女の人のところへ来たドラえもん

21歳の女の人と43歳の男の人が意気投合し、社会の矛盾に科学的に挑戦していく過程です。

なぜ天然のものが良いの?

 現在2017年8月1日17時48分である。

 麻友さん。本当に、身長156cmなの?

「えっ、どうして?」

 幕張メッセで見たとき、すっごく存在感あったから。

「そうなのよね。太郎さん、来てくれたのよ。イヴェント参加券なくしちゃったなんて言ってたから、どうなるかな? と思ってたけど、ちゃんと見つけて、来てくれた。最高に、嬉しかったわ」


 私ね、イヴェント参加券が無いことに気付いたときに、

『多分、7月23日の直前に、見つかるんじゃないかな?』

と、直感したんだよね。

「どうして?」

 前回のコンサートの時は、抽選で当たったチケットだったから、麻友さんと私に、試練を与えるために、二人を引き離すことが、許された。

 でも、今回のイヴェント参加券は、『シュートサイン』というCDの劇場盤を2枚お金を出して買って、手に入れたものだった。

 つまり、私に、所有を主張することのできるものだった。

 だから、第三者が、隠してしまうことは、許されないものだったのだ。

「太郎さん、第三者が、隠したと思ってたの?」

 隠すって言うと、

『どうやって?』

と聞かれるから、困るけど、私が、見つけられない状態にされてたんだと思う。

「そんなこと、どうやったらできるのよ」

 私には、この世界の物理法則が、通常考えられているものとちょっと違うということが、分かっているんだ。

「どんな風に?」


 例えば、今年の6月3日(2017年6月3日)の早朝、私は、アマゾンで、電子辞書のための『岩波 理化学辞典』のmicroSDカードを買った。

「あっ、ついに、買ったの?」

 そう。

 その時なんだけどね、11,986円だったんだ。

「それで?」

 アマゾンギフト券は、その時、10,786円しか、チャージされてなかったんだ。

「じゃあ、差額の1,200円は?」

 クレジットカードを使いたくない私は、コンビニで支払う道を選んだんだ。

「ふーん」

 コンビニで、払う場合、現金でなければ、ならない。

「それが、問題なの?」

 6月3日は、土曜日だった。

「そういえば、新聞を買うのよね」

 そう。良く覚えていた。

 財布には、1,210円くらいしかなかった。

 でも、Suicaに630円くらいあるのを知っていた。

「本当に、ギリギリなのねぇ」

 新聞は、Suicaで買えるけど、アマゾンの支払いは、Suicaで、できない。

 だから、まず、ファミリーマートへ行って、支払いを済ませるべきだった。

 だが、私は、家を出るとき、財布のコインを数えて、きっかり1,200円にして、出ていった。

 その安心感もあって、コンビニの端末で、アマゾンの支払い用紙を打ち出した後、レジに支払いに持っていくとき、何気なく、新聞を取って、わきに抱えたのだ。

「それが、どうなるの?」

 レジへ行って、まずTポイントカードを出し、次に、アマゾンの支払い用紙を出した。

「1,200円、払うだけで、おしまいじゃない」

 ところが、この宇宙では、そうならない。

「えっ?」

『まず、現金で、この支払いをします』

と言ったら、

『1,200円です』

と言ってくる。

『はい』

と言って、財布を開けて、お金を出すと、1,100円しかない。

「えーっ、太郎さん、家で、数え間違えたの?」

 1,200円、なんていう数えやすい額で、間違えるはずない。

「じゃあ、どうして?」

 私は、すぐ分かった。

「何を?」

 私が、新聞、持ってたからだよ。

「どういうこと? 持ってるとどうなるの?」

 私が、その新聞、買ったと見なされたんだ。

「見なされたって、だから太郎さんの財布からお金が減ることと、どう関係あるの?」

 この世界で、物質というものは、手品みたいに、パッとこっちで消えて、向こうに現れるなんてことはないと思われている。

 でも、本当は、そういうことが、可能なんだ。

「だったら、新聞代の150円が、消えるはずじゃない」

 そうなんだ。だから、この世界では、まだ大っぴらには、そういうことは、行われていない。

「良く分からないわ。結局どうしたの?」

 私は、100円消されたと疑わないから、相手が謝るまで、財布の中身の全部のカードを取り出したりして、100円が復活するのを待っていた。

「後ろのお客さんは?」

 早朝だから、お客は私だけ。

「そうか。それで?」

 3分もたっただろうか、店員の方が折れた。

「100円、返してくれたの?」

 そんなことをしたら、大変なことになる。もっと穏当な方法を取った。

「どうやったの?」

『ポイントが、100ポイント以上貯まっているようですから、ポイントで、100円のペットボトルのお茶を買ってもらえませんか? そうしたら、100円玉渡しますから、それで、1,200円の支払いをして下さい。新聞は、別に、Suicaで、買って下さい』

