女の人のところへ来たドラえもん

21歳の女の人と43歳の男の人が意気投合し、社会の矛盾に科学的に挑戦していく過程です。                    ブログの先頭に戻るには、表題のロゴをクリックして下さい。                                   数式の変形。必ずひと言、添えてよ。それを守ってくれたら、今後も数学に付き合ってあげる。

倒せツォルンの補題(その11)

 現在2023年9月22日18時24分である。(この投稿は、ほぼ4658文字)

麻友「久し振りね」

私「ちょっと、私の中を、激震が走ってね」

若菜「どんな、ことですか?」

私「それは、これから話すが、ツォルンの補題は、今回で、いったん中止する」

結弦「9月13日に、図書館で、3冊も、本借りてきてたけど」

私「9月13日は、ポートで、山下真由子さんの動画を観ている。確かに凄いけど、会話が通じないことはないなと、感想を持って、ポートの帰り、予約してあった3冊の本を図書館で借りて帰ってきた」

結弦「借りてきた本は?」

私「

の、3冊だ」

若菜「ツォルンの補題に、食い下がろうとしてたんですね」

私「そう。集合論の本だ」

麻友「それが、13日で、今日が、22日ということは、一応、結論が出たので、『中止にする』なんて、言ってるのね」

私「14日に、ポートで山下真由子さんのことを、相談し、14日から15日にかけてのサヨナラの投稿が、生まれた」

若菜「敬老の日が入ったので、ポートへ余り行ってない。激震が走ったのは、いつ?」

私「その、敬老の日(9月18日)だ」


結弦「借りてきた本で、何か読んだの?」

私「アマゾンで、本のレビューを、見ていて、とんでもないレビューを、見つけたんだ。ちょっと、長いが、最初の段落だけ、読むだけで良い」


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上位レビュー、対象国: 日本

中野史彦

5つ星のうち5.0   ひとめぼれ


2022年12月6日に日本でレビュー済み

これまでの私は、新しい複素関数論の教科書を手に取ることに積極的ではありませんでした。「必要なことは『解析入門 II』(杉浦光夫著)に全て書いてあるだろう」というのがその理由です。あとは Rudin ``Real and Complex Analysis" くらいでした。しかし、本書を見て私の考えは180度変わりました。もし若い頃にこの本に出会っていたら、私の人生はかなり違ったものになっていただろうと思います。これから複素解析学を学ぶ人に、あるいは既に学んだ人に、この本を強く勧めます。以下、そのように考える理由を挙げます。

(1) 重要事項に集中して丁寧に書いてあること:
大切なことには紙数を惜しまず細部まで丁寧に、また多くの本で説明を省略され初学者が疑問に感じる点についても説明されています。数学を志す者が基本的姿勢を習得するのに、また数学の専門家にも役立つと思います。一方で、数学を専門としない立場の人にも配慮して書かれています。

(2) 気持ちの入った言葉が随所に見られること:
例えば、前書きには「長く険しい登り道の後、木々の切れ間から思いがけず現れる絶景」、p.114には「21世紀の数学をもってしてもなお手強い研究対象に19世紀以前の数学者達が当時の限られた手法だけを頼りに果敢に挑んでいたことには畏敬の念を新たにする」、最後に「本書を読了された読者諸氏は一つの高峰の頂きに立っている。(以下略)」などです。これを読んで、読者は著者から直接励まされているように感じるでしょう。

(3) 学生の頃の思い出:
所々に歴史的背景に触れられており、数学を生きたモノとして身近に感じる工夫がされていますが、さらに冒頭の複素数の成り立ちでは、著者が学生の頃、複素数の定義に触れてどのように感じたかについて書かれており、親しみを感じました。

(4) 今後の発展:
今読んでいることが、今後どの章でどのように使われるかについて述べられています。学生時代、授業(講義)で先生が「コレ、やったよね(覚えてるよね)」と言われてグサっときた経験は誰もが持っていると思いますが、逆に今習っていることが今後どうなるかを言ってくれる先生は殆どいませんでした。

(5) 未だ定義されていない用語を、必要ならば用いる:
例えば正則関数という言葉は早くから登場し、「一致の定理」をベキ級数のときに述べています。この「ルール違反」は読者の理解を助けるでしょう。

(6) 多価関数の分枝:
対数関数や冪乗関数になった途端に出て来る「・・・という分枝をとる」という文言に混乱した人は少なくないのではないでしょうか。本書では分枝の一つ一つを厳格に区別し、主枝に限定して述べる姿勢を貫いています。私は、この姿勢に強く賛成します。一方で、冪乗、対数関数の演算法則など、初学者がつまずきそうな点について丁寧に述べてあります。

(7) 複素微分
初学者が色々な方向に誤解しがちな箇所ですが、本書ではまず2変数関数の偏微分を復習してそれとの違いを強調してから、基本的性質を丁寧に見ることで読者が馴染じめるようにし、コーシーリーマンの関係式を導入した後も急がずに少しずつ先に進み、全微分可能性との関係を学んでから最後に幾何学的意味を見る、というふうに随所に工夫がなされています。

