現在2022年5月9日19時47分である。(この投稿は、ほぼ2063文字)
麻友「太郎さんには、分からないんだから!」
私「私の母が、分かった」
若菜「お父さんのお母様が?」
私「母は、絵を描く人間だ。だから、この本が、面白く読めるに違いないと、渡したこともある」
結弦「読んだのかな?」
私「数学なんて、面白くないと、突っ返された」
麻友「お母様、私の気持ちが分かる(喜)」
若菜「それで?」
私「妹が、つまり、若菜と結弦の本当のお母さんが、
妹「若菜が生命科学の道に進むなら、数学ほどではないから、生命科学の勉強してみる」
って言って、司書だから、素晴らしい文献いくつも、自分の図書館で、借りて、読み始めたんだって」
若菜「その話は、前にも、・・・」
私「前にも書いた。でも、後日談が、あるんだ」
麻友「えっ? 後日談?」
私「先日、父と母は、みかん山の家へ、行っていた。図書館を終えた、妹が、加わった。妹は、生命科学の本を、読んでいた。そして、
妹「あー、こんなの駄目だ」
と、言いだした。
妹「こんな、化学式ばっかりの本、読まなければ、ならないなんて。若菜、将来こんな授業受けたら、何にも分からなくなる。生命科学なんて、やめさせなきゃ」
と、言ったというんだ」
麻友「化学式というのと、数式というのは、違うの?」
私「そんなこと、言ってるから、鈍い私でも、気付いたんだよ。化学式というのは、この間の、
これみたいなのだよ」
麻友「これ、砂糖とか・・・」
若菜「化学では、日本語の場合、正式には、『ショ糖』と、言うんです」
麻友「それで、妹さん、どうしたのかしら?」
私「よーく見てみると、文系って、妹だけなんだよね。父母は、慶応の応用化学科だし、私は、もろ数学科と物理学科と自然と環境コース、弟は農学部、妹のご主人様は情報科学科。国文科の妹には、周り全部敵みたいなものだよね」
結弦「見事なほど、敵だらけだね。それで、いさめられたんだね。数式はまだしも、化学式くらい、理系の人間は、言葉を話すように、書いたり読んだりできるんだと」
私「そう。ただ、その話をしながら、母は、もう一回貸してあった、『すうがく博物誌』のことを、話し出したんだ」
若菜「性懲りもなく、また貸したんですか」
私「母が、言うんだ。
母「これは、眠る前に読むのに、丁度いい。数式が出てくるから、すぐ眠くなる。でも、あの絵は、本当に良いよねえ。そこで、森毅が、書いている数行に、ぴったりの絵を描いている。安野さんは、天才だわ」
とね」
若菜「それで、分かったのですか?」
私「ここで、いつものファインマンが、出てくるのだが、ファインマンは、物理学の考察をするのと、物理学の論文を書くのと、同じくらい、ど素人に物理学の説明を、するのが、好きだった。前にも取り上げた、この本。
ファインマン『光と物質のふしぎな理論-私の量子電磁力学-』(岩波現代文庫)
訳者は、釜江常好(かまえ つねよし) 大貫昌子(おおぬき まさこ) と、なっていて、物理学者の釜江が、補ったのかな? と、思うだろうが、そんなことは、ないのだ。訳者あとがきに、ファインマン先生に、「・・・素人の君が読んでわからないところがあれば、それは僕の書き方が悪いんだ。わかりやすくなるまで説明しなおすから、どしどし聞いてくれたまえ」と言われた、・・・この本もそもそも友人アリックス・モートナー夫人のため、数式をいっさい使わずに QED をやさしく解説できないものか、というチャレンジに取り組むうち自然にできあがったものだという。(218ページ)」
若菜「お父さんのこの言葉、読んで、分からなかったら、お母さんのセンス疑いますよ」
麻友「ちょっと、その本。原題は、なんて言うの?」
私「QED」
結弦「つまり、Quantum Electro Dynamics (量子電磁力学)」
麻友「太郎さんの本棚にあるのは、Quantum Electrodynamics って、書いてある。D の前で切るのは、おかしくない?」
私「今、隣の部屋、空いてる。家賃、44,000円くらいで、借りられるだろうけど、それくらい、行き来してなきゃ、本の題名、覚えられなかったよね」
若菜「お母さん達、分かり合ってたんですか」
結弦「信号は、行き交っていない。でも、こころは、通じ合ってたんだ」
麻友「太郎さん。一歩を踏み出せないだなんて。おやすみ」
若菜「おやすみなさーい」
結弦「おやすみなさーい」
私「おやすみ」
現在2022年5月9日21時20分である。おしまい。