と、向こうが言ったんだ。

「えっ、そういう時の、マニュアルが、あるのかしら?」

 多分、その店員は、テレポーテーションの原理なんかは理解してないんだろうけど、こういう場合は、こうやって、対応する、というのが、通達されているんだろうね。

「本当に、テレポーテーションなんて、起こるの?」

 それは、科学的に解明されるまで、信じなくていい。

「それを、科学的に解明できると思っている、太郎さんの迫力も、大したものよ」


 でも、実際、7月22日の朝、もう探すのを諦めて、麻友さんの載っているAKB48新聞などを、集めて、1カ所に置いた。そして、週刊少年チャンピオンの6月22日号を、手にも取らずに、パラパラと、めくったんだ。

 そうしたら、オレンジ色の紙が見えた。

『あれっ!』

と思って、もう一度、開いたら、イヴェント参加券ではないか!

『やっぱり、神様は、私達の味方だ』

と、確信したね。

「つまり、2週間以上、太郎さんの目に触れないよう、うまく隠されていて、前日になって、太郎さんが本当に一所懸命探したことのご褒美として、ちゃんと現れたというの?」

 このできすぎた偶然は、そうでもしないと説明がつかない。

「うーん。確かに、できすぎては、いるわねぇ」

 まあ、結論は、後でも下せる。

 それより、浸透圧の実験の説明をしよう。

「あっ、そうだったわね」

 あれを、持ち出したのはね、最近、『海洋深層水』とかいうものが、結構あるからなんだ。

 聞いたことない?

「かいようしんそうすい? そういえば、ドクターリセラとかいう化粧品が、それを使っているって、触れ込みだけど、本当に良いのかしら?」

 そう。やっぱり知ってたね。

 本当に、偶然のことから、岩波書店から出ている、現代生物科学入門シリーズという本の第10巻、『極限環境生物学』という本を覗いたんだ。

極限環境生物学 (現代生物科学入門 第10巻)

極限環境生物学 (現代生物科学入門 第10巻)

 そうしたら、次のようなコラムがあった。

 面白いから、全文引用するよ。



コラム 1 海洋深層水

 海洋深層水という表現が広く用いられるようになった.ここで用いられている「深層」という表現は,ダイパーの潜水域から見た「深層」とよく似ている.しかしここでの「深層」は,海洋物理や海洋生物学などの分野で用いられている深層とは区別しなくてはならない.海洋深層水やダイビングでの「深層」に対応する水深 300-500 m は,学問的には「亜表層」,あるいは「中層」にあたり,「深層」は,数千 m 以深を指す.

 海洋深層水は,1970年代の資源・環境問題に対する社会的意識の高まりや,国際的な 200 海里漁業水域規制問題などによる海洋資源に対する関心の高まりが発端となって注目されるようになった.海洋資源増強への海洋深層水を用いた試みは,表層と深層の海水が植物プランクトンの増殖に及ぼす影響についての1976年の調査が初例である.この調査によると,表層水では植物プランクトンの活発な増殖がみられなかったのに対し,水深約 500 mの海水では活発な増殖と高い潜在的藻類生産力 (1 mlあたり 30-50万の細胞収量)が見られ,培養状態も安定していた.これにより,深層水の有効性が認められるようになった.この有効性のわけは,以下に示す深層水の特徴から説明されている.

 1.表層の海水に比べ水温が低い
 2.無機の栄養塩,特に硝酸塩,リン酸塩およびケイ酸塩に富んでいる
 3.微生物の餌となる溶存有機炭素濃度が低い

 実際,表層と比べ深層水中における微生物汚染は少なく,物理・化学的にも水質が安定している.日本国内では,富山湾高知県の室戸沖の水深 300 m 付近の深度から深層水が汲み上げられ,クルマエビや飼料用植物プランクトン,海藻類の生産,魚介類の養殖などに用いられている.また,微生物汚染が少なくフィルターを詰まらせる有機物濃度も低い海洋深層水の性質を利用し,逆浸透 (RO)膜法などによる淡水化深層水の製造が行われている.このミネラル分を多く含んだ淡水は,飲料水や化粧品,医薬品の開発に活用され,大衆浴場の水としても用いられている.また,日本ではほとんど行われていないが,表層水と深層水の温度差を利用した発電が世界各地で行われているようである.


