女の人のところへ来たドラえもん

21歳の女の人と43歳の男の人が意気投合し、社会の矛盾に科学的に挑戦していく過程です。

持ち上がった卵(その2)

 現在2016年3月18日22時28分である。

 いらっしゃい。

「こんにちは。」

 麻友さん、やっぱり、『Momm!!』のアシスタントに、決定したんだね。

「どうして知ってるの?」

 今日、二本柱の会のマイページを見ていたら、来週の麻友さんの予定に、『Momm!!』が、書かれていた。

「ああ、情報が漏れているわけでは、ないのね。安心した。」

 でも、『UTAGE』から、『Momm!!』への移行って、どんな理由があったの?

「簡単にいうと、番組のサイズを小さくする必要があったのよね。」

 そういうことか。


 ところで、それと同じように、AKB48グループも、規模を大きくし過ぎるのは、危ないよ。

「発展させる必要があるから。」

 先日、母に、

『おじいちゃんの働いていたパン・アメリカン航空のように、アジア方面へまでどんどん会社を大きくするとさあ、最後に破綻するでしょ。』

と言ったら、

『だから、どうだっていうの?』

と聞いてきたので、

『AKB48グループもさあ、危ないのよ。』

と答えたんだ。そうしたら、

『そっから、AKBか。』

と、笑われてしまった。


「私、太郎さんのお母さまに、嫌われているのかしら。」

 嫌われる心配はない。

「そんな気休めを。」

 いや、これは、気休めでは、ないんだ。

 普通に考えたって、精神障害で一番重い、統合失調症になっていて、結婚なんてできないだろうと思っていた息子に、お嫁に来てくれる女の人がいるだけで、ありがたいのだから、嫌いになるはずはない。

 さらにそれ以上に、母は、結構賢いし、人に嫌がらせするような人ではない。

 そこへ持ってきて、母は、音楽の類い希な才能を持っているんだ。

 私が、今まで、麻友さんの歌唱力に辛くあたり、しごいてきたのは、ここに源流がある。

「どういうこと?」

 NHKで、『坂の上の雲』という司馬遼太郎の小説を元にした、連続ドラマが、あったでしょう。

「かなり、前ね。」

 あのエンディングに、『Stand Alone』という曲が、かかっていたんだ。

 私は、

『あー、良い曲だなあ。』

くらいにしか、思っていなかったのに、母は、

『3種類ある。最後の1つだけ駄目だ。』

と、言い出したんだ。

 調べることは、私は、大好きだから、あっという間に、


サラ・ブライトマン

森麻季

・麻衣


の3人の歌手を、探し出した。

 母が、駄目だといったのは、麻衣だと分かった。

 だが、麻衣は、『風の谷のナウシカ』のランランララランランランであり、私には、どこが悪いの?というほど、十分良い。

 しかし、音楽の才能のある、母にとって、この違いは、明瞭なのだ。

 だから、麻友さんにも

『『大人ジュエリービーンズ』を聴かせた後、『桜の花びらたち』を聴かせて、『こっちは良いじゃない。』という言葉を引き出したよ。』

と報告したように、母に麻友さんの歌を紹介するのは、ものすごく慎重にやっている。

 麻友さんが、プロの歌手であることは、良く分かっている。

 でも、私の母にとって、歌手とは、キャスリーン・バトルとか、サラ・ブライトマンなのだ。

「私、認めてもらえないかもね。」

 母は、耳は肥えてるけど、自分では歌わないの。

 だから、麻友さんが、歌うのを、意地悪したりはしないと思う。

 ただ、上手な歌手と認めてもらうのは、大変かも。

「そういうお母さまなのね。今日の主題は。」

 そうだよ。


 私が、幼稚園の年長の頃、父のクイズと前後して、こんなことがあった。

 幼稚園の先生が、その日見せてくれた写真入りの絵本の中に、大きめのコップに水を入れ、卵を沈めた写真があった。

 その本を、先生が読みながら説明してくれた。

 水に、塩を入れていくと、段々卵が浮き上がってくるというのだ。

 そして、本の写真には、コップの半分くらいまで、持ち上がってきている写真もあった。

 もっと塩を入れると、完全に水面まで浮くのだとあり、浮かんだ写真もあった。


 私は、子供ながらに、考えた。

『塩を入れていって、上に向かい始めたら、一気に水面まで行くのではないか。途中まで持ち上がって、そこで、止まるなんてことが、あるだろうか。あの写真は、上へ向かって動いている卵を撮ったものなのではないか。』


 今の最新のスマートフォンのデジタル写真では、画面に触ると、撮ったときの実際の動きをする動画が撮れているそうだから、あの時の私が、今の世界に生きていたら、写真を動かしてみたかも知れない。

 だが、そんな技術のなかった時代の私は、勝手な思い込みをしながら家に帰ってきた。

 そして、母にその話をしたのだ。

 そうしたら、母が、どうしたと思う?

