され、さらにトコトン誤植を直したという『emended edition』というのが、アメリカで発売され、やがて日本語訳も出た。

良い本だから、最新のを、と思う気持ちにつけ込んでいて、非常に不愉快だ」


若菜「敵はどういう問題だったんですか?」

私「グライナーの本の第4章 4.8 角運動量演算子と球面調和関数 という節で、角運動量ベクトルの2乗を、計算するのに、手間取った。そこを、一応黙認して、読み続けたが、4.9 運動エネルギー演算子 という節で、問題はさらに複雑になって、来襲してきた。元寇みたいだ。こちらも、武器を揃えて、待っていた」

結弦「武器って?」

私「この間、(その17)の記事で、チラッと言った。杉浦『解析入門Ⅰ』の144ページのこれ」

{\displaystyle \varDelta f=\frac{1}{r} \frac{\partial^2}{\partial r^2} (rg)+\frac{1}{r^2 \sin \theta} \frac {\partial }{\partial \theta} \biggl(\sin \theta \frac{\partial g}{\partial \theta} \biggr) +\frac{1}{r^2 \sin^2 \theta} \frac{\partial^2 g}{\partial \varphi ^2}}

結弦「Mathematica で、検算したいって、言ってた、あれか。Mathematica で、できたの?」

私「出来なかったんだよ」

若菜「出来なかったら、困るじゃないですか。どうしたんですか?」

私「手で確かめるしかないじゃん。だから、『解析入門Ⅰ』のその節に書いてあるとおり、計算して、確かめた」

若菜「それが、分かると、どう良いことが、あるんですか?」

私「4.9 運動エネルギー演算子 という節で、運動エネルギー演算子を、

{\displaystyle \hat{T}=-\frac{\hbar^2}{2m}  \varDelta}

とした後、

{\displaystyle \hat{T}=-\frac{\hbar^2}{2m} \biggl[\frac{1}{r^2}\frac{\partial}{\partial r} \biggl(r^2 \frac{\partial}{\partial r} \biggr) +\frac{1}{r^2} \varDelta_{\theta ,\varphi} \biggr]}

と、計算できる。実は、1回目に来襲したとき、

{\displaystyle \varDelta_{\theta ,\varphi} }

の部分は、苦労して、計算してあった。そして、今回、

{\displaystyle \frac{1}{r^2}\frac{\partial}{\partial r} \biggl(r^2 \frac{\partial}{\partial r} \biggr)}

の部分が、計算で確かめられた」

結弦「何か、新しいことが、分かった?」

私「分かったんだよ。杉浦光夫さんの本で、

{\displaystyle \varDelta f=\frac{1}{r} \frac{\partial^2}{\partial r^2} (rg)+\frac{1}{r^2 \sin \theta} \frac {\partial }{\partial \theta} \biggl(\sin \theta \frac{\partial g}{\partial \theta} \biggr) +\frac{1}{r^2 \sin^2 \theta} \frac{\partial^2 g}{\partial \varphi^2}}

となってるのは、間違いではないけど、計算で確かめた式で、{\displaystyle \frac{1}{r^2}} で、式が括れるだろう。だから、

{\displaystyle \varDelta f=\frac{1}{r^2} \frac{\partial}{\partial r} \biggr(r^2 \frac{\partial g}{\partial r} \biggr)+\frac{1}{r^2 \sin \theta} \frac {\partial }{\partial \theta} \biggl(\sin \theta \frac{\partial g}{\partial \theta} \biggr) +\frac{1}{r^2 \sin^2 \theta} \frac{\partial^2 g}{\partial \varphi ^2}}

{\displaystyle \varDelta f=\frac{1}{r^2} \biggl\{ \frac{\partial}{\partial r} \biggr(r^2 \frac{\partial g}{\partial r} \biggr)+\frac{1}{\sin \theta} \frac {\partial }{\partial \theta} \biggl(\sin \theta \frac{\partial g}{\partial \theta} \biggr) +\frac{1}{\sin^2 \theta} \frac{\partial^2 g}{\partial \varphi ^2} \biggr\}}


と、変形できて、ラプラシアンが、{\displaystyle \frac{1}{r^2}} で括れるということを、知った。偏微分方程式は、17世紀から研究されているから、偏微分方程式の本には、当然書いてあるだろうけど、教科書で読む前に、気付いたということは、疑似太郎の定理ということで、自由に使える。偏微分方程式、勉強する時期が、到来したと、言えるかもな」

麻友「ああ、太郎さん。こういうことなのね。数学を楽しんでいる。疑似太郎の定理、何番目か、分からないわね」

若菜「ラプラシアンって、なんですか?」

私「ああ、あの上向きの三角のしるし。シュレーディンガー方程式やるとき、出てくるかも」

結弦「僕も、疑問。どうして、上の式で、左辺では、関数が、{f} なのに、右辺では、{g} になってるの?」

私「あれはね、杉浦光夫さんが、直交座標の {(x,y,z)} の関数と見るか、極座標{(r,\theta,\varphi)} の関数と見るかで、違う記号を使ってたからなんだ。今の段階では、余り悩まなくて良い」

麻友「薬の時間よ。おやすみ」

若菜・結弦「おやすみなさーい」

私「おやすみ」

 現在2023年4月3日21時50分である。おしまい。