(第3章 深海環境生物圏 の92ページから引用)


「太郎さんの引用する本って、すっごく難しい。海洋物理とか海洋生物学なんて言われても、さっぱり分からないわ」

 いや、これは、麻友さんを、難しい文献を読むことに慣れさせるために、やってるんだ。

「私が分からないと分かってて、持ってきてるの?」

 大学に入ったばっかりの頃、私も、麻友さんと同じように、見る文献、見る文献、難しい言葉ばっかりで、どこから読み始めたらいいか、さっぱり分からなかった。

「太郎さんでも、そうなの?」

 最初は、みんなそう。

 高校までだと、教科書は、参考書などを見れば、必ず理解できるものだった。ところが、大学の教科書は、そのまま読んでも、分からない言葉の山で、この著者、誰を対象に書いているのだろう? と、不思議に思うことばかりだった。

「太郎さんは、どうやって乗り越えたの?」

 ひとつは、これなら理解できそうだ、という文献を、全文写ししたの。

「全文写し?」

 これは、私が、大学受験で浪人していたのが、役立った。

「どういう風に?」

 私が、京都大学1年目落ちて、代々木ゼミナールに入ったとき、代々木ゼミナールにも入学式ってあったんだ。

「へー、そうなの」

 その入学式で、英語の担当の先生が、

『英語ができるようになりたかったら、一番大変な勉強をして下さい』

と言ったんだ。

「一番大変って、どんな勉強?」

 それぞれの人が、自分で考えて、これが、一番大変だけど、効果の上がる勉強法だと思うものを、やれってことだよ。

「太郎さんは、どうしたの?」

 高校3年生の時、代々木ゼミナールの英語の授業で、いつも長文読解をやっていたけど、私は、なかなか問題が解けなかった。

 そして、授業で先生が、英語の長文を、訳してくれるのを、写して帰っていた。

「太郎さんでも、そんなか」

 そこで、私は、一念発起し、浪人中、出された問題の、英文を、予習の段階で、全文和訳しよう、と決心したんだ。

「全文和訳? それは、かなり大変ね」

 大変どころじゃないよ。京大や東大の過去の入学試験から持ってきた英文だから、今、私が訳している、ホーキング-エリスなんかとは、比較にならない、超難解な、英文なんだよ。

