女の人のところへ来たドラえもん

21歳の女の人と43歳の男の人が意気投合し、社会の矛盾に科学的に挑戦していく過程です。                    ブログの先頭に戻るには、表題のロゴをクリックして下さい。                                   数式の変形。必ずひと言、添えてよ。それを守ってくれたら、今後も数学に付き合ってあげる。

約束だった算数(その4)

 現在2022年5月10日16時33分である。(この投稿は、ほぼ3423文字)

麻友「わーあ、久し振りの算数」

私「すっぽかしたりは、しない。

の、私の4番目の間違い。第41番だったね」

麻友「うんうん。見てみたい」

私「恥ずかしいけど、

若菜「あちゃー。計算ミス。どうしてこんな」

結弦「『次はチーム対抗のリレーよ。まず,トラックの周りの長さを調べなきゃネ。下のトラックの周りは,全長何mかしら?』という問題」

若菜「手堅く、40m✕3.14=125.6

      125.6+160=285.6

    で、 答え 285.6m は、合っているようですけど」

麻友「間違いないわ。そして、チャレンジ問題

『上の問題で,トラックの内側の部分の面積は、何m²ですか』

で、太郎さんは、

2856+3200=6056 と計算して、 答え 6056m² としてる。でも、赤ボールペンで直しているように、これは、間違い」

若菜「おかしいですねえ。まず、トラックの直線の部分が、

80m✕40m=3200m²

であるのは、お父さんも、分かってる。次に、曲線部分。面積は、両側のを合わせて、半径20mの円の面積ですよね。

3.14✕20✕20=3.14✕400=

あーっ、お父さん。カンニングしたんだ」

結弦「1問目の、

40m✕3.14=125.6m

が、使えると、思ったんだ。それで、計算せず、その答えに見える、

125.6+160=285.6m

の285.6を、40じゃなく、400だから、10倍して、2856m²と、書いてしまった。だから、

2856+3200=6056 で、 答え 6056m² としてしまった」

麻友「太郎さんでも、こんな凡ミスを、する。しかも、後から、どうして、間違えたか、全部分かるほど、ハッキリと。私でも、太郎さんと会話してたら、太郎さんという人が、分かるかも知れない」

私「それで、正しい答えを、導けよ」

麻友「うん。クスン。

3.14✕20✕20=3.14✕400=1256m² が、曲線部分の面積。だから、

1256+3200=4456m² で、 答え 4456m²

のはず」

結弦「合ってる」

若菜「こんな、ケアレスミスは、お父さんでもする」

私「だから、京都大学で、1年生であった、3回の数学の試験、全部、100点で、合計300点満点だった、望月拓郎君が、素晴らしいという意味が、分かるだろう」

若菜「素晴らしいです。お父さんを、これ以上、完璧にするなんて」

結弦「でも、数学者になるのは、一握りなんだろう。数学科の全員を、そこまで、しごく必要あるのかな?」

私「ある」

若菜「どうしてですか?」

私「例え、中学や、高校の先生になっても、試験をして、子供が間違えたとき、なぜ間違えたか、分かってあげられなきゃ、ならないから」

結弦「さっきの、お父さんみたいに、ひとつ下の行、見ちゃったとか?」

私「そう。京都大学の入試では、入学試験の答案を採点してて、生徒が間違えていると、消しゴムで消した跡まで、透かしてみたりしてまで、間違えた理由を、把握しようとしているらしい。これは、本当に京都大学の先生が、書いていたことだから、事実」

麻友「だったら、ちょっと教えて。『1から始める数学』のブログの、最近の『現代論理学(その37)』で、若菜が、


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若菜「正五角形ということは、黄金比のはずですから、{\displaystyle 1~ :~ \frac{1+\sqrt{5}}{2}} で、お父さんの式にも、{\displaystyle \sqrt{5}} が現れてますから、大丈夫なんじゃないですか?」

