女の人のところへ来たドラえもん

21歳の女の人と43歳の男の人が意気投合し、社会の矛盾に科学的に挑戦していく過程です。

謎、解けたよ(その2)

 現在2016年12月12日19時43分である。

「前回の記事は、もの凄く書くの大変だったみたいね」

 うん。この本をお手本にしながら、計算を進めたんだけど、今まで知らなかったことだから、結構大変だった」

接続の微分幾何とゲージ理論

接続の微分幾何とゲージ理論

「凄い式の連続だったけど、ああいう式は、どうやって書いているの?」

 前話した、テフで打ってるんだ。

 例えば、

{\omega_j{}^i}

という微分形式は、

[tex:{¥omega_j{}^i}]

というのを、全部半角で打つと、出てくる。

「あっ、そうなの。」

ポン、ポン。

「ならないわよ。」

 当たり前だよ。これは、はてなのブログで、テフを使うときのやり方だもの。

はてなでなかったら?」

 2年くらい前まで、テフをパソコンにインストールするのは、非常に敷居の高いことだった。

 私なんて、大学にいたときは、まだ、

『この文献、テフで打ってるんやな』

なんて、みんなで珍しがったり、洋書、例えば、この本、

Twistor Geometry and Field Theory (Cambridge Monographs on Mathematical Physics)

Twistor Geometry and Field Theory (Cambridge Monographs on Mathematical Physics)

では、まえがきの出だしの12行目のところに、

{\mathrm{The\ manuscript\ went\ through\ several\ typographical\ incarnations,}}

{\mathrm{via\ typescripts\ and\ an\ older\ computer\ code\ to\ the\ implementation}}

{\mathrm{of\ the\ complete\ book\ in\ \TeX,\ which\ was\ carried\ out\ by\ the\ staff\ of}}

{\mathrm{Rosenlaui\ Publishing\ Services,\ Inc.,\ under\ a\ contract\ with}}

{\mathrm{Cambridge\ University\ Press.}}

なんて、{\mathrm{\TeX}}という新しいものを使って書いたんだよとわざわざ書いてあったりした。

 英語の勉強をかねて、麻友さんのために、訳しておくと、

 原稿は、いくつかの活字組版の段階を経た。タイプライターで打ったものから、以前のコンピューターのコードで表されたものになり、ケンブリッジ大学出版と契約したローゼンラウィ出版業務株式会社のスタッフが{\mathrm{\TeX}}を用いて、完全な本にしてくれた。

となる。

「太郎さんが大学生の頃って、私が生まれる前でしょ。ちょっと、想像できないわねぇ」

 そうだねぇ。もう干支が2回まわるよ。

「それで、太郎さんは、いつテフを手に入れたの?」

 2001年1月に、2回目東京大学不合格が確定し、2001年10月1日から放送大学の1年生になった。

「1年生なら、まだ論文は書かないでしょ」

 でも、私は、

『絶対、大論文、書いてやるんだ』

と、意気込んでたから、まだ1年生だった2002年の1月22日に

PLATEX 2ε for WINDOWS Another Manual〈Vol.1〉Basic Kit

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LATEXで数学を―LATEX2ε+AMS‐LATEX入門