 あれ以上に、難しい英文というのは、ラジオの『実践ビジネス英語』の英作文添削の模範解答くらいしか、見たことない。

「それじゃ、太郎さんに取って、それが、『一番大変な勉強』だったのね」

 そう。

 そして、4月から始めて、夏休みが過ぎた9月頃、それまで、偏差値60くらいだった英語は、偏差値70くらいになった。

「大成功ね。偏差値70って言ったら、トップレヴェルじゃない」

 ところが、私は、井の中の蛙であったことを知ることとなる。

「どういうこと?」

 浪人した9月頃になって、私は、周囲にはいないけれど、もっとできる人間がいっぱいいることに気付いた。

「えっ、偏差値70でも、井の中の蛙なの?」

 優秀な人達は、Z会というものをやってることに気付いたんだ。

「ぜっとかいって、通信添削じゃなかった?」

 そう。ものすごくハイレヴェルな、通信添削。

「どれくらいハイレヴェルなの?」

 私は、実際、Z会の京大コースの物理などを取ったこともあるので分かるんだけど、京大の入試問題がおもちゃに思えるほどに、難しいんだ。

「具体的に、説明してよ」

 麻友さんが、私と物理学を学んで行くと、いずれ、仮想仕事の原理というものすごく分かりにくいものに出会う。

 これは、完全に大学レヴェルの物理だ。

 正直言って、高校の物理しか知らない人間が、解けるような問題じゃない。

 ところが、Z会では、平気でそんなものを問題として出してくる。

「かそうしごとのげんり? 私、そんなものも、勉強するわけ?」

 高校の数学しか知らないと、難しいけど、大学の数学を勉強してからなら、辛うじて理解できる。

「大学って、恐ろしいものが、いっぱいあるのね」

 この世界には、自分の知らないことが、まだまだある、ということを知るためだけにでも、大学へ行く価値がある。

 とにかく、私は、9月になってから、母に、Z会の国語と英語を取りたいと言って、添削を始めさせてもらった。

「どうして、数学や物理や化学は取らなかったの?」

 数学や物理や化学は、十分合格点が取れる自信があったんだ。

 国語や英語の、自分の答案が、何点くらいになるのか、知りたかったんだ。

「どうだったの?」

 英語はまだしも、国語は100点中23点とか、そんな感じだった。

「太郎さんが、2割しか取れないって・・・。じゃあ、あの入学後ゼミをやった川口周君や、理学部トップの北上田君は、何点くらいなの?」

 80点以上取ってて、ペンネームが、ランキングに載ってた。

ペンネームで、1度も会ってないのに、どうして川口君だと分かるの?」

 それは、合格前は、分からなかった。ただ、いつも上位にいるので、気になるペンネームだった。

 合格後、ゼミをやってたとき、

『あのペンネームは誰だったのかな?』

と言ったら、川口君が、

『私です』

と言ったんだ。

「浪人している太郎さんが、23点しか取れない国語のテストで、80点以上取れるなんて、やっぱり数学でも語学力が大切なのね」

 それは、確かにそう。

 でも、私は、麻友さんに出会えたんだから、この人生、失敗ではない。

「とりあえず、浪人した9月に、国語や英語の出遅れに気付いて、どうなったの?」

 私、むしろZ会やらなかった方が良かったんじゃないかと思ってるんだ。

「でも、それじゃ、井の中の蛙じゃない」

 確かに、井の中の蛙なんだけどね、京大に受かるということに関しては、そのままで、受かったんじゃないかと思うんだ。

「どうしてそんなことが言えるの?」

 だって、京大に受かる人が、全員Z会やってるわけじゃないでしょう。

 私は、夏休み過ぎという受験でいちばん重要な時期に、自信を失ってしまった。

 しかも、Z会を始めて、忙しくなったために、代々木ゼミナールの英語のテキストの全文和訳が、滞り始めた。

「そっか、受験って、自信があるかどうかって、すごく重要だものね。私も、AKB48のオーディションの2回目の時は、落ちる気しなかったものね」

 そうでしょう。

 このときの国語と英語の自信喪失が、2年目の前期不合格の、原因のひとつだと、今でも思っている。


「太郎さんが、2年目に前期落ちた原因は、ものすごくたくさん考えられているのね」

 そう。

 あれが、原因だったのかなあ、というものが、10個くらいある。

 でも、最終的に後期で受かったのだから、文句は言うまいと思っている。

「後期で受かれた理由は?」

 後期の最初の数学で、ちょっとした思いつきで、素数が無限にあるということの高校生が普通知らない証明を、広中さんの数理の翼セミナーで知っていたお陰で書いて、1問論理的にギャップなくクリアできたことがひとつ。それから、その日ホテルへ戻ってから、近くのコンビニへ行ったら、雑誌に前期の合格者の名前が書かれていて、代々木ゼミナール広島校で、いつも私より成績の低かった女の子が、前期で合格してたんだよね。それで、頭に来ちゃったんだ。それで、俄然張り切って化学の問題を解いたりして、翌日は、『書きまくってくる』と言って、物理と化学の試験を受けてきた。あの女の子のお陰かも知れないとも思っている。

 はっきり言って、合格するかしないかのギリギリだったと思う。

「どうして?」

 京大理学部後期って、今はないけど、以前は、見かけ上倍率49倍の超難関だったんだ。

「見かけ上というのは?」

 前期で、優秀な人は受かっちゃうから、実質倍率は、30倍以下だったんだ。それでも、定員32人だから、受かったのは、かなり奇跡的だけどね。


「どうして、京大は、後期をなくしちゃったのかしら?」

 私も、そのことでは、責任を感じている。

「後期で入れた、太郎さんが、卒業できなかったから?」

 京都大学の教授会でも、私のようなかたわのような人間をつくって良いのかどうか、何度も話し合ったんだろうと思う。

「太郎さんが、今からでも、復活すれば、京大後期が、復活するかも」

 そうしたいものだね。

「とにかく、太郎さんは、1年浪人して、合格したのよ。そして、分からない文献の山に、出くわした」


 入学後、最初の数学の授業がひどかったので、自主ゼミを始めた話はしたね。

「そうだったわね」

 ゼミでの予習のために読み始めた本で、苦労した。

 最初につまずいたのが、

『多変数の積分の変数変換公式』

 これは、いずれ麻友さんにとっても、高くそびえたつ壁なんだけれども、私に取っても、高い壁だった。

 これを理解するため、あちらこちらで、多くの人に読むことを勧めている、

杉浦光夫『解析入門Ⅰ・Ⅱ』(東京大学出版会

解析入門 ?(基礎数学2)

解析入門 ?(基礎数学2)

解析入門  ?(基礎数学3)

解析入門 ?(基礎数学3)

という2冊の本を読み始めた。

 厳密に言うと、

高木貞治『解析概論』(岩波書店

定本 解析概論

定本 解析概論

という本を読み始めたんだけど、こちらでは、さっきの公式の証明がされていないということで、どれにしようかな、と思っていたら、川口君が、『解析入門Ⅰ』を読んでいて、『最近、積分に入ったんですけど、難しくて・・・』と言っていて、どんな本なのだろう? と調べたら、Ⅱ巻にさっきの公式の証明が載っていることが分かって、即座に購入、読み始めたというわけなのだ。購入したのは、1991年6月21日。

