女の人のところへ来たドラえもん

21歳の女の人と43歳の男の人が意気投合し、社会の矛盾に科学的に挑戦していく過程です。                    ブログの先頭に戻るには、表題のロゴをクリックして下さい。                                   数式の変形。必ずひと言、添えてよ。それを守ってくれたら、今後も数学に付き合ってあげる。

体積素片ってどう計算する?

 現在2024年4月7日17時32分である。(この投稿は、ほぼ7166文字)

麻友「体積素片って、何?」

私「そういう疑問が、返ってくると思っていた」

若菜「計算っていうことは、数学の話ですか?」

私「そうだ。2024年4月4日のブログで、

『今年の新入生に、この投稿読ませたいわねえ』

という話をした。4月では、まだ早いが、6月くらいの新入生にとって、多少役に立つことを、書きたい」


結弦「お祖父ちゃんに、聞いてきた。大学の化学の時間に、

{\displaystyle \int~f~dxdydz=\int~f~r^2 \sin{\theta}~dr d \theta d \varphi }

という計算をする。この {dxdydz} のことを、体積素片って、言うんだって」

若菜「{r,\theta,\varphi} というのは?」

私「ああ、こうなっているんだよ」

若菜「ページ、振ってない」

私「研究ノート9の、531ページ。この絵は、今日描いたが、後で見せる計算は、2024年3月20日から、2024年3月21日にかけて、行ったものだ」

結弦「他の、投稿をしているから、それに掛かりっきりなのかと思っていたら、別なこともやってた。お父さんって、信じられないくらい計算してる」

私「それよりも、なぜ、

{\displaystyle \int~f~dxdydz=\int~f~r^2 \sin{\theta}~dr d \theta d \varphi}

で、

{\displaystyle dxdydz=r^2 \sin{\theta}~dr d \theta d \varphi}

なのか、不思議だろう」

若菜「きょとん」

結弦「えっとー」

麻友「太郎さんが、いきなり難しい話するから、二人とも、付いて行ってないわよ」


私「これが、『多変数の積分の変数変換公式』というものの、特別な場合で、数学の時間に習う前から、物理学や化学の授業で出てきて、学生が困る」

結弦「あー、困って当然なんだ」

若菜「あっ、『解析概論』にも、証明がなくて、お父さんが、『解析入門Ⅰ・Ⅱ』に乗り換えた理由の、あれですか?」

私「そう。『解析概論』などの説明は、無限に小さい場合、などの、ハイパーな概念を使っていて、分からない。優秀でない学生の場合、地道にひとつずつ崩していって、

{\displaystyle dxdydz=r^2 \sin{\theta}~dr d \theta d \varphi}

を、計算で確かめたいという思いを、持っているのではないかと思う。大学で会ったある学生は、『この積分の変換について、僕に分かるように教えてくれた人がいないんです』と、こぼしていた」

私「地道に計算して、行き着く道を、私は知っている。それは、微分形式というものを、使う方法だ。まず、

{\displaystyle dxdydz=dx \wedge dy \wedge dz}

の右辺と左辺を取り敢えず同じものと定義する。

{\displaystyle dx \wedge dy \wedge dz}

は、微分形式である。ここで、

{\displaystyle x=r \sin{\theta} \cos{\varphi}}

{\displaystyle y=r \sin{\theta} \sin{\varphi}}

{\displaystyle z=r \cos{\theta}}

という座標変換をするのだが、これをひとまず、

{\displaystyle dx \wedge dy \wedge dz =d (r \sin{\theta} \cos{\varphi}) \wedge d(r \sin{\theta} \sin{\varphi}) \wedge d(r \cos{\theta})}

とする」


私「ごめん。今日はもう眠い。続きは次回ね。解散」

 現在2024年4月7日22時59分である。中断。



 現在2024年4月8日20時59分である。再開。


若菜「

{\displaystyle x=r \sin{\theta} \cos{\varphi}}

だから、

{\displaystyle dx =d (r \sin{\theta} \cos{\varphi}) }

と言うわけですか?

