女の人のところへ来たドラえもん

21歳の女の人と43歳の男の人が意気投合し、社会の矛盾に科学的に挑戦していく過程です。                    ブログの先頭に戻るには、表題のロゴをクリックして下さい。                                   数式の変形。必ずひと言、添えてよ。それを守ってくれたら、今後も数学に付き合ってあげる。

体積素片ってどう計算する?(その4)

 現在2024年4月16日18時21分である。(この投稿は、ほぼ4028文字)

麻友「おしゃべりは、後にしましょう」

私「分かった。まず、昨日の最後から、

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私「丁寧に書くと、

{\displaystyle dz=\cos{\theta}dr-r\sin{\theta} d \theta }

だったから、

{\displaystyle r^2 \sin{\theta}\cos{\theta}(d\theta \wedge d\varphi) }     式($)

と、

{\displaystyle (r\sin^2{\theta} )(dr \wedge d\varphi )}

という生き残りから、

{\displaystyle dxdydz=dx \wedge dy \wedge dz}

{\displaystyle = \biggl(r^2 \sin{\theta}\cos{\theta}(d\theta \wedge d\varphi) }

{\displaystyle +(r\sin^2{\theta} )(dr \wedge d\varphi )\biggr) \wedge (\cos{\theta}dr-r\sin{\theta} d \theta) }


を、計算すれば良いのだが、もう眠い。続きは次回とする。解散」

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と、なっていた」

結弦「これなんだけどさあ、後ろの、

{\displaystyle (d\theta \wedge d\varphi) }

の部分。もう{d\theta} も、{d\varphi} も、場に出ているから、残りは、トランプじゃないけど、{dr} しか、有り得ないじゃん。同じように、

{\displaystyle (dr \wedge d\varphi )}

の部分は、{\displaystyle d\theta} しか、有り得ないと思うよ」


私「そう。こういう風に、交代形式という性質で、バンバン消していくのが、この計算の醍醐味だ」

麻友「いつぞやの『醍醐味』、今でも考えている?」

私「今回の場合、適切じゃないかな? 麻友さんがあの場面で使ったのが、適切だったかどうかは、今の私には、判定できないけど」

麻友「あの場面とは、この投稿でのこと」

27182818284590452.hatenablog.com


私「さて、

{\displaystyle dx \wedge dy \wedge dz= r^2 \sin{\theta}\cos{\theta}(d\theta \wedge d\varphi) \wedge (\cos{\theta}) dr}

と、

{\displaystyle +(r\sin^2{\theta} ) (dr \wedge d\varphi) (-r\sin{\theta} d \theta)}

の2つが、残る」

結弦「お母さん。やっちゃ駄目。

{\displaystyle = r^2 \sin{\theta}\cos{\theta}(\cos{\theta})( (d\theta \wedge d\varphi) \wedge dr)}

{\displaystyle -(r^2 \sin^3{\theta} ) ( (dr \wedge d\varphi)  \wedge d \theta)}

と、整理して、

{\displaystyle = r^2 \sin{\theta}\cos{\theta}(\cos{\theta})( (d\theta \wedge d\varphi) \wedge dr)}

{\displaystyle -(r^2 \sin^3{\theta} ) ( (dr \wedge d\varphi) \wedge d \theta)}

などの、後ろの {(dr \wedge d\varphi) \wedge d \theta)} などを、1つずつ交換して、

{(dr \wedge d \theta) \wedge  d\varphi)} に、揃える。上のは、2回、下のは、1回、交換(こういうのを、互換という)が必要で、偶数回の互換だったら、プラスマイナスはプラス、奇数回の互換だったら、プラスマイナスは、マイナスになる。従って、

{\displaystyle = (r^2 \sin{\theta}\cos^2{\theta})( (dr \wedge d\theta ) \wedge d\varphi) )}

{\displaystyle + (r^2 \sin^3{\theta} ) ( (dr \wedge d\theta ) \wedge d\varphi)}

となって・・・」

若菜「もう、まだるっこしい。

{\displaystyle = (r^2 \sin{\theta} \biggr\{\sin^2{\theta}+\cos^2{\theta} \biggl\})( (dr \wedge d\theta ) \wedge d\varphi))}

と、出来るから、

{\displaystyle dx \wedge dy \wedge dz= r^2 \sin{\theta} ( (dr \wedge d\theta ) \wedge d\varphi))}

が、最終形。括弧は取って良いわね」

{\displaystyle dx \wedge dy \wedge dz= r^2 \sin{\theta} dr \wedge d\theta \wedge d\varphi}

麻友「えっ、結弦が、お祖父ちゃんから、聞いてきたのって?」

結弦「こういう計算で、

{\displaystyle \int~f~dxdydz=\int~f~r^2 \sin{\theta}~dr d \theta d \varphi}

次の様になるのを、使ってるって。

{\displaystyle dxdydz=r^2 \sin{\theta}~dr d \theta d \varphi}

これを、お父さんが、不思議だろうって、言ったので、僕達分からなかった」

若菜「座標変換の式を使ったけど、交代多重線形形式というものを使って、お祖父ちゃんの式を導いたってこと?」

麻友「太郎さんが、無限小とかいうハイパーな概念を使わずに、地道に計算して、導くって言ってたけど、でも、これで、何?」

私「具体的に計算するものがないと、猫に小判だが、大学に入って、『この体積素片って、どうやって計算したんだろう?』と、壁にぶつかった学生には、役立つだろうね」

麻友「そういうことか。本来、座標を、{x,y,z} で、測ってたのを、{r,\theta,\varphi} に、変えたとき、{dr d\theta d\varphi} のままでは、積分は上手く行かないわけなのね。それを、{r^2 \sin{\theta}} を掛けると上手く行く。だけど、太郎さんも言ってたけど、かなりこの計算は、腕力がいる。{r^2 \sin{\theta}} だけ、丸暗記した方が、効率的かもね」

私「これを、丸暗記する方が、遥かに、効率が良い。ということは、大学では、いくらでも、出てくる。日本で最初にフィールズ賞に輝いた、小平邦彦も、定理だけでなく、証明も暗記することを薦めている」

麻友「昨日の、

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私「表の残り4つも、残りの2つずつキャンセルすることは、想像に難くないな」

麻友「ここまで来ると、数学が、楽しいと思えるというのも、分かるわね」

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の部分、太郎さん上手いこと書いたなと、思った。頭の中の式が、ゴソッと入れ替わったりすると、人間って、快感を味わえるものなのね」

若菜「今回、こんなに式が動くなんて、思ってもみませんでした」

結弦「お祖父ちゃんが、良いもの覚えていてくれて、良かった」

私「孫には、大サービスするんだ。今後も色々教わっておいでよ」

麻友「今日の定理は、『多変数の積分の変数変換公式』として良いのかしら?」

私「元の公式は、『解析入門Ⅱ』の110ページに定理4.5として、載っている。だが、難しい道具立てがいらなくとも、『解析入門Ⅰ』の288ページに、定理10.3として、今回の場合の証明がある。必要に応じて、証明を使い分けるのが、良いだろう」

麻友「4月7日から、4月16日まで、10日かかったわね」

私「しばらく、数学しかやってなかった。物理学もやりたくなっている。また、何か見付けて、話すよ」

若菜・結弦「おやすみなさーい」

麻友「おやすみ」

私「おやすみ」

 現在2024年4月16日22時52分である。おしまい。