「太郎さん。川口君と、すごく緊密に、やり取りしてるのね」

 川口君、グライダー部の親友、X指定の親友、の3人とは、ものすごく情報のやり取りをしていた。

 授業に出ない代わりに、友人から、大量の数学や物理学の情報を得ていたんだ。

「それで、『解析入門Ⅰ・Ⅱ』と全文写しの関係は?」

 この『解析入門Ⅰ・Ⅱ』という本は、すでに数学の基礎のできていた私には読めたけれども、通常の大学1年生には、難しすぎるらしい。

 あるとき私は、

『数学科以外の人が読める数学の本が全部読めるようになったら、この本をやっと読めるようになります』

と、紹介したのだが、その人は、

『えっ、それって、数Ⅲや数Cが、分かればってことですか?』

と聞いてきたので、説明に困った。

「つまり、高校の数学なんて、はるかに分かってなけりゃダメなのよね」

 うん。

 大学の数学科の数学って、半端じゃなく難しいの。

 だから、文系の人が、

『難しくって、全然分かりません』

なんて嘆いてるような、難しい数学の本でも、なんでもなく読めるわけ。

 そうなった人が、やっと、解析学に入門するのが、『解析入門Ⅰ・Ⅱ』なんだ。


 海外を見まわしても、この本に匹敵するほど丁寧に書いてある本は一冊もないほどの名著なんだけど、人によっては、『言われているほどの名著ではないと思う』なんてレビューを書くような本でもある。

「太郎さんに取っては、どうだったの?」

 第1章は、軽く読めたんだ。だが、第2章から難しくなった。

 一回読んだだけでは、頭にイメージを描けない。

 そのとき、浪人していたとき、

『いちばん大変な勉強をした』

ということを、思い出したの。

「この場合、どうするのが、いちばん大変な勉強かなって、考えたのね。でも、受験時代は、合格のために勉強しなければならなかったじゃない。でも、大学にいるのにさらに数学を勉強するのは、なんのため?」

 その質問、私に向かって、いつでもしてごらん。答えは、いつも決まってるから。

「太郎さん、なぜ数学を勉強してるの?」

『好きだからだよ』

「あー、負けたわ。太郎さんには、かなわない。好きだから数学を勉強してるなんて」

 ただ、こんな言葉もあるんだ。

『これを知る者はこれを好む者にしかず,これを好む者はこれを楽しむ者にしかず』

「それは、誰の言葉?」

 孔子の『論語』の中の言葉なんだ。

『物事を理解し知っている者は、それを好んでいる人には及ばない。物事を好んでいる人は、それを心から楽しんでいる者には及ばないのだよ。』

というような意味だ。

 麻友さんが、まず数学を好きになって、そして、楽しめるように、してあげたいな。

「私、やっぱり、お芝居が好き」

 それは、尊重するよ。


 とにかく、大学レヴェルになると、文献に書いてあることを全部理解できるということは、ほとんどなくなる。それでも、自分に必要なことだけは、吸収できるようにならなければならない。

 私は、とにかく読んだということの証として、全文写しという方法を取った。この全文写しというのは、手を動かすので、脳を活性化させ、ただ読んでも分からないことが、分かったりする。

 もうひとつは、小説を読むように数学の本を読むこと。

「つまりナナメ読みしろというの?」

 或る意味、ナナメ読みだね。

 分からないものは、これは、今は分からないものなんだ、と認めて、取り敢えず、全体を読んでみることが必要。

 そして、切り崩せるところから各個撃破。


 そういうわけで、海洋深層水の文献の中で、麻友さんに分からない言葉はたくさんあるんだけど、今回取り上げるのは、下の方にある、

『逆浸透(RO)膜法』

という言葉。

「これは、ぎゃくしんとうまくほう、と読むのよね」

 そうだよ。

「ROというのは?」

 {\mathrm{Reverse\ Osmosis\ membrane}}逆浸透膜)の略だよ。

 高校で、浸透圧って習ったかな?

「私は、文系だったし、そんなもの、習ってないみたい」

 そうか。この浸透圧って、結構、重要な概念なんだよね。

 簡単に言っちゃうと、海にいる魚を、真水のところへいきなり連れてくると、死んじゃう、ということの理由のひとつなんだ。

「えっ、海の魚を、池に放すと死んじゃうの?」

 あぁ、女の子だと知らないかもな。

 海水って塩が溶けてるでしょ。ジュースで言えば、魚の体液は、果汁30パーセント位なのに、海水は100パーセントジュースなんだ。

「そうだとすると、どうなるの?」

 もし、それらを、そのまま触れさせると、お互いに混ざり合うよね。

「そうでしょうね」

 それを、目に見える実験でやったのが、あのお醤油とお酢の実験なんだ。

「えっ、つまり、お醤油が100パーセントジュースで、お酢が30パーセントのドリンク?」

 そう見立ててるんだ。

 やってみよう。


浸透圧を目で動きを見て理解する実験

 お醤油の隣にお酢が来た瞬間、ものすごい速さで、お醤油が、お酢の中に突進していくでしょう。

 そして、実は、はっきりとは見えないけど、お醤油の中にも、お酢が突進して行ってるんだ。

「確かに、お醤油が、お酢の中の方にまで、一気に進んでいるのは、分かるわ。すごい速さね」

 先頭を行くお醤油の分子の速さはどれくらいか? と問題を出しているけど、どれくらいだと思う?

