現在2024年1月3日21時03分である。(この投稿は、ほぼ2499文字)
麻友「ツォルンの補題は、しばらく、ご無沙汰だったわね」
若菜「お父さんが、この証明に、こんなに拘った、一番の理由の問題を、後1センチメートルくらいまで、追い詰めたんですよね」
私「問題自体は、麻友さんに会う前から、考え始めていた。選択公理に、可算ヴァージョンの、可算選択公理というものが、あるのだから、ツォルンの補題にも、可算ヴァージョンが、あるだろうと、気になっていた。だが、そういうロジックの細かい話が書いてある本には出会わず、自力でも、どうすることもできなかった」
結弦「それが、あるとすると、どうなるの?」
私「実数全体みたいに、連続濃度の沢山の集合のそれぞれに、そのなかの1個ずつを割り当てる、凄い写像は、作れないけど、それより少ない可算個の、自然数全体くらいの数の、集合のそれぞれに、その中の1個ずつを割り当てる、写像くらいは、作れるということになる」
若菜「そうすると?」
私「そうすると、前にも言ったが、ルベーグ積分できない関数は、なくなる。そして、真理のカメさんを作るときの、超フィルターの存在定理の可算ヴァージョンが、構成できる。真理のカメさんのいた世界と、積分できない関数はないという世界に、大きな虹の橋が架かるんだよ。真理のカメさんが、大手を振って、『積分できない関数なんて、前世紀の遺物だよ』と、笑顔で虹の橋を渡って、遊びに来る」
麻友「どこまで、追い詰めたの?」
私「いつもと同じように、
定理 5.1 (ツォルンの補題)
を、帰納的順序集合、 とすれば、 の極大元 で、 となるものが存在する。
定理 5.1の証明
はの鎖 とする. である.定理の仮定によって, の任意の元 に対して となる.もしも となるような があれば,定理は成り立つ.
と、始まるが、
定理 5.1の証明中に、
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いま、
とおき, を の選出写像としよう.
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という部分が、登場する。ツォルンの補題の証明に、選択公理が、必要だと言っても、選択公理が出てくるのは、2ページ強の証明で、ここだけなのだ。つまり、ここで登場する選出写像を、ただの選択公理でなく、それより弱い、可算選択公理で、構成できれば、可算ツォルンの補題とでも呼べるようなものが、作れるではないか? というわけ」
麻友「かなり、楽観的だけど、この、 が、可算集合じゃなきゃいけないんじゃない?」
私「良く分かったな。定理のステートメントで、 を、帰納的順序集合、と言っているが、 を、可算集合に制限するのは、当然だが、 には、 と、なっている。 を、可算集合としても、そのベキ集合、 は、連続濃度、 と、なってしまう。これまで、これで、問題を破れなかった」
若菜「お父さんの、Yes か No か、はっきり分かるところまで、持ってくる。ですね」
結弦「問題は、まだ解けていないの?」
私「もう解けたと、いっとき喜んだが、ちょっと、気になる部分があって、まだ完全勝利には、なってない」
麻友「どこに、ポイントがあったの?」
私「 の、中身は、はの鎖 の元で全部鎖だ。だったら、鎖は、全順序部分集合なのだから、一本の棒のようなものだ。それなら、始点と終点だけ、指定することで、1つ1つ区別できる。この場合、指定するのに、可算個の点から2点選ぶだけだから、可算個しか鎖はない。だから、 の、中身は、可算個だ。と、結論を下した」
麻友「流石に、細かいわね。熱心にその問題に、挑戦しているけど、結果知ってるの?」
私「いや、知らない」
若菜「もう解かれているかどうかは、問題では、ないのですね」
私「今日は、とても、疲れた。もう寝ることにするよ。この問題と寝る。おやすみ」
麻友「おやすみ」
若菜・結弦「おやすみなさーい」
現在2024年1月3日22時54分である。おしまい。