女の人のところへ来たドラえもん

21歳の女の人と43歳の男の人が意気投合し、社会の矛盾に科学的に挑戦していく過程です。                    ブログの先頭に戻るには、表題のロゴをクリックして下さい。                                   数式の変形。必ずひと言、添えてよ。それを守ってくれたら、今後も数学に付き合ってあげる。

超実数そして実数(その23)

 現在2023年7月30日15時41分である。(この投稿は、ほぼ7483文字)

麻友「超実数の的が、絞られて来たわね」

私「ここからでも、結構道のりは、あるんだ。でも、証明が完全でないものも、含めて、一応認めて、最後まで、見てみよう」

結弦「真理のカメさんは、


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可算級善良超フィルターとは、この場合、次の条件を満たすことである。

 a){\emptyset \notin \mathscr{F}}

 b){A \in \mathscr{F} , A \subset B \Rightarrow B \in \mathscr{F}}

 c){A,B \in \mathscr{F} \Rightarrow A \cap B \in \mathscr{F}}

 d){\mathbb{N}} の任意の部分集合 {A} に対し、{A \in \mathscr{F}} または {\mathbb{N} - A \in \mathscr{F}}

 e){\mathscr{F}} は有限集合を含まない。

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だったな」

若菜「昨日の最後の会話、


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結弦「数列を使うんだ。

{x=(0.1,0.1,0.1,0.1,0.1,0.1,\cdots)}

みたいなのは、有理数列だ」

若菜「他に、例えば、

{y=(-0.1,-0.1,-0.1,-0.1,-0.1,-0.1,\cdots)}

なども、有理数列ですね」

麻友「{x+y} は、数列の方の足し算で、定義して、

{x+y=(0.1-0.1,0.1-0.1,0.1-0.1,0.1-0.1,0.1-0.1,0.1-0.1,\cdots)}
    {=(0,0,0,0,0,0,\cdots)}

となりそうね」

私「有理数列の足し算を、そう定義する。このとき、{x+y=0} だろうか?」

若菜「これは、

   {x+y=(0,0,0,0,0,0,\cdots)}

と、

{0=(0,0,0,0,0,0,\cdots)}

で、同じ数の番号のところが、0番目、1番目、2番目、3番目、と、全部なので、無限集合。であり、その補集合は、{\emptyset} なので、真理のカメさんは、この、0番目、1番目、2番目、3番目、という集合を、持っている。だから、真理のカメさんは、『持っているよ』という。真理のカメさんが言ったのだから、{x+y=0} は、成り立ちます」


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        (『超実数そして実数(その22)』より)


私「上の議論での、真理のカメさんが、持ってるとか、持ってないとかいうのは、例えば、

{x=(0.1,0.1,0.1,0.1,0.1,0.1,\cdots)}

と、

{z=(0.1,-0.1,0.1,-0.1,0.1,-0.1,\cdots)}

という2つの有理数の数列で、同じ数字のところが、この場合、順番が、

{\{0,2,4,\cdots \}}

となって、偶数全部。つまり、無限集合。だから、この順番の集まりは、カメさんは持っているかな? と思いきや、これの補集合、

{\mathbb{N}-\{0,2,4,\cdots \}=\{1,3,5,\cdots \}}

は、奇数全部となる。カメさんの条件の、

 d){\mathbb{N}} の任意の部分集合 {A} に対し、{A \in \mathscr{F}} または {\mathbb{N} - A \in \mathscr{F}}

によれば、偶数全部、または、奇数全部のどちらかは、カメさんが持っているはずだが、どっちなのか、カメさんも、ためらいがちだ。ただ、やっぱり真理のカメさんだ。必ず答えてくれる。それには、過去に似たものを、どう答えてきたかを、チェックする。例えば、次の様なやりとりが、過去にあったとする。

{a=(2,0,2,0,2,0,2,0,2,0,2,0.2,\cdots)}

{b=(3,0,3,0,3,0,3,0,3,0,3,0,3,\cdots)}

とは、等しい? という質問。『どう見たって、これは、違うのでは?』と、思っていたら、カメさんが、『それ、持っている』と、答えてきた。『どうして?』と、聞き返したら、『奇数番目が、全部等しいよ』だって。そう、カメさんはそういう風に、過去のことを参照することが、できる。だから、過去に、奇数全部が入っている集合を、『持っているよ』と言ったのなら、今回、偶数全部と、奇数全部の、どちらかとなった場合、奇数全部のを、持っていると、答える。すなわち、この場合、

{x=(0.1,0.1,0.1,0.1,0.1,0.1,\cdots)}

と、

{z=(0.1,-0.1,0.1,-0.1,0.1,-0.1,\cdots)}

で、等しい番号のところは、{\{0,2,4,6,8,\cdots\}} で、偶数全部。一方、その補集合が、奇数全部。両方合わせれば、自然数全体だから、それらは、互いに補集合だが、過去にカメさんが、奇数全部が入っている集合を、『持っているよ』と言っているので、この場合も、カメさんは、それを勘案して、『等しいところの番号を持ってない』『{x \neq y} だよ』と、答えてくる。ここまでは、本来なら、昨日書くつもりだったことだ」