{dx}

って、何ですか?」

私「微分形式と呼ばれるものなのだが、例えば、変数、{x,y,z} の関数、{f(x,y,z)} に関し、

{\displaystyle df=\frac{\partial f}{\partial x} dx +\frac{\partial f}{\partial y} dy +\frac{\partial f}{\partial z} dz}

と、定まる。今、なんでこうなるのかは、追求しない方が良い。体積素片の計算が、目標だから」

若菜「それで、どう計算するのですか?」

私「この微分形式が、ウェッジ積と呼ばれる、

{\wedge}

という記号で、結ばれている。これは、交代形式という性質を持つ」

結弦「交代って?」

私「1個1個、微分形式が並んでいるとき、

{\wedge}

の前後を、入れ換えると、プラスマイナスが、逆になるんだ」

麻友「例えば、

{dx ~ \wedge ~ dy =-dy ~ \wedge ~ dx }

みたいなことね」

私「そうだ。そこで、これを用いて、重要な性質が得られる」

若菜「分かった。同じものがあると、その微分形式は、ゼロになる」

私「例えば?」

若菜「

{(\varphi ~ \wedge ~ \varphi) =-(\varphi ~ \wedge ~ \varphi)}

だから、

{(\varphi ~ \wedge ~ \varphi) +(\varphi ~ \wedge ~ \varphi) =0}

となって、

{2(\varphi ~ \wedge ~ \varphi) =0}

よって、{2} で割って、

{(\varphi ~ \wedge ~ \varphi) =0}

が、得られる」

私「そう。ただ、これは、{\displaystyle \varphi=dx ~ \wedge ~dy } みたいに、{\varphi} 自体が、微分形式のウェッジ積で、結ばれていたりすると、必ずしも成り立たない。でも、重要な性質だ」


私「今日は、遅くなった。ここまで」

 現在2024年4月8日22時48分である。中断。



 現在2024年4月10日4時10分である。再開。

若菜「交代形式という性質を用いて、計算するのですね」

私「もうひとつ、性質がある。本来、交代多重線形形式と、呼ばれるんだが、交代形式の他に、線形という性質がある。色々、定義があるんだが、実際やってみるのが、一番速い。こうやるんだ」

{(dx+dy) \wedge dz=dx \wedge dz + dy \wedge dz}


麻友「分配法則みたいなことが、できるのね」

私「そう。中学校くらいで習うことが、生きてくる」

結弦「ちょっと、計算してみよう。

{(dx + dy) \wedge (dx + dy)=dx \wedge (dx + dy) +dy \wedge (dx + dy) }
{=dx \wedge dx + dx \wedge dy +dy \wedge dx +dy \wedge dy }
{= dx \wedge dy +dy \wedge dx = dx \wedge dy - dx \wedge dy= 0}

同じだったら、ゼロというのを、1つ確かめた」

若菜「交代というのと、線形というのを用いて、計算して行くんですね」

麻友「これだけ?」

私「うん。ただし、結弦のように、同じだったら、ゼロとなるのは、少し気を付けなければ、ならないけどね」


若菜「そうすると、

{\displaystyle dx \wedge dy \wedge dz =d (r \sin{\theta} \cos{\varphi}) \wedge d(r \sin{\theta} \sin{\varphi}) \wedge d(r \cos{\theta})}

を、計算する」

結弦「できないよ」

私「もう少し、説明がいるか。積の微分法という公式を、高校の微分の時間に習う。

{\displaystyle \frac{dfgh}{dx}=\frac{df}{dx}gh+f\frac{dg}{dx}h+fg\frac{dh}{dx}}

三つの積の微分だったら1つずつ計算して行く。というものだ」

結弦「それでも、

{d (r \sin{\theta} \cos{\varphi})}

は、計算できない」

私「こういう展開の仕方を、教えただろう」

{\displaystyle df=\frac{\partial f}{\partial x} dx +\frac{\partial f}{\partial y} dy +\frac{\partial f}{\partial z} dz}

若菜「この公式の名前は?」

私「合成関数の微分法、または連鎖律(チェインルール)」

若菜「証明は?」

私「例えば、あらゆるものは、時間の関数だとして、

{\displaystyle \frac{df}{dt}=\frac{\partial f}{\partial x} \frac{dx}{dt} +\frac{\partial f}{\partial y} \frac{dy}{dt} +\frac{\partial f}{\partial z} \frac{dz}{dt}}

と、するとか」

麻友「全部で、分母が同じだから、省略したと言うこと?」

私「そう取っても、大丈夫なように、なっている」

結弦「それで、どうやって、

{\displaystyle d (r \sin{\theta} \cos{\varphi})}

を、計算するの?」

私「

{\displaystyle dx=d (r \sin{\theta} \cos{\varphi})}

{\displaystyle df=\frac{\partial r\sin{\theta} \cos{\varphi}}{\partial r}dr+\frac{\partial r\sin{\theta}\cos{\varphi} }{\partial \theta} \displaystyle d\theta+\frac{\partial r\sin{\theta}\cos{\varphi}}{\partial \varphi} d\varphi}

