女の人のところへ来たドラえもん

21歳の女の人と43歳の男の人が意気投合し、社会の矛盾に科学的に挑戦していく過程です。                    ブログの先頭に戻るには、表題のロゴをクリックして下さい。                                   数式の変形。必ずひと言、添えてよ。それを守ってくれたら、今後も数学に付き合ってあげる。

超実数そして実数(その5)

 現在2022年9月17日4時38分である。(この投稿は、ほぼ5055文字)

麻友「難しさ3.半端でないわね」

私「まだ、数式は、それほど、出てきてないけど、知らない言葉、だらけだろう」

若菜「実際、


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麻友「その、可算級というのと、{\kappa} 級というのは、どっちが、強いの?」

結弦「なんか、ウルトラマンと、仮面ライダーは、どっちが強いの? というレヴェルの会話に聞こえるけど」


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                 (前回の投稿より)

のところしか、分かりませんでしたけど」

私「段々、慣れるしか、方法は、ない。後、大江さんのカッコも、使ってね」

結弦「そうだった」


私「早く目覚めたんだし、具体例も含めて、丁寧にやろう」

麻友「何度も出て来る、フィルターって、何なの?」

私「齋藤さんの本、

では、第1章 §1 超フィルター の最初 フィルターの小節で、のっけから、


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 1.1.1 定義

 {I} を空でない集合,{\mathscr{P}(I)}{I} の羃(べき)集合,すなわち {I} の部分集合の全体とする.{\mathscr{P}(I)} の空でない部分集合 {\mathscr{F}} がつぎの三条件をみたすとき,{\mathscr{F}} を、{I} 上のフィルター(filter)という:

a){\emptyset \notin \mathscr{F}}

b){A \in \mathscr{F}, A \subset B \Rightarrow B \in \mathscr{F}}

c){A,B \in \mathscr{F} \Rightarrow A \cap B \in \mathscr{F}}


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                 (齋藤正彦『超積と超準解析』9ページより)

と、フィルターの定義から、始まる」



麻友「あっ、今、寝てた」

私「2時58分に起きて、眠くなかったのが、5時半頃、やっと眠くなって、8時32分まで、エアコン止めて、寝てたんだ。風邪引かないようにね」

若菜「『超積と超準解析』の、最初が、フィルターの定義なんですか?」

私「一応、序章として、集合論の要約というのが、8ページあるけど、私の、NKとBGの要約 と、五十歩百歩のようなもので、集合論を、知ってなければ、とても、読めない。その後、第1章で、最初から、フィルターだ。河東さんが、中学時代に読めたなんて、恐ろしい」

結弦「もう一度、真理のカメさんの、条件を、振り返ると、


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私「ジャーン。真理のカメさんとは、次のような性質を持つ {\mathscr{F}} という集合なのです」


1.{\mathscr{F}} は、自然数全体の集合 {\mathbb{N}} 上の可算級善良超フィルター

2.可算級善良超フィルターとは、この場合、次の条件を満たすことである。

 a){\emptyset \notin \mathscr{F}}

 b){A \in \mathscr{F} , A \subset B \Rightarrow B \in \mathscr{F}}

 c){A,B \in \mathscr{F} \Rightarrow A \cap B \in \mathscr{F}}

 d){\mathbb{N}} の任意の部分集合 {A} に対し、{A \in \mathscr{F}} または {\mathbb{N} - A \in \mathscr{F}}

 e){\mathscr{F}} は有限集合を含まない。


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なんだ、最初の3つは、フィルターの条件じゃ、ないか」

私「実は、4番目のd)が、フィルターが、超フィルターになるための条件。5番目のe)が、単項でないための条件なんだ」

麻友「あれっ、


 1.1.13 命題

 自由超フィルターは単項でない.とくに {I} が、可算集合なら、逆も成立つ.


と、強調してた。そもそも、可算って、何よ」

私「とうとう、これを、話す日が、来たか。大学に入って、最初の数学の授業で、先生が、話したのは、有理数の個数と、実数の個数は、同じ無限と言っても、違いがある。実数の方が、多いのだ、ということの、証明」

若菜「覚えています。お父さんは、それを、高校時代から知ってて、授業が、終わった後、先生に、有理数の無限の量と、実数の無限の量の、中間の無限の量の集合というのは、あるのですか?と、聞いた。連続体仮説ですよね」

私「その、無限にも色々あるという証明を、しなければならない。これは、分からなかったら、大江さんのカッコに、入れておいて欲しい」

麻友「有理数は、可算無限集合。実数は、連続無限集合とか、ちらっと、聞いたけど」

私「大学から、中退してきて、2007年に、

を、読み始めて、びっくりした。第1章の最初、名詞の説明で、


通名詞と集合名詞を合わせて、可算名詞と言う。

固有名詞と物質名詞と抽象名詞を合わせて、不可算名詞と言う。


というように、書いてある。可算という言葉が、文系と理系で、違う意味を持ってる」

麻友「あー、そこまで、英文法学んでいないから、分からない」

若菜「数学で、可算と言ったら?」

私「自然数の集合と、1対1に、対応させる、関数が、作れる集合を、可算集合と言うんだ」

若菜「対応させられれば、いいんですか?」

私「これも、実は、問題を、孕んでいて、それは、30年以上前の父との会話に、現れている」

結弦「お父様? つまり、僕のおじいちゃん?」

私「そう。大学2年生の頃、可算と、非可算の話を、素人にしようと、雑誌で読んだことを、もとに、父に、こんな話をした。


私「無限にも、色々あるんだ。例えば、パーティーの出席者が、無限の人数いたとしよう。今、男の人と、女の人が、ひとりずつ、手をつないで行ったら、女の人のひとりが、あぶれたとしよう。これは、女の人の方が、1人多い、ということに、なるだろうか」

