女の人のところへ来たドラえもん

21歳の女の人と43歳の男の人が意気投合し、社会の矛盾に科学的に挑戦していく過程です。                    ブログの先頭に戻るには、表題のロゴをクリックして下さい。                                   数式の変形。必ずひと言、添えてよ。それを守ってくれたら、今後も数学に付き合ってあげる。

倒せツォルンの補題(その14)

 現在2024年1月3日21時03分である。(この投稿は、ほぼ2499文字)

麻友「ツォルンの補題は、しばらく、ご無沙汰だったわね」

若菜「お父さんが、この証明に、こんなに拘った、一番の理由の問題を、後1センチメートルくらいまで、追い詰めたんですよね」

私「問題自体は、麻友さんに会う前から、考え始めていた。選択公理に、可算ヴァージョンの、可算選択公理というものが、あるのだから、ツォルンの補題にも、可算ヴァージョンが、あるだろうと、気になっていた。だが、そういうロジックの細かい話が書いてある本には出会わず、自力でも、どうすることもできなかった」


結弦「それが、あるとすると、どうなるの?」

私「実数全体みたいに、連続濃度の沢山の集合のそれぞれに、そのなかの1個ずつを割り当てる、凄い写像は、作れないけど、それより少ない可算個の、自然数全体くらいの数の、集合のそれぞれに、その中の1個ずつを割り当てる、写像くらいは、作れるということになる」

若菜「そうすると?」

私「そうすると、前にも言ったが、ルベーグ積分できない関数は、なくなる。そして、真理のカメさんを作るときの、超フィルターの存在定理の可算ヴァージョンが、構成できる。真理のカメさんのいた世界と、積分できない関数はないという世界に、大きな虹の橋が架かるんだよ。真理のカメさんが、大手を振って、『積分できない関数なんて、前世紀の遺物だよ』と、笑顔で虹の橋を渡って、遊びに来る」


麻友「どこまで、追い詰めたの?」

私「いつもと同じように、


 定理 5.1 (ツォルンの補題

 {(a,\prec)} を、帰納的順序集合、{\alpha \in a} とすれば、{a} の極大元 {\beta} で、{\alpha \prec \beta} となるものが存在する。


 定理 5.1の証明

 {\mathscr{C}=\{C \in \mathcal{P}(a) | \alpha \in C \wedge C}{a}の鎖{\}} とする.{\{\alpha \} \in \mathscr{C}} である.定理の仮定によって,{\mathscr{C}} の任意の元 {C} に対して{u.b.(C) \neq \emptyset} となる.もしも {u.b.(C)-C = \emptyset} となるような {C \in \mathscr{C}} があれば,定理は成り立つ.


と、始まるが、



 定理 5.1の証明中に、

*******************************

 いま、

 {\mathscr{D}=\{D \in \mathcal{P}(a)|\exists C (C \in \mathscr{C} \wedge D=\mathrm{u.b.}(C)-C) \}}

とおき,{\mathit{f}}{\mathscr{D}} の選出写像としよう.

*******************************

という部分が、登場する。ツォルンの補題の証明に、選択公理が、必要だと言っても、選択公理が出てくるのは、2ページ強の証明で、ここだけなのだ。つまり、ここで登場する選出写像を、ただの選択公理でなく、それより弱い、可算選択公理で、構成できれば、可算ツォルンの補題とでも呼べるようなものが、作れるではないか? というわけ」


麻友「かなり、楽観的だけど、この、{\mathscr{D}} が、可算集合じゃなきゃいけないんじゃない?」

私「良く分かったな。定理のステートメントで、{(a,\prec)} を、帰納的順序集合、と言っているが、{a} を、可算集合に制限するのは、当然だが、{\mathscr{D}} には、{\mathscr{D}=\{D \in \mathcal{P}(a)| } と、なっている。{a} を、可算集合としても、そのベキ集合、{\{x|x \in\mathcal{P}(a)\}} は、連続濃度、{|\{x|x \in\mathcal{P}(a)\}|=\aleph} と、なってしまう。これまで、これで、問題を破れなかった」

若菜「お父さんの、Yes か No か、はっきり分かるところまで、持ってくる。ですね」


結弦「問題は、まだ解けていないの?」

私「もう解けたと、いっとき喜んだが、ちょっと、気になる部分があって、まだ完全勝利には、なってない」

麻友「どこに、ポイントがあったの?」

私「{\mathscr{D}} の、中身は、{\mathscr{C}=\{C \in \mathcal{P}(a) | \alpha \in C \wedge C}{a}の鎖{\}} の元で全部鎖だ。だったら、鎖は、全順序部分集合なのだから、一本の棒のようなものだ。それなら、始点と終点だけ、指定することで、1つ1つ区別できる。この場合、指定するのに、可算個の点から2点選ぶだけだから、可算個しか鎖はない。だから、{\mathscr{D}} の、中身は、可算個だ。と、結論を下した」

麻友「流石に、細かいわね。熱心にその問題に、挑戦しているけど、結果知ってるの?」

私「いや、知らない」

若菜「もう解かれているかどうかは、問題では、ないのですね」


私「今日は、とても、疲れた。もう寝ることにするよ。この問題と寝る。おやすみ」

麻友「おやすみ」

若菜・結弦「おやすみなさーい」

 現在2024年1月3日22時54分である。おしまい。