と、並べる」

結弦「偏微分の記号は、他の変数を定数と思って、微分する。そうすると、

{\displaystyle =(\sin{\theta} \cos{\varphi})dr+r\frac{\partial \sin{\theta}}{\partial \theta}\cos{\varphi} d\theta+r\sin{\theta}\frac{\partial \cos{\varphi}}{\partial \varphi} d\varphi}

だから、

{\displaystyle =(\sin{\theta} \cos{\varphi})dr+r\cos{\theta}\cos{\varphi} d\theta+r\sin{\theta}(-1)\sin{\varphi} d\varphi}

となって、

{\displaystyle dx=(\sin{\theta} \cos{\varphi})dr+r\cos{\theta}\cos{\varphi} d\theta-r\sin{\theta}\sin{\varphi} d\varphi}

だ。えー、こんなの、{y} についても、{z} についても、計算するの?」



 現在2024年4月12日18時34分である。再開。

私「昨日は、続きを計算できなかった。申し訳ない」

結弦「お父さんが、歯医者さん行ってる間に、計算しておいたよ」

私「おお、そうか」

結弦「

{\displaystyle dy=d(r \sin{\theta} \sin{\varphi} )}

なんだけど、

{\displaystyle dy=\frac{\partial r\sin{\theta} \sin{\varphi}}{\partial r}dr+\frac{\partial r\sin{\theta}\sin{\varphi} }{\partial \theta} \displaystyle d\theta+\frac{\partial r\sin{\theta}\sin{\varphi}}{\partial \varphi} d\varphi}

と、この前のように、並べる」

結弦「偏微分の記号は、他の変数を定数と思って、微分する。そうすると、

{\displaystyle =(\sin{\theta} \sin{\varphi})dr+r\frac{\partial \sin{\theta}}{\partial \theta}\sin{\varphi} d\theta+r\sin{\theta}\frac{\partial \sin{\varphi}}{\partial \varphi} d\varphi}

だから、どんどん計算して、

{\displaystyle =(\sin{\theta} \sin{\varphi})dr+r\cos{\theta}\sin{\varphi} d\theta+r\sin{\theta}\cos{\varphi} d\varphi}

以上で、

{\displaystyle dy=\sin{\theta} \sin{\varphi}dr+r\cos{\theta}\sin{\varphi} d\theta+r\sin{\theta}\cos{\varphi} d\varphi}

となる」

若菜「私は、地道に計算したので、結弦に負けた。

{\displaystyle dz=d(r \cos{\theta})=\cos{\theta}dr+r\frac{\partial \cos{\theta}}{\partial \theta} d \theta }

{\displaystyle =\cos{\theta}dr-r\sin{\theta} d \theta }

しか、計算できなかった」

私「ある計算が、正しいかどうかは、他の人が、計算してくれなければ、保証できない。若菜の計算も、役に立っているぞ」


麻友「でも、よく、パイの値を、何百万桁も、計算したって、言ってるじゃない。どうやって、検算してるのかしら?」

私「以前、小林りんさんに説明していて、勇み足を指摘されたんだけど、パイの値って、16進数だと、いきなり1兆桁目から、10桁欲しいとかできるのね。だから、差し当たって、1兆桁目まででも、求めておくと、次に、2兆桁目が欲しいとなったとき、その欲しい桁の周辺を、16進数で計算して、つなぎ合わせる、ということが、できるはずなんだ。こういう方法を使って、検算しているというのも、ひとつの方法だ。いずれにせよ、確かめる方法が、なければ、成果を発表しても、認められない」

若菜「私の計算って、どうやって計算してたの?」

私「最初は、2024年3月20日の、計算が、研究ノートの526ページから527ページにかけて、あったのね。それと、常に照らし合わせていた」

麻友「ハッ!。これ、体積素片の投稿よね。もう、7000文字になってる。ここで、一旦投稿した方が良い。どうせ、計算は、多重線形性と交代性で、だらだら計算するんでしょ。この後に続けたら、1万字越えるわ」

私「私も、長くなり過ぎたな。と、困っていた。じゃあ、鶴の一声で、ここで投稿しよう。解散」

 現在2024年4月12日21時49分である。おしまい。