私「そうなのかなあ?」


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と、言ってるけど、なぜ、若菜は、こんなこと、知っているの?」

私「公文の教室の、馬場先生から、『コペル21(こぺるにじゅういち)』という雑誌を、取ると良いよ。と言われて、母に頼んで、2年間購読していた。その雑誌の中で、黄金比の話の回があった。フィボナッチ数列が、行き着く先で、1たい0.62・・・という比が、特別なのだと知った。それは、小学生の頃だった。やがて、中学に行き、3年生で、数学が藤沼先生のとき、先生が、正五角形のことを、チラッと話した。正五角形の下の辺と、一番大きい幅の比が、黄金比なのだと、言ったのだ。そのときは、まだ私は、黄金比は、1たい0.62・・・くらい、としか知らなかった。さて、高校生になり、2年生で、フィボナッチ数列の収束先を、求める方法を、習った。それが、{\displaystyle 1~ :~ \frac{1+\sqrt{5}}{2}} だった。0.62・・・じゃ、ないじゃない。と、思うだろうが、黄金比は、{\displaystyle 1~ :~ \frac{1+\sqrt{5}}{2}=\frac{1+\sqrt{5}}{2}-1~:~1 =0.62 \cdots : 1} となる比なのだ」

若菜「フィボナッチ数列の極限は、『数学ガール』で、学びました。お母さん、ミルカさんじゃなかったのですか?」


麻友「そこまで、知っていながら、なぜ、『そうなのかなあ?』とか、とぼけているの?」

私「自信がなかったんだよ。『体とガロア理論』読み終わってないから」

結弦「なんて本?」

私「これだよ。

これの、第3章に、定規とコンパスによって作図できるかどうかの、必要十分条件が、書いてあるんだ。第3章 Galois理論の{\S 3.14} 作図の可能性 だよ」

麻友・若菜・結弦「ガロア理論ー!」

私「そうだよ。『数Ⅲ方式ガロアの理論』を読むのは、19世紀の数学の最初の30年のエベレストに登ることなんだ。その時代、その数学が、ここまで、役に立つことは、ほとんど誰も知らなかった。ガロアの遺書で、ガロアが、

『以上ゴタゴタと書いた事を判読して,それが役に立つと気づく人々が,きっと現れると思っている』

と、書いていたよね」

麻友「数学って、ここまでやらないと、面白さが、分からないのね」

若菜「お父さんには、いつ、この展望が、開けたのですか?」

私「横浜翠嵐高校の図書室で、読んだ、『代数学辞典 上』だよ」

結弦「数理の翼は?」

私「転校して、学年で2番だったから、私に声がかかる機会が来た。先生が、たくさん情報を送ったが、『採用の決め手になったのは、君が読んでいると言って、挙げた本だったみたいだな』と、言ってた」

結弦「どの本?」

私「正直に、『数Ⅲ方式ガロアの理論』と、『代数学辞典 上』と、書いた」

麻友「そりゃー、とんでもないかもね」

私「数理の翼は、今でも、御世話になっている。本当に幸運だった」

結弦「お母さん。この人と、互角になるまで、頑張ろうなんて、無理だ。会って、しゃべってみるべきだ」

私「麻友さん。結婚も、駆け落ちも、お金がかかり過ぎる。ガールフレンドと、ボーイフレンドで、付き合い続けよう」

麻友「太郎さんが、『ああ、分からないのか』と、顔を曇らせるのを見るのが、辛いのよ」

若菜「お父さんは、数学です。お母さんは、お父さんの書く本に、挿絵を入れたら? 安野光雅さんや、大江健三郎の奥さんみたいに。あるいは、特権で、ど素人の質問をしたり」

麻友「私、優等生だったのよ。ど素人の質問なんて、・・・」

私「ブラックホールは、他にも、あるようだな。今日は、ここで、撤退しよう」

若菜・結弦「おやすみなさーい」

麻友「おやすみ」

私「おやすみ」

 現在2022年5月10日19時34分である。おしまい。