現在2023年8月21日11時37分である。(この投稿は、ほぼ5512文字)
麻友「昨日は、何時に寝たの?」
私「21時27分に、寝る前の薬のメールを、送っている。でも、眠ったのは、22時半頃だったんじゃないかな?」
若菜「はっきりしないのですか?」
私「人間、眠りに落ちた瞬間というのは、覚えていないものだろう」
結弦「そうかもね」
麻友「今日、起きたのは?」
私「8時57分に、一度起きている。朝の薬も飲んだが、また眠くて寝て、11時1分に、起きた」
麻友「太郎さんは、10時間以上、寝た方が、良いのかもね」
私「1日が、短くなっちゃうけどね」
結弦「それで、ツォルンの補題、倒すの?」
私「昨日の、順序と、全順序は、分かった?」
若菜「一応、分かったと思いますけど、まだ、定義があるのですか?」
私「あるんだ。
定義 極大元 最大元 (maximal,maximum)
ある順序集合 で、元 に、 となる、 が、存在しないとき、 は、順序集合 の極大元であるという。もし、任意の について、 なら、 は、順序集合 の、最大元であるという。
と、定める」
結弦「マキシマルっていうのと、マキシマムっていうのが、あるんだ。最大元は、分かるけど、極大元というのは?」
私「辞書を引いてみると、英語では、極大と最大が、ごっちゃになっていて、文脈で判断するみたい」
若菜「具体例を、見せて」
私「これくらいが、自分で具体例作れないと、困るんだが、昨日の、 の部分集合の話を、思い出してよ。これでは、
,,
だったし、
,,
だったから、 も含めて、 が、最大元だな」
麻友「それが、分からないのよ。なぜ、 なの?」
若菜「さすが、お母さん。一番聞きたかったことを、聞いてくれた」
私「えっ、ここで、躓いてる? そうなのか、そういうレヴェルなんだな。まず、『』の定義は、
なんだ」
麻友「 で、 に、元はありません」
私「 で、 の前件が、偽だったら?」
麻友「あっ、ならばの命題で、前件が偽だったら、その命題は、真なのだった」
若菜「お母さん、凄い。聞きにくかったことを、聞きだしてくれた」
結弦「そうすると、『 も含めて、 が、最大元だな』が、認められて、最大元が確定する。次は、極大元の例を欲しいけど」
私「今、 が、最大元だったな。この部分集合の集合から、 だけを、取り除いてご覧」
若菜「そうすると、 ですが、これ、最大元あるんでしょうかね?」
結弦「 だったりするから、 は、極大元でもない」
若菜「一方、 の3つには、それより大きい元はない。だとすると、この3つが、極大元? 1つに確定しなくても良いんだ」
私「そうだ。極大元は、いくつも存在しうる」
結弦「これで、定義は、おしまい?」
私「まだあるんだ。上界集合(upper bound set)というのがある。順序集合 があるとき、その部分集合、 を、考えよう。そして、 の上界集合を、
定義 上界集合(じょうかいしゅうごう)(upper bound set)
と、定める」
麻友「順序の記号、 というのを、不等号の記号 と、同じで、右側が開いているから、右側が、大きいと、暗黙の了解があると思って良いの?」
私「それについて、右が開いているからと、断っている本を、見たことないけど、大学1年生向けの易しい本なら、書いてあるのかも知れない。いずれにせよ、右側が大きいというように、取っておいて、大丈夫だよ」
結弦「おお、この本でゼミをやった、甲斐があった」
私「もう、キャパシティ越えているかも知れないが、もうひとつ頑張って。全順序部分集合という長い名前を、鎖(くさり)というひと言で、呼ぶことにするんだ。今後、鎖、鎖、と、何度も出て来る。鎖と言ったら、順序集合の部分集合で、全順序(どの2つも、比べられる。つまり、1列に並んでいる)集合を、思い浮かべて欲しい」
若菜「もういい加減、ツォルンの補題の、ステートメントを、見たいですが」
私「まず、分かっているだろうが、選択公理、或いは、選出公理と呼ばれる公理を認めないと、ツォルンの補題は、証明できない。だから、まず、選択公理のステートメントから、持ってくる。私のリンク集の『NKとBGの要約』から、BGsummary.pdfの、元の ファイルから、コピペして、$ を tex に、置き換えて、さあ出るか」
公理(XXI.選択公理)
ただし、存在してただ一つと言うことを、
と、表し、関数であるということは
と、定義する。
結弦「こういう風に、必要になったときに、自分の数学の基準を、持ってこられるように、化したんだね」
私「そう。ただ、このままでは、解読できないだろう」
若菜「記号が、3列も」
私「まず、一番下から、解読する。を、定義している。左辺は、 だと言ってる。2段目で定義するのだが、 というのは、 というビックリマークは、ただひとつというマークなのだ。だから、 は、ただひとつだけ が、存在するということなのだ。つまり、関数に と、 を、入れたとき、ひとつだけ、値が、決まりますよ。ということなんだ。記号の3列目は、そういう風に、 という記号は、 は、 から への、関数ですよ。と述べる記号を、定義したものなんだ」
結弦「これ、ちょっと、分からないよ。ここまで、記号だけにしないで、言葉で書いてよ」
私「『多様体、テンソル解析とその応用』を、訳したのがあるから、使ってみようか?」
が、空集合でない集合の集まりとするとき、少なくとも1つの関数。
が、あって、任意のに対し、となるようにできる。
結弦「そうじゃなくて、お父さんの言葉で、説明してよ。記号を並べられても、分からない」
私「そうか、つまりね、自然数の集合とか、整数の集合とか、有理数の集合とか、あるだろう。それらの集合から、ひとつずつ、要素を持ってくる。例えば、 みたいに」
結弦「それが、できるとか、できないとか、問題にしているの?」
私「まあ、有限個なら、ひとつずつ持ってくるのは、できて当たり前だよな」
若菜「無限個だと、できないんですか?」
私「自然数の集合と同じ量の、可算個なら、持って来ても、問題は起こらない。実際、数学者は、可算選択公理は、平気で使っている」
麻友「非可算個の集合から、1つずつ持ってくるというのが、問題なわけ?」
私「問題なんだな。それを、持ってこられるとすると、ルベーグ可測でない実数の部分集合が作れて、積分できなくなったり、バナッハ-タルスキのパラドックスが、産まれたりする。ただ、ここで、ひとつ重要なことを、言っておく。選択公理 は、 から独立なんだ。つまり、 が、無矛盾なら、 を、公理に加えても、無矛盾だし、 が、無矛盾なら、 の否定を加えても、無矛盾なんだ。だから、パラドックスみたいなものは、起きるけど、 を、使ってても、矛盾は起きないんだよ」
若菜「矛盾がおきると?」
私「 を、加えたために、矛盾が起きたとすると、論理学として、 は、偽な命題となってしまう。準背理法というものの結果だ。それから、 の否定を加えたために、矛盾したら、純粋に背理法で、 は、真となる」
結弦「そうすると?」
私「いずれにしても、矛盾が、公理から導かれたら、その公理系では、あらゆるものが、証明できてしまうので、数学を築くことは、できなくなるんだ」
麻友「太郎さんは、 の、立場? の立場?」
私「真理のカメさんの存在を、言うには、ツォルンの補題が、必要だから、 の立場にならざるを得ない。ただ、常に揺れている」
麻友「そうなのね。今日は、18時頃から、マックへ夕食食べに行って、小さい発見が、あったんでしょう。結弦に、話してあげて」
私「じゃあ、いったん解散」
現在2023年8月21日22時20分である。おしまい。