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という2冊の本を買ってきた。

「どの本が良いって、どうして分かるの?」

 分かる、分からない、どころじゃないよ。

 あの頃は、どうやったらテフが手に入るのかも、分からなかったんだ。

「じゃあ、どうしたの?」

 唯一の救いは、東京大学の生協へ行って、

『テフって、どこで売ってるんですか?』

と、聞くことだった。

「なんだって?」

『自分で(プログラムを)打つこともできますが、無理そうなら、「ラテフ、フォー、ウィン」という本に、CD-ROMで付いてますよ』

と、教えてくれた。

 この、『ラテフ、フォー、ウィン』が、くせ者で、あっちこっち探して、やっと上の2冊の最初の方だと分かった。

「『{\mathrm{p \LaTeX 2 \varepsilon \ for\ WINDOWS}}』なのね」

 そうだったんだ。

 当時、インターネットからダウンロードするなんてのは、通信料が高くてできなかった。

 CD-ROMしか方法は、なかったんだよ。

「それで、手に入れて、論文は、書いたの?」

 正直言って当時のテフは、使い方を覚えるまで、長い道のりがあり、これを今すぐ論文にして発表しなきゃっていうのでもなければ、みんな挫折するようなものだったんだ。

「じゃあ、論文は、書かなかったの?」

 結局、放送大学卒業論文は、Wordで打った。それでも、大変だった。

「そういえば、この前見たわ。カラーの論文っていうから、どんなに綺麗かと思ったけど、矢印に色が付いてただけじゃない」

 アハハ。そうでも言わなきゃ見てくれないだろうと思って。

「私は、太郎さんが書いたもの、結構読んでるのよ」

 そうだったね。後で、それが、証明される。

「ところで、太郎さんは、いつ、テフを使ったの?」

 実は、障害者のための鎌倉にあった就労移行支援の施設『ねくすと』にいたとき、練習で一枚レポートを書いたっきり、使ってなかったんだ。

「もったいない」

 もったいないとは思ってたけど、論文にするほどの成果が上がってなかったんだよ。

「そうかー」

「でも、この間の論文第2号は?」

 論文誌に提出した論文第1号第2号は、ちゃんとテフで打った。

「いつ、勉強したの?」

 テフをかい?

「そう」

 書きたい論文がある、となると、人間、一所懸命勉強もするんだよ。

「確か、2015年は1月15日に退院しているのよね。それで、4月までに2本論文を書いたわけ?」

 短い論文だし、レヴェルは学部生の卒業論文にも満たないものだからね。でも、あの時は、必死で勉強した。

 そのお陰で、今、本を訳すなんてことが、できるまでになった。

「さっき言ってた、2年前から、敷居が下がったというのの影響?」

 それは、麻友さんの時の話。私は、大変なところをクリアした。

「じゃあ、2年前から、楽になったというのは?」

 Yahoo! JAPAN か Google で、

『cloud tex

と、検索してごらんよ。

Cloud LaTeX

というのが、広告の下に、トップでヒットする。

 これをクリックして、『ビデオを見る』というのをクリックすれば、どうやったら数式混じりの文章を書いて、印刷できるか分かるよ。

「そのビデオができたから、楽になったというの?」

 違う違う。

 今までは、数式混じりの文章は、あらかじめテフのコードというものを書いて、それを保存して、それを、コンパイルするまで、上手く書けているかどうか、分からなかったんだ。

 ところが、そもそも、パソコンに、テフをインストールしなくても、オンラインでメールを書く感覚で、テフのコードを打つことができ、それが、ほとんどリアルタイムで、コンパイルされるんだ。

 だから、自分の打った数式の完成形を見ながら、文章を打てるようになったんだ。

「どれくらい、便利なのかしら?」

 もし、麻友さんが、ツイッターフェイスブックの権限で新規登録して、プロジェクトの名前を書いて立ち上げて、打ち込むべき中央の部分に、


¥documentclass{book}

¥begin{document}


と半角で入れると、向こうが認識すれば、自動的に、下の方に、


¥end{document}


というのが、できる。

 後は、このbeginとendの間に、色々書き込めば良い。

 一つ例を書くと、


\documentclass{book}

\begin{document}

\TeX を手にした渡辺麻友さんが最初に書いた式。

$ e^{\pi i}=-1 $

\end{document}



を、コピーアンドペーストする。¥は、ユニコードでは、『\』となるんだ。

 普通に日本語を打てば、そのまま出力されるし、簡単な常識は通用する。

 たとえば、次のように、

{f(x)=x^2}

という関数の式そのものを書きたかったら、

$f(x)=x^2$

または、

¥[ f(x)=x^2 ¥]

を、半角で打てば良い。上と下の違いは、上のものは、文章中に混じって使うことができる数式だということ。

 数式は、$で挟むか、¥[ と ¥] で挟むというのが、約束。

 右上に小さく字を書きたかったら

^   (ハット)

を使う。

 右下に小さく字を書きたかったら、

_   (アンダーバー)


を使う。


「なんか、随分簡単ね」

 始めちゃえば、パソコン初心者が、初めてメール打つときより、ずっと楽だと思うよ。

 ただ、面白すぎて、ハマりやすい麻友さんが、数式ばっかり打ってて、眠れなくなったら、私、麻友さんのお母さまに、怒られちゃう。

「太郎さんこそ、一つ話が済んだんだから、今日は、寝なさい」

 あー、また、解けた謎の話がー。

「寝なさい」

 はい。

「おやすみ」

 おやすみ。

 現在2016年12月13日3時33分である。おしまい。