現在2023年9月7日18時41分である。(この投稿は、ほぼ2966文字)
麻友「ツォルンの補題、復活した!」
私「この証明、この本の他の証明と、何か違うと、思っていたら、テキスト本文に、
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Zermelo の整列可能定理(後の定理5.4)の証明のアイディアに基づいてこのような考え方を厳密化した Zorn の補題の証明が,Halmos の Naive Set Theory に出ているので,それを以下に紹介しよう.
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(『集合と位相』93ページ)
と、書いてある。著者も、良い証明を、思いつけなかったようだ」
結弦「次のページも、一応見せて」
私「はい」
若菜「もう1ページで、証明終わりなのでしょう。それも見せて」
私「はい」
麻友「証明が、悪いというの?」
私「いっとき、この証明の半分ぐらいの分量で、証明できるのではないかと、思い込んでいた。だが、私の証明には、誤りがあった。ブルバキにしても、ハルモスにしても、長い証明になるのは、当然のようだ」
麻友「少し進めてよ」
私「うん」
定理 5.1 (ツォルンの補題)
を、帰納的順序集合、 とすれば、 の極大元 で、 となるものが存在する。
定理 5.1の証明
はの鎖 とする. である.定理の仮定によって, の任意の元 に対して となる.もしも となるような があれば,定理は成り立つ.
私「1行ずつでも、進めよう」
麻友「それでも、良い」
私「もしかしたら、麻友さんは、私がここで、『てんで、分からないわ』なんて言わせて、証明を止めたら、がっかりするのかも、知れない」
麻友「あっ、本物の私が? 確かに、変わった人だからね」
私「気になるところ、聞いていいぞ」
若菜「 である.とありますが、そう、置くということですか?」
私「良いところ、聞いたね。これは、そう置く、という意味ではない。 の定義から言って、 が、 の元だと言っているんだ」
若菜「 の定義から言って、って、どこで、定義したんですか?」
私「この証明の最初だよ。 を、どう定義した?」
若菜「えっと、はの鎖 とする.と、定義した。でも、 なんて、ないけど」
私「うん。十分慣れていないね。まず、はの鎖 だけど、一応、こういう集合の書き方は、知ってるね」
若菜「縦棒の右側に、条件を書く」
私「そうだけど、実は、左側にも、条件を書いて良いんだ」
若菜「 の部分?」
私「そうだね。この集合の要素 は、 の元だ。と、読める」
若菜「集合 の、部分集合全体の集合の要素。つまり、その要素は、 の部分集合。そうすると、 は、 の元だから、 は、 の部分集合?」
私「そう」
若菜「だから、 の元?」
私「それは、まだ分からない。他に確かめるべき条件がある」
結弦「お姉ちゃんさあ、はの鎖 だけど、 が、標的なんじゃん。 の に、 を、入れちゃえば、条件1つクリアだよ」
若菜「 の、 に、 を代入? あっ、条件満たされる」
麻友「そうすると、最後の条件は、はの鎖 の部分だけど。これ、ずるいことが、できそうね」
私「やってみて」
麻友「 は、1個だけの元からなるから、自分だけで、順序集合を作れる。特に、自分だけだから、自分とは、常に比較でき、全順序集合。だから、順序集合 の全順序部分集合、つまり の鎖。これで、全部の条件が満たされ、 が、確かめられた」
若菜「えっ、3文字くらい進むのに、こんなに時間がかかるの?」
私「私も、大学に入ったばっかりのとき、1日に数学の本が、1行くらいしか、読めなくて、絶望したものだった。悲観することはない。スピードは、確実に上がる」
麻友「今日は、数学で、条件を1つずつ確かめるには、どうやるか、見せてもらったわね」
結弦「面白かったよ」
私「それじゃ、解散」
現在2023年9月7日22時04分である。おしまい。