現在2024年1月4日17時48分である。(この投稿は、ほぼ3356文字)
麻友「昨日の問題、解けたの?」
私「解けたと、見込んでいる」
若菜「私達に、説明してみたら?」
私「よし、頼むぞ」
結弦「最初から、やる必要はないよ。肝心な部分だけでいい」
私「分かった。まず、
定理 5.1の証明中に、
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いま、
とおき, を の選出写像としよう.
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という部分がある、ということだった」
麻友「 が、可算集合なら、可算選択公理が、適用できて、選出写像を作れる。選出写像も、選出関数も、同じことよね」
私「もちろん、同じだ」
若菜「どうすれば、可算集合だと、言えるのですか?」
私「この場合の常套手段は、可算集合だと分かっている集合を持って来て、 の元の個数は、その集合以下だと、証明するというものだ」
結弦「昨日は、鎖の始点と終点を、指定するんだと、言ってたけど、お父さん自身が、反例を持っていた」
私「鎖の全体の集合は、可算でないのかも知れない。ただ、良く本文を読むと、鎖全部の個数ほど、
の、 は、多くないことに気付いた」
結弦「数え方の問題?」
私「そう。重複して数えないように、気を付けるため、 の部分に注意して、鎖 が、1つあるたびに、1個 が、あると数えるのを、やめる。別な、 でも、同じ、 になることもある」
若菜「ウッ、凄い、現場中継。数学の問題が、解ける瞬間に出会える」
私「 で、結局、 の、てっぺんの元 が、どうかだけが、 に、影響するし、 は、 の、上界集合というわけだから、 が決まれば、全部同じだ」
麻友「時計見て! 2024年1月4日18時22分 解けたのよ」
私「そう。 は、 の元だから、可算種類しかない。つまり、 は、可算個しか有り得ない。そして、 の、 も、それより少なくなることはあれ、多くはならない。つまり、 は、可算集合だ」
結弦「『 の、てっぺんの元 が、どうかだけ』って言ってるのは、てっぺんがあると、仮定しているけど、これは、いいの?」
私「デリケートな部分があるのは、分かっていたが、証明を完成させることを優先して、突っ走った。そうだ。 の、てっぺんの元 があるかどうかは、全然明らかではない。例えば、 で、 とすると、 の中で、 に、てっぺんはない。でも、この場合、 だな。 という条件があって、上界集合がないということは、起きないことになっている(この部分では、そう仮定して証明を進めている)。
それから、 とすると、 となる。この場合、 にてっぺんはないが、 には、最小元がある」
結弦「そうすると、 のてっぺんの元と言わず、 と、 との、境界の点って言えば、良かったんじゃない? 境界の点と言っても、 の元であることに変わりないから、可算種類しかないよ」
麻友「これで、大丈夫かしら?」
若菜「そわそわ」
私「うん?」
若菜「これ、言って良いのかな?」
私「なんだ、若菜。言いたいことがあるなら、言え」
若菜「あの、デーデキントの切断って、もちろんご存じですよね」
私「知っているが」
若菜「 として、 で、 とすると、境界の点、 は、 に、存在しないんじゃないですか?」
私「若菜、偉いよ。よくそこまで考えた」
若菜「お父さんも、気付いていたんですか?」
私「私は、そういうことは、起こらないということは、分かっていたが、どう説明したものかと、ずっと水面下で、思考を続けていたんだ」
若菜「起こらないんですか?」
私「つまり、可算個の有理数の大小を用いて、1つの無理数を、指定するということは、できないんだ。逆に、可算個の有理数を、用いて、大小関係だけで、ある無理数が、必要になる状況というものは、作れない」
結弦「聞いてりゃ、とんでもない、話し合いしてる」
麻友「指定する、とか、必要になる状況、とか、初めて聞く概念だけど」
私「今、この1時間くらいで、思い付いたことだよ」
若菜「お父さんも?」
結弦「どうやったら、そんな、とんでもないことを、スラスラと、思い付けるの?」
私「天才ほどでは、ないかも知れないのは、これが、アウトプットだけではない点だ。高校2年生から読んでいる、『数Ⅲ方式ガロアの理論』他、『体とガロア理論』、『数論』、『代数概論』、『代数的整数論』、などの本から、断片的にインプットされた知識が、体の拡大という『数Ⅲ方式ガロアの理論』の中心的テーマの周りに、集合したんだ」
麻友「今まで分かっていなかったことの、再発見だったのね。それが、『可算ツォルンの補題』の証明の掉尾を飾った。見事だったわよ」
私「今日は、これで、終わりにしよう」
若菜・結弦「おやすみなさーい」
麻友「おやすみ」
現在2024年1月4日21時36分である。おしまい。