女の人のところへ来たドラえもん

21歳の女の人と43歳の男の人が意気投合し、社会の矛盾に科学的に挑戦していく過程です。                    ブログの先頭に戻るには、表題のロゴをクリックして下さい。                                   数式の変形。必ずひと言、添えてよ。それを守ってくれたら、今後も数学に付き合ってあげる。

コンパクト開位相に騙されてはいけないーそれと量子力学への野望

 現在2024年10月12日18時21分である。(この投稿は、ほぼ3285文字)

麻友「コンパクト開位相って、何」

私「取り敢えず、位相空間論で、コンパクト開位相(かいいそう)というものが、あるという認識だけで良い」

若菜「お父さんの失敗談ですか?」

私「そうなんだ。大学2回生の夏休み、岩波基礎数学選書の、『位相幾何学』を、読みたいと、思っていた。

位相幾何学の予備知識に、あたるのが、位相空間論である。私は、1回生のとき買った、

という本の第1章が、位相空間論で、第2章が、(続)位相空間論。と、なっているので、これで十分だろうと思って、2冊を持って、京都から広島へ帰ってきた。ところが、いきなり躓いた。ウリゾーンの補題というものの、証明が分からない。これは、後になって、陰で選択公理が使われていることが分かって、解決した。さて、『位相幾何学』の序章の、最後に、コンパクト開位相というものが、あった。今になれば、予備知識の最後に書いてあるものなんて、その本の最後の方で使われるものだろうから、適当にスルーしておけば良いと、分かるのだが、当時は何も知らない頃だった」

結弦「そうすると、コンパクト開位相というものが書いてある、位相空間の本を探した?」

私「同じ岩波基礎数学選書の、『集合と位相』の、最後の方の、第4章に書いてあった。そのとき以来、位相空間論の本に出会う度に、コンパクト開位相が、書かれているかどうか、チェックするようになった。書かれていない本は、その時点で、レヴェルが低いと決めつけられた。こうして、丁寧だと、誉れの高い松坂『集合・位相入門』

も、切り捨てられた。唯一残ったのは、

であった。『集合と位相』、『距離空間と位相構造』、そして、実は、ブルバキには書いてあった。この3冊持っていたが、実際に位相空間論を、勉強してみて、松坂和夫さんの本を読んであれば、コンパクト開位相って、ちょっとの応用で、分かることだった」

若菜「お父さんの、余りにももったいない、エピソードのひとつですね」


麻友「太郎さんのもったいないエピソードが、沢山ある反面、凄い事をやったエピソードにも、事欠かない」

私「10月8日に、CIAL のくまざわ書店で、『ナットとボルト』という本を、見ていて、数学や物理学を、面白く教えるって、いかに面白いストーリーを、くっつけられるか、なんだなと、気付いた」

麻友「そうなのよ。ただ、試験中に、ストーリーを思い出して、それを楽しんでたら、試験にパスしない。太郎さんは、どうしてたの?」

私「以前、山口真由さんに、言ってもらったけど、手に覚えさせるというのが、黄金の方法だと思う」

麻友「でも、好きでない科目に使える方法では、ないわね」

私「得意になりたかったら、好きになっちゃうのが、一番」

若菜「お父さんは、受験時代、本当に苦手だった英語を好きになった。大学を中退してきた後、

を、楽しみながら読んでいるのに、それは現れている。英検も3級のままで、TOEIC も、TOEFL も、受けてない。試験のためではなくとも、英語を勉強する。好きなのねぇ」


結弦「まあ、下手の横好きという言葉もある。ただ、お父さんの数学と物理学は、才能を伴っていただけに、本物になった」

私「私の数学の背骨は、『数Ⅲ方式ガロアの理論』だったりする。そして、もうひとつは、『代数学辞典 上・下』だ。数学の分野では、『解析的数論』に属するベルヌーイ数も、視界に入っている」

麻友「物理学では?」

私「やっぱり、相対性理論量子力学は、なかなか手中に入らなかったけど、最近ようやく分かってきた」

麻友「以前から、量子力学を学ぶなら、『岩波の物理入門コース』、『グライナー』、『サクライ』と、言っているけど、どこが良いの?」

私「『岩波の物理入門コース量子力学』は、Ⅰ巻で、量子力学ができるまでのところを、丁寧に書いていて、更に、

{\displaystyle |\varPsi(x,t)|^2dx}

という量を考える理由が、自然に納得できる。それから、

{\displaystyle \langle p_x \rangle =\int_{-\infty}^{\infty}\varPsi^* \frac{\hbar}{i} \frac{\partial \varPsi}{\partial x} dx ~~~~~~~~(7.24)}

という、

{\displaystyle \hat{p}_x =\frac{\hbar}{i} \frac{\partial}{\partial x}}

と定義して良いとほのめかす、式もある。グライナーでは、

{\displaystyle  \hat{p_x}=-i \hbar \frac{\partial}{\partial x}}

と、なってたな。分母分子に、{i} を掛けたもので、同じだと分かるだろう」

麻友「そういう、なぜ、運動量演算子を、ああ定義するのかを、太郎さんは知りたかったのね?」

私「うん」

結弦「そうすると、『岩波の物理入門コース量子力学』Ⅱ巻は、どんなことが書かれているの?」

私「実はねえ、Ⅱ巻は、書き込みは多少有るし、問題も解いてあるんだけど、私には、ほとんど理解できなかった。球関数なんかも、持ち出しているんだけど、数学的に厳密に捉えられなくて、辛い1冊だった。Ⅰ巻は、1997年11月20日読了。Ⅱ巻は、1998年1月18日読了だ」

麻友「全部、記録が残っている。そうすると、『グライナー』と、『サクライ』は、何を読みたいの?」

私「『グライナー』では、今までの本で、どうしても理解できなかった、3次元のシュレーディンガー方程式の理解をしたい。それから、今まで1度も見たことがない、距離の6乗に反比例して働くという、ファンデルワールス相互作用の式の理解。それから、実は、グライナーの教科書を、他の教科書から、際立たせているのは、第13章に以下の一文があることである。

『非相対論的線形理論からスピン {1/2} の粒子の正しい固有磁気モーメントが導き出される.多くの教科書において {g} 因子の値は相対論的な性質によるものであると書かれているがこれは誤りである。スピンの存在は,よく言われるように相対論的な効果ではなく,波動関数を線形化することにより導き出されるものである.』

これを、確かめたい」

麻友「課題が、少なくとも3つあるのね。『サクライ』は?」

私「サクライの教科書、『現代の量子力学 上・下』が、第2版、第3版となっても、残っている大切な記述なのだが、第2章 2.6節 ポテンシャルとゲージ変換 に、『量子力学に現れる重力』という小節がある。図2.6 重力がひきおこした位相変化の回転角{\delta}依存性 というグラフを示し、サクライは、『量子論のレベルでは重力が純粋に幾何学的なものではないことをも示している.』と、結んでいる。これを、現在の私は、まだ咀嚼できていない。きちんと、『サクライ』を読むときの楽しみなのである」

麻友「よーく、分かった。やるべき事が、沢山有るわね」

若菜「教科書読んでいるだけでも、十分冒険ですね」

結弦「僕達が、来た甲斐があった」

私「じゃあ、0時01分になっちゃったから、解散」

 現代2024年10月13日0時02分である。おしまい。