「速いわねぇ。新感線くらいかしら?」

 おいおい、新幹線だろ。

「あっ、ついお芝居のことが、頭から離れなくて」

 うん。新幹線は、速い。時速300キロメートルくらいの速さは出るからね。

 それが、答えかも知れない。

 ただ、私は、もっと速いんじゃないか、という気もするんだ。

「どれくらい?」

 お酢の中での光の速さ。

「えっ、光の速さって、お酢の中では、遅くなるの?」

 うん。一般に、屈折率と言われている数値があって、例えば、水の屈折率は、大体、1.333くらいで、水中の光の速さは、真空中の光の速さの1.333分の1くらいに遅くなるんだ。

「じゃあ、お酢の屈折率は?」

 水とそんなに違わないはずだよ。

「えっ、じゃあ、秒速何万キロメートルもで、進んでるというの?」

 『先頭を行く』って、断っているでしょ。この場合、私達が学んで行く、量子力学での信号が伝わる最高の速度である光速で、お醤油分子の波が伝わったんじゃないかな? と予想したわけ。

「つまり、太郎さんにも分かってないわけね」

 そう。今後の展開に、乞うご期待。


「それで、100パーセントジュースと、30パーセントのドリンクが混ざるのは、分かったけど、太郎さんは、何をやってたの?」

 私は、ギョウザを食べるとき、お醤油とお酢をたらして、それが、さっと混ざるのを見るたびに、

『この混じり合う速さが、浸透圧を生んでいるんだなあ』

と、楽しんでいるの。

「浸透圧とは?」

 さっきの海の中の魚の場合、外の海が100パーセントジュースで、魚の体液が果汁30パーセントだというのを思い出して。

「そうだったわね」

 魚の体の細胞の細胞膜って、水は通すけど、塩は通さないんだよ。

「えっ、そんな、奇妙なことが、できるの?」

 これは、ものすっごく簡単に言っちゃうと、水というのは、{\mathrm{H_2 O}}(エイチトゥーオー)という分子からできていて、水素はすごく小さくて、酸素は、原子番号8番という、8番目に小さいものであるのに対し、食塩というのは、{\mathrm{NaCl}}というように、原子番号11番のナトリウムと原子番号17番の塩素という原子からできている。この原子番号というのは、数字が大きくなるほど、原子の大きさが大きくなるんだ。だから、食塩の方が、圧倒的に、水分子より大きい。

 これを、認めたとき、魚の細胞膜が、水くらい小さい原子は、通すけど、食塩を通さない、というくらいの穴しか空いてないとしたら、上の奇妙なことが理解できる。

「うーん。原子番号なんて、言われても・・・」

 仕方ない。

 麻友さん、小さいとき、お祭りの縁日に連れて行ってもらったことあるでしょ。

「うん」

 あの時、上に上がる風船買ってもらわなかった?

「あっ、おばあちゃんに買ってもらった。でも、浮かんでたのはその日の晩だけで、次の日になったら、降りてきちゃったのよ」

 なぜ、浮かんでたんだと思う?

「水素が入ってたのかしら? 軽いから」

 そう。その通り。

「じゃあ、なんで、次の日になると、浮かばなくなるの?」

 水素が、なくなったからだと思い付かない?