(8) 複素積分
これも閉曲線、単純閉曲線、複素線積分などについて丁寧に触れてから、コーシーの定理を (i) グリーンの定理による証明、(ii) 星形領域での証明、(iii) (後に)一般の場合での証明、と順序立てて議論しています。(i) についてここまで詳しく説明している本を他に知りませんが、初学者が一番知りたいことではないかと思います。モレラの定理、ベルヌーイ数、無限積など、多くの教科書では簡単に済まされがちだが現場ではよく使われる事項に丁寧に触れてあるのも興味深いと思います。

(9)発展的話題への言及:
楕円積分の二重周期性やリーマン面におけるモジュライ空間など、高度な話題を平易な言葉で直感的に分かり易く述べられています。読んでいて思わず気持ちが熱くなりました。


最後に、私が少し不思議に思った点について述べます。それは複素数幾何学的側面についてあまり言及されていない点です。複素数の積は複素平面において回転・拡大に対応することを述べておけば、大学初年級の微積分学との接続がもっと滑らかになったかも知れません。例えば、p.5 の積・商の定義の動機が理解でき、複素微分可能性と通常の微分可能性との違いを直感的に理解でき、また、コーシーの定理は「湧き出し」のない場の1周積分であることの自然な帰着と納得できたものと思われます。おそらく、著者は幾何学的記述により厳密性が失われる危険を回避しようとしたのではないかと想像しています。


この点を抜きにしても本書の素晴らしさは変わりません。今後の著作も楽しみにしております。


4人のお客様がこれが役に立ったと考えています


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麻友「すっごい、気合いの入った、レビュー」

私「気合いの入っているのは、分かるけど、私が言いたいことも、分かるだろう」

若菜「『解析入門Ⅱ』のことですよね。お父さんも、同じようなこと、考えていたんじゃないですか?」

私「そうなんだよ。「一変数複素解析は、『解析入門Ⅱ』だけで良い」みたいにね」

結弦「お父さん、こういうレビューに弱い。あっ、書架にもう並んでいる」

私「アハハ」

麻友「そういうことも、あったのね」


私「ツォルンの補題に関し、大学新入生が読んでも分かりそうな、証明は、まずない。そして、それは悪いことではないんだ」

若菜「えっ、お父さんの言葉とも、思えない」

私「大学1年に入って、理系だったら、多分、イプシロンデルタとか、偏微分とか、正規部分群とか、信じられないほど難しいものに、出会う。幾ら本を買っても、本が必要で、図書館も利用する。そういうもののひとつとして、ツォルンの補題が、ある。丁寧に書いてあることで有名な、

を、開いてみても、完璧には分からない。実は、私の家にあった、

も含めて、この3冊は、P. R. Halmos の Naive Set Theory

現在Kindleで、1200円

を、お手本に書いているので、分かり難いところが似たり寄ったりになる。それでも、良いのだ。完璧な証明を求めて、図書館の本などを、色々開いてみることで、『この本には、こんなことが、書いてある』、『この本は、親切だ』などの、研究者になるための、大切な技を身に付けることができるのだから」

麻友「太郎さん、酷いんじゃない? 1年生にわかる本はないよ、と、突き放すなんて」

私「川口周君の『代数概論』のゼミで、これが、分からなかったという話を、以前にした。大学院へ自主ゼミに行っていた私は、ツォルンの補題の証明も、聞いてきた。ツェルメロの整列可能定理を用いた証明を、皆の前でしたら、国際数学オリンピックへ行ってきた伊山修君にまで、『実数は、並べ切れないんじゃないの?』と、言われて、理解されなかった」

結弦「そうすると、大学院とかへ行くと、こんなのは、常識ということ?」

私「だから、大学1年生で分からなかったから、その後もずっと分からない、ということではないんだよ」

麻友「その高飛車な言い方、太郎さんは、どうやって、理解したの?」

私「私も、素朴集合論(Naive Set Theory)の段階では、理解していないんだよ」

若菜「素朴集合論の反対は?」

私「公理的集合論(Axiomatic Set Theory)だよ」

結弦「あっ、もっと上があるの?」

私「そうなんだよ。私は、具体的には、

で、公理的集合論を学んでいる。でも、これは、大学新入生が、読めるとは思えない。そんな事情もあって、絶版になってしまったのかも知れないが、本当は、復刊されて欲しい」


若菜「そっか、お父さんは、ツォルンの補題が、正しいことを、知ってたんだ。ただ、記号だけじゃなくて、言葉で伝えられるかどうか、確かめていたんだ」

私「実は、一昨日(9月20日)、『数学基礎論』とググって、以下のページを、見つけた、

lucien0308.hateblo.jp

2017年にこういう試みがあったようだけど、止まってしまっている」

麻友「デザインのセンスがあるのね。{\neg}{\vee}{\tau} というブルバキの3つの記号で、顔みたいに、描いてるわね」

私「私も、そう思った。私には、こういうセンスがない」

若菜「ツォルンの補題は、休止するんですか?」

私「しばらく休止する」

私「眠いので、今日は解散」

 現在2023年9月22日22時07分である。おしまい。