若菜「お父さん、実は、こんなことまで、考えて、書いて来ていたんですか?」

結弦「超準解析って、この後、無限大とか、無限小って、いくらでも、先があるんだね」


麻友「ちょっと、暴走ぎみだけど、ちょっと、このまま、暴走してみせてくれない?」

私「麻友さんが、暴走して良いというなら、以前の、超実数の見取り図を持って来て、やってみせるよ」



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 このブログで、我々は、まず自然数を作り、それから、整数を、作った。

 その次に、整数から、有理数を作るつもりだった。

 ここまでは、誰でも、ある程度、先を予想できる、ことなんだ。

「まあ、そうね。有理数の次って言うと、実数?」

 普通に考えたら、そうだ。

 だが、『1から始める数学』を、始めた時から、私には、野望があった。

「えっ、そんな前から?」


「どんな野望?」

 前から、チラッチラッと、話してきた、無限に大きい数とか、無限に小さい数、を扱える、『超準解析(ちょうじゅんかいせき)』というものを、麻友さんに、話そうということなんだ。

「無限に大きい数や、無限に小さい数を説明するって、宇宙の年齢求めていた、私達が、知り合ってまだ半年も経たない頃の約束じゃない」

 そろそろ、話してみようと、思ったんだ。

 難しくて、入り組んだ話だから、見取り図を、描こうと思う。

 今日は、その見取り図を描くことだけを、目標とする。


 まず、有理数の、数列というものを、考える。 (2,6,4,7,・・・)

 2つの有理数の数列が、同値、ということを、定義する。 (2,6,4,7,・・・)~(2,3,4,7,・・・)

 有理数の数列を、同値関係で、同値類に、分けることを、考える。 [(2,6,4,7,・・・)]

 有理数の数列を、同値類に分けたものを、超有理数と定義する。 {{}^{*}\mathbb{Q}}

 超有理数の中で、有限な超有理数というものを、考える。 {\mathbb{B}}

 超有理数の中で、無限小の有理数を、考える。 {\mathbb{b}}

 有限な超有理数全体というものは、代数学で言う環というものだということを、確かめる。

 無限小の有理数全体は、上に出てきた環のなかのイデアルというものだということを、確かめる。

 環というものは、イデアルで、割る、ということが、できる、ということを、説明する。 {\mathbb{B/b}}

 上でできているイデアルは、極大イデアルと、呼ばれるものであることを、確かめる。

 これにより、極大イデアルで、割ると、有限な超有理数全体の環は、体となることを、確かめる。

 この体こそ、実数体(と、同型な体)である。 {\mathbb{B/b \cong R}}

 さらに、実数の数列というものを考え、改めて、2つの実数の数列というものが、同値と言うことを、定義する。 [(3.1,2,4.7,6、・・・)]

 実数の数列を、同値類に分けたものを、超実数と定義する。 {{}^{*}\mathbb{R}}

 以上の過程で、必要になる、同値関係を、フィルターという考えで、作ることになる。

 このフィルター(正確には、可算級善良超フィルター)を、構成するには、ツォルンの補題というものが、使用されることを、話す。

 このフィルターは、実際に目に見える形では作れないという話をする。

 目に見えないが、あるのは確かであることを、可算選択公理の説明をしながら、話す。

 この可算選択公理から、可算級善良超フィルターの存在を示すところが、超準解析を、認められるかどうかを分ける部分だと、説明する。

 ここで、使用した可算級善良超フィルターこそ、『真理のカメさん』であり、これを、一匹冒険に連れて行くのが、解析学を容易に理解する近道である、というのが、結論である。



 これが、見取り図だ。


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(『真理のカメさん - 女の人のところへ来たドラえもん
』より)


麻友「ああ、私達、見取り図の、2番目に取り掛かった、だけじゃない」

若菜「お父さんは、4年以上前に、ここまで、考えていたんですねえ」


私「本当は、完全に、超実数を作って見せてから、話そうと思っていたことがあるんだ」

麻友「いつ頃から?」

私「宇宙の年齢を計算していた頃」

麻友「8年前くらいじゃない」

私「そう。あのとき、麻友さんが、『宇宙の年齢を求める(その2) - 相対性理論を学びたい人のために』の投稿で、1つ間違いを、してしまっていることに気付いた。もちろん、私が書いているのだから、私の間違いなのだが、


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「右辺は、4乗以降、同じものになるんだな。そして、{A}の式から、{\theta^2A}の式を、引く。乱暴だけど。」

{\displaystyle A-\theta^2A=(\theta^2+\theta^4+\theta^6\cdots)-(\theta^4+\theta^6+\theta^8\cdots)}