父「同じだって、言いたいんだろう」

私「そう。全員が、1人ずつずれた人と、握手し直して、あぶれていた女の人とも、手をつなぐ、男の人を、生み出せば、いいんだ」

父「それで?」

私「ところが、有理数全体と、実数全体とでは、この全員が、手をつなげるということが、できないんだ」

私「有理数自然数とだったら、手をつなげられるんだけどね」

父「どうやって?」

私「分数を、

{\displaystyle \biggl(\frac{1}{1},\frac{1}{2},\frac{2}{1},\frac{1}{3},\frac{2}{3},\frac{3}{1},\frac{1}{4},\frac{2}{4},\frac{3}{4},\frac{4}{1},\cdots \biggr)}

みたいに、並べて、自然数で、順番つければ、良い」


麻友「ちょっと待って、{\displaystyle \frac{1}{2}} と、{\displaystyle \frac{2}{4}} は、ダブってるわ」

私「自然数より、多いはずの有理数を、ダブって数えても、自然数で、全部、手をつないであげられるんだから、後で、抜かせばいいだけだよ」

麻友「あっ、そういうことなの」


父「うーん」

私「それでね、実数にも、同じように、自然数と、手をつなげさせて、あげたいんだよ。だから今、自然数と実数が、ひとりずつひとりと、手をつなげたとする」


 実は、私は、父がこの話を飲み込めず、参ったと言いたくないだろうと、分かっていた。だから、布石を打っていたのだ。『手をつなげたとする』というのは、もう対応させる関数が、できているということであり、その後、どうこうということではない。だが、父に、逃げ道を用意していたのだ。


私「例えば、

1 に対応するのは、0.23676467・・・

2 に対応するのは、0.53487898・・・

3 に対応するのは、0.39876557・・・

みたいに。全部対応しそう。ところが、嫌な奴が、いるんだよねえ。


1 に対応するのは、0.23676467・・・
             \
2 に対応するのは、0.53487898・・・
              \
3 に対応するのは、0.39876557・・・


みたいに、対角線のところを、見ていって、新しく、0.349・・・みたいに、1番とは、小数点以下第1桁目が、違い、2番とは、小数点以下第2桁目が、違い、3番とは、小数点以下第3桁目が、違うって、言うんだ。手をつないだ関数が、あるって言ってるのに、手をつなげていない実数を、持ってくる。じゃあ、改めて、見つかった実数を、加えて、手をつなぎ直したら良いのかと思うけど、また、新しい実数を、持ってくる。これの繰り返しで、切りがないから、実数と自然数は、同じ量ではないということなんだ」

父「手をつなぐには、無限の時間が、かかるから、駄目だっていうのか。無限の時間がかかっても、良いじゃないか」

私「(予想通りだと思いながら)それじゃ、定義を変えなきゃ、ならない」

父「それは、お前の数学なんだろう。俺の数学では、手をつなぐのに、無限の時間がかかっても、良いんだ。太郎のインチキ、見つけたぞ」


麻友「太郎さんは、予想通りと、言ってるけど、お父さんが、『インチキ、見つけたぞ』というのが、分かっていたの?」

私「無限の時間がかかるから、無理。というのは、実は、正しい捉え方ではない。あくまでも、関数を作った、と言っているのだから、もう対応づけは、終わっているのである。『改めて、見つかった実数を、加えて』などというのは、本当は、有り得ない」

若菜「お父様が、どういう逃げ方をするか、或いは、予想外の逃げ方をするか? ということに、ポイントが、あったのね」

麻友「でも、お父様とのやりとりを、話ながら、太郎さんは、実数の無限の量が、自然数の無限の量よりも、また、有理数の無限の量よりも、多いということを、大雑把ではあるけど、証明してきた。ガールフレンドとの会話で、理学部新入生が、舌を巻くほどのことを、さらっと、書いてしまう。難しさ3.なんて、看板だけよ」

結弦「でも、可算っていうの、ちょっと分かった気がする。対応させる関数が、あるかどうか? って、ことでしょ」

私「若い方が、頭が、柔らかいな」


若菜「昨日の会話で、

{\kappa} 級の、{\kappa} の一番低レヴェルな場合が、{\omega} 級、つまり可算級だ』

というのも、ありましたけど、可算というのは、無限集合で、一番少ないものなのですか?」

私「それは、まさにその通り。だから、余り大きい無限集合を考えなくて良いときは、可算級のフィルターで、用が足りるということ」

麻友「あっ、そういうことなのね。だから、太郎さんは、可算級で、満足できるんだ」

若菜「いずれにせよ、お父さん。もう5000文字近い。取り敢えず、ここまでで、投稿しては?」

私「分かった。じゃあ、解散」

 現在2022年9月17日12時15分である。おしまい。