「でも、大きさは、そのままなのよ」

 初めから、水素は、ほんのちょっとしか入ってなかったんだよ。たくさん入ってたら、火がついたとき大変でしょ。

「あっ、そうか。でも、どうして、水素だけ、なくなるの?」

 酸素分子より、水素分子の方が、圧倒的に小さくて、ゴム風船のゴムの小さい膜の隙間をすり抜けられるからなんだ。

「えーっ! それで、落ちてきちゃってたの? 今まで、ずっと謎だったのよ。わーっ、小さい頃からの謎が解けたわ」

 うん。これは、小学校で、なかなか教えてくれない、謎のひとつだ。

「そうすると、つまり、魚の細胞膜も、ゴム風船のゴムと同じようなものなの?」

 まあ、そう思ってもらうのが、いちばん説明しやすい。

 水は通れるけど、塩は通れないというわけだ。

「そうなると、どうなるの?」

 海の水が、100パーセントジュースで、魚の体液が、30パーセント果汁のドリンクだと、細胞膜にバンバン海水中の塩がぶつかるのに、入れない。

 一方、水は、中からも外からも、通過できる。

 細胞膜のぶつかる面積は等しいのに、中から外への方が、通過できる可能性が高い。

「そうなれば、当然、持ち出し超過になるわね」

 だから、海の魚は、常に、水分不足と戦っている。

「具体的には、どうしてるの?」

 簡単に言えば、常に水を飲んでいる。

「あっ、そうか。水不足を補うには、水を飲むしかないんだ」

 他にも、いくつか対策はあるが、これが、いちばん簡単。

「じゃあ、その魚を、池に放すと?」

 池の水は、塩をほとんど含んでないから、今度は、魚が、30パーセント果汁のドリンクで、池が、水という状態になる。

「魚の方が、濃いいんだ」

 そう。

「だとすると、水がどんどん魚の体の中に入ってくるわね」

 そう。

 だから、普通、池の魚は、どんどん水分を外に排出している。たくさん尿を出しているということだね。

「ああ、だから、海の魚と池の魚は、生き方が違うのね。だから、海の魚を池に放すと死んじゃうんだ」

 そういうこと。

 そして、例えば、水と100パーセントジュースを細胞膜みたいな半透膜というので仕切ったとき、水の側からジュースの側へなだれ込んでくる、水の勢いを、水に対するジュースの浸透圧というんだ。