「だから、計算して、」

{\displaystyle (1-\theta^2)A=\theta^2}

「やった、あと少し。」

{\displaystyle A=\frac{\theta^2}{1-\theta^2}}

「求まったー。バンザーイ! 今日のツイッターに書こうっ!」


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27182818284590452.hatenablog.com
より。

と、なっている。実数の解析の文脈なら、間違いはない。だが、あのときは、無限大を定量的に扱える、超実数の解析をしていた。『4乗以降、同じものになるんだな』は、実は、正しくない。どうなるかと言うと、

{\displaystyle (1-\theta^2)A=\theta^2}

でなく、{N} を無限大超自然数として、

{\displaystyle (1-\theta^2)A=\theta^2-\theta^{2N+2}}

{(1-\theta^2)A \fallingdotseq \theta^2}

と、ワンクッション置かなければ、ならなかった」


麻友「それ、いつ気付いたの?」

私「かなり前だと思う。真理のカメさん、とか言い始めるより前だと思うから」

麻友「そういう風に、いつか話そう、とか思っていることが、幾つもあるの?」

私「はっきり、いつか話そうと、覚えているものは、これだけだったけど、8年も付き合っていれば、そういうことも、できてくるじゃない」

結弦「お父さん。今日、マックに行く前に、コンビニに寄ったじゃない。なんか、印刷してたよね」

私「このブログにもあるが、リンク集に、『NKとBGの要約』というリンクがある」

若菜「お父さんの数学の、論理学と集合論のすべてですね」

私「そう。だけど、段々、これだけで、判定できない問題が現れてきている。例えば、abc予想とか」

結弦「他の人は、見ているのかなあ?」

私「分からないので、以前、論理学の方を印刷していって、ポートで職員さんに、『1ページだけで良いですから、読んでみて下さい』と、渡してみたが、非常に困ったようで、『これは、難しいです』としか、返事がなかった」

麻友「太郎さんが、私にしているのは、同じことなのよ」

私「じゃあ、今まで、8年4カ月くらい、のれんに腕押しだったというのかい?」

麻友「太郎さんが、私と同じくらい、数学を好きだ。というのは、疑いようがないほど、分かったけど、私頑張っても、太郎さんみたいに、数学分からない」

若菜「お父さんだって、分からないことあるでしょう。例えば、マインクラフトを、教わっても、全然、試してみようともしない。お父さんにとって、数学をやる時間を、ゲームに持って行かれるのが、惜しいわけでしょう。お母さんだって、本当は、女優になろうと、修行を積んでいるんです。お父さんから、『お芝居を演ずるより、お芝居を観る方が好きなんだ』と、言われて、傷付いたけど、お母さんにとって、お父さんのために数学するより、女優になりたいという気持ちの方が、ずっとずっと、大きいんです」

結弦「いったん、お母さんと数学を、分けてみたら?2015年1月15日に、精神科を退院してから、4月4日に、お母さんに会うまで、程度は低いけど、論文も2本書いている。あのときお父さんは、もの凄い躁状態で、人間を生き返らせることだって、できると、自信に満ちていた。いずみ野を引き払うとき、お父さんのお父様の前で、「シッフの『量子力学上・下』は、素晴らしい本だけど、ランダウが読めるんなら、これはいらない」と、言っている。本当だったら、8年あったら、ランダウ全巻だって、読めたんじゃないの?もちろん、お母さんに説明するために、『分かった』と思う基準を、下げたのは、悪いことだとは、言わない。でも、文系の高校卒の資格だけを持つ、お母さんに分からせられなかったら、駄目。というのは、やり過ぎ。お父さんの大学1回生入学レヴェルで、十分なんじゃない?」


私「私の大学1回生入学レヴェルというのは、決して低くはないが、何かを証明していて、『これは、麻友さんに分からない。説明しなきゃ』というのを、全部取っ払うのは、良いことかも知れない。ただ、『これは、読者の演習問題とする』とか、『詳細は瑣末となるので、省略する』とか、『明らかに、・・・』という証明の仕方は、しないことにしよう」

麻友「私、もう、数学勉強しなくて、良いのね」

私「無罪放免だよ」

若菜「お母さんが、こんなに喜んでいる顔を見るのは、久し振りです」


結弦「お父さんが、本当に、読みたい本って、どんな本なの?」

私「たくさんあるよ。

力学の基礎

ランダウ全巻

ブルバキ全巻

解析入門Ⅰ・Ⅱ

微分方程式入門

多様体の基礎

ヒルベルト空間と量子力学

解析、多様体と物理

場の量子論

流体力学


など、たくさんある。今51歳で、100歳まで生きられるなら、読めるかも知れない」

若菜「壮大な計画ですね」

私「取り敢えず、今日、方針が変わった。数学と物理学の本を読むペースが、一気に上がる。或いは、読めるのでは、ないか?」

麻友「応援してるわ」

私「じゃあ、解散」

 現在2023年7月30日22時51分である。おしまい。