 その勢いのすごさを見るために、お醤油とお酢の実験をしたんだよ。

「そうだったのね。ギョウザ食べるたびに、化学の実験してたなんて、太郎さんらしいわぁ」

 密かな楽しみだったんだ。いつもやってるから、You-Tubeの撮影でも、一発でうまく行った。

「あっ、そうよ。お酢の瓶のフタを、その場で開けてるものね」

 パソコンのカメラで、バッチリ撮れた。

「うーん。お酢とお醤油。水とジュースか。でも、水は、ジュースの側へしか行かないのかしら?」

 さっすが、特待生。いいこと言う。

 今日のテーマの逆浸透(RO)膜法というのは、無理矢理、100パーセントジュースの方に圧力をかけて、100パーセントジュースから水を絞りだそうという話なんだ。

「ゲッ、そんな、無茶苦茶な」

 普通、海で漂流した場合、周りの海に水は一杯あるのに、飲める水がない、という映画はよくある。

 ところが、それは、前世紀の映画なんだ。

「えっ、海の水を真水に変えられるの?」

 できるんだね、そういうことが。

「半透膜を使うのね」

 そう。

 海水と淡水の間に半透膜を置いて、海水の方に、圧力をかけてやるんだ。そうすると、淡水の方が、どんどん増えるんだね。

「じゃあ、サハラ砂漠の緑化だって、夢じゃないじゃない」

 技術はある。後は、お金だけ。

 本当に、お金なんて、なくしちゃえよ。

「人類に、お金なんてない方が、良いのかしら?」

 例えば、チンパンジーだって、社会を営んでるけど、お金なんて使ってないぞ。

「太郎さんの具体例って、いつもキレすぎるのよね」

 お褒めの言葉と受け取っておきます。


「でもさあ、化粧品とか、食事とか、美容に関係あるものって、大抵、天然由来、というのが、すっごく大切にされてるのよね。天然のものってなぜ、良いの?」

 その言葉を、化粧品のセールスレディーにぶつけると、

『シルクとか、天然のものの方が良いに決まってるじゃないですか』

としか答えてくれない。セールスレディーは、なぜ天然のものの方が良いか知らないからなんだ。

「太郎さんは、知ってるの?」

 実は知ってる。

 光学異性体というものの違いなんだ。

「こうがくいせいたい?」

 どういうことかというとね、この世界では、炭素は4本の腕を持ってるのって、ここから説明するのか。

「炭素の腕って?」

 確かに、文系の女の子に科学の説明するのって大変だな。共有結合の概念すらないんだものなぁ。

 科学の進歩の歴史上、物理学よりも、化学の方が、先に進んだ。

「えっ、そうなの?」

 うん。これは、理由を説明すると、納得できる。

「どういう風に?」

 実は、人間は、昔も今も、金が、好きなんだ。

「金(かね)が、好き?」

 あっ、いや、金(かね)でなく、金(きん)だよ。{\mathrm{Gold}}だよ。

「ああ、金(きん)メダルの金(きん)ね」

 そう。

 それで、鉄や銅から、金をつくり出そうと、一所懸命実験をしたの。

「えーっ、そんなこと、できるの?」

 まあ、できないことは、或る意味証明されているんだけど、金を手にする方法は、実はあるんだ。

「えっ、教えて、教えて」

 実は、割合は少ないんだけど、海の水には金が溶けているの。本当にちょっとなんだけど、海ってものすごく広いでしょ。だから、全部集めると、30億トンくらいになるんだ。

「30億トンって、どれくらい?」

 人類が、有史以来採掘した全部の金が15万トンだから、2万倍くらい、まだ海の中にある。

「でも、やっぱり金を作れたらいいわね」

 金原子そのものを、1個作るくらいは、なんとかなるけど、指輪にできるくらい作るのは、金の指輪を買うよりお金がかかる。

「お金がかかるというのは、どういう意味?」

 エネルギーが、必要ということだね。

「ああ、つまり、この世界では、エネルギーが、流通通貨なのね」

 うわっ、特待生、特大ホームラン。

 これ、すごいよ。

 これからは、お金ではなくエネルギーを流通通貨にするという発想もあるな。

「また、太郎さん。思いつきで、どんどん」

 まあ、このアイディアは、取り敢えずおいておいて、人間は、昔から金を作ろうとしてきた。これを、錬金術(れんきんじゅつ)と言っていた。

錬金術って、『鋼の錬金術師』の世界?」

 そういうマンガもあるけど、私は本当の歴史上の錬金術のことを言ってるんだ。

 金を作ろうと、何千年も頑張った。それが、めくらの鉄砲数打ちゃ当たるで、いくつもの化学的知見をもたらした。

「どのくらいできたの?」

 例えば、麻友さんも中学で習ったように、水素2つと酸素1つで水になるとか、炭素1つに酸素2つで二酸化炭素とか、今の人は、初めから原子とか習っているけど、何も分からない状態から、そこまで、分かったんだよ。

「あっ、そうか。電子顕微鏡もない時代に、そういうことを知るって、ものすごく大変だったのね」

 そう。見えないままで、見ているようなことしてたんだからね。半端じゃないよ。

「それで、炭素に腕が4本あるということになったの?」

 そうなんだ。炭素原子1つは、同時に4つのものとつながれるんだ。

 こんな具合に。

f:id:PASTORALE:20170805153425j:plain

「やっぱり、絵に描かないと説明できないことって、あるんだ」

 そう。

 目の見えない数学者というのは、いるけど、目の見えない物理学者というのは、いないんだ。

「ふーん。4本腕があると、2通りの配置があるんだ」

 実は、麻友さんのワンダエクストラショットの糖類ゼロというのは、これのトリックなんだ。

「トリック?」

 糖度計ってね、その溶液に光を通して、光がねじれる角度を測るんだ。

 自然界にある植物なんかが作る糖っていうのは、2通りの配置のうちの、一方だけなんだ。

 なぜ、一方だけかというと、生命が全部1つの細胞から始まっているということの結果なんだ。

 だから、天然の糖というのは、一方だけで、そのために光がねじれるのは、一方向だけなんだ。

「もしかして、糖度計って、そのねじれ具合を測ってるの?」

 さっすが、特待生。

「じゃあ、じゃあ、反対の配置の糖を同じ量つくって、混ぜたら、糖度ゼロになるってこと?」

 それをやったのが、ワンダエクストラショットの糖類ゼロ。

「だから、飲んだとき、甘いんだ。本当に、糖がゼロなんじゃないんだ」

 やっと、分かった?

「物理学を勉強するって、だまされにくくもなるのね」

 これが、結局、化粧品に天然のものが良いと言われる理由。

「植物も動物も、一方だけの配置しか作れないし、使えないのね。でも、人間が合成すると、両方の配置のものを同じ量作っちゃう。その違いが、天然の良さだったのね」

 特待生、天然ということの意味を、見破る。

「人工的に、一方の配置のものだけ作ることはできないの?」

 麻友さんが、考えたということは、他の人も考える。

 2001年のノーベル化学賞は、一方だけの配置をたくさん作る、不斉触媒を作ったことに対し、日本の野依良治(のより りょうじ)、アメリカのノールズ、シャープレスの3人に贈られた。

「うわーっ、21世紀の科学なのね」

「科学って、私が考えつくようなことは、みんな他の人がやってるのね」

 そうだよ。だから、人を生き返らせるなんてことも、どこかで成功してるかも知れない。

「今日は、縁日の風船や、金のことや、天然の良さとか、盛りだくさんだったわね」

 しばらく、投稿してなかったからね。

幕張メッセは、本当に嬉しかったわ」

 『人魚姫』の人魚の気持ちが分かったでしょう。

「それ、どういう意味?」

 人間って、例え足をナイフで刺されようと、声を失おうと、やっぱり好きな人の前に、自分をさらしたくなるものなんだよ。

「私が、太郎さんに、見てもらいたかったというの?」

 素敵だったよ。

「言葉を選んでいるのねぇ。普通そういう時、男の人は、『綺麗だったよ』って言うものよ」

 『素敵』は、男の人が女の人を褒める最上の言葉だよ。

「まだ、太郎さんの胸には、飛び込めないのねぇ」

 AKB48のエースとして、アイドルの鑑として、『吊される』仕事、最後まで、やり通すといい。

 もうそんなに長くないよ。

「ありがとう」

 麻友さんは、よく頑張ったよ。AKB48の選抜総選挙に9回出たなんて、表彰状ものだよ。

 必ず受け止めてあげるから、最後まで走りきれ。

「うん」

 今日は、お休みの時間じゃないから、バイバイ。

「バイバイ」

 現在2017年8月5日16時42分である。おしまい。