「えっ、問題を解いてくれたの?」

 そうじゃないんだ。

 母はこう言ったんだ。


『その卵の実験、実際にやってみよう。』


「わー、素晴らしい、お母さまね。」

 なぜ、母が、あのとき、実験をすぐできたのかは、後で分かった。

「どうしてなの?」

 母は、大学で、工学部だったんだ。

 工学部なんていうところは、毎日のように実験をして、レポートを書くというのが、仕事みたいなものだ。

 だから、卵を塩水で浮かせることくらい、なんでもなくやってみせられたのだ。

「音楽の才能があるのに、工学部なの?」

 うーん。母は、音楽の素晴らしい才能を持っていたけど、楽器を演奏したり、歌うのは、それほど好きじゃなかったんだよ。

 その人が、何にお金を一番かけているかで、その人が何を好きか、分かると思う。

 麻友さんは、宝塚とかに足繁く通っていることから察するに、やっぱりお芝居、特にミュージカルが、好きなんだね。女優や、歌手にもなりたい。色々あっていいと思うよ。

 そういう意味で、母が一番好きなのは、お金もかけている、絵を描くことなんだ。

「絵が好きだったのに、どうして工学部なの?」

 これは、なまじっか優秀だったのと、母のお父さん、つまりパン・アメリカン航空で働いていた祖父の願いのためなんだ。

 母は、偶然高校受験で、慶應義塾高等学校に受かったために、高校大学一貫で、進むことができた。

「『偶然』なんて、悪いわよ。」

 いや、この『偶然』は、『成績が悪いのに偶然受かっちゃった。』という意味ではなく、『本当は、祖父が、都立のレヴェルの高い高校を受けさせるために、小手調べに、慶応を受けさせたら、受かっちゃった。』という意味なんだ。

「じゃあ、なんで、都立高校に行かなかったの?」

 そこに、関わっているのが、母の中学校の、担任の先生だったか、理科の先生だったかなんだ。

「どうして中学の先生が?」

 私の母は、結核も患い、体がとても弱かったんだ。子供も産めないだろうと、言われていた。

 母の体が弱い、という話は、今後も出てくるだろう。

「でも、確か、太郎さん3人兄弟よね。」

 母の体を丈夫にしたのは、私の父の方の功績なんだ。

「太郎さんのお父さまも、偉大なのね。」

 まあ、とにかく当時、体の弱かった母を見ていた先生が、母に、

『お父さまを、説得してあげます。』

といって、結婚するわけではなかったのだが、母の家にやって来て、

『お嬢さんの体では、苛酷な大学受験は乗り切れません。せっかく慶応高校に受かったのですから、このチャンスを活かして下さい。』

と、説得してくれたんだね。

「うわぁー、普通の家だったら、高校で慶応に受かったら、それで、大喜びなのに。東大でも目指してたの?」

 いや、そういうことじゃないんだ。

 私や麻友さんの時代と違って、1960年頃は、国立大学の学費は、慶応などの私立の学費の10分の1くらいだったんだ。

 母も、麻友さんも、3人姉妹で、麻友さんが末っ子であるのに対して、母は、長女だった。

 最終的に、3人とも、私立大学を卒業することになるのだが、いくらお給料の良い、パン・アメリカン航空だとは言っても、祖父も容易には、決断できなかったそうである。

「それでも、認めてくれたのね。」

 そう。ただ、これが、後で、響いてくる。


 祖父という人は、非常に苦学して、パイロットになったらしい。

 聞くところによると、父親の借金を返しながら、勉強していたそうで、完済したときは、地元の新聞に記事が出たそうである。

 そんな、祖父だから、航空工学、つまりなぜ飛行機は飛ぶのか、ということの、正規の教育を受けたかったと、ずっと思っていたらしいんだね。

「じゃあ、お母さまに、パイロットになれと言ったの?」

 そこまでは、言わなかった。ただ、

『工学部に行って欲しい。』

と言ったんだね。


「高校へ行くときの借りがあったから、断れなかった?」

 そこの詳細は知らないけど、母は、数学の才能ないのに、工学部へ行ったのは確かなんだよね。

「でも、内部進学でも、ある程度成績を見るから、成績優秀だったんでしょ。」


 あるとき、確か高校の頃だったと思うんだけど、近所に住んでいる母の知り合いが、高校で非常勤講師をするので、私に、高校の数学の教科書だったか物理の教科書だったかを貸して欲しいと言ってきた。

 私は、すぐ貸してあげた。

 それからしばらくして、母から、

『あの先生が、『子供達みんな、分かってないみたいですよ。難しすぎるんですね。』というようなこと言ってるの。お母さんも、昔だったらそうだと思ったけど、太郎という子供を産んで初めて、授業が本当に分かっている子供がいるんだって分かったのよね。』

と言われたのだった。

 それ以来、私は、

『母は、確かに、成績優秀だったが、一所懸命努力して辛うじて、維持していたんだなぁ。』

と気付き、数学のことで、あまりいじめなくなった。

 これは、母について麻友さんを安心させるために書いているのではなく、本当のことなんだ。


「それで、工学部にお母さまが行っていらしたことは、納得したけど、『卵の実験』は?」

 実際実験したらどうなったかは、次回ね。

「エーッ、詐欺!」

 私も、鬼!って怒りたい。

「何を?」

 昨日(2016年3月19日)の『AKB48SHOW』で、松村香織(まつむら かおり)さんを出演させて、キャバクラで働いていたSKE48(AKB48グループの1グループ)の人もいるのよ、と言わせるなんて。

「フッフッフッ。これを、どう思う?」

松村香織さんは、上品と言えるの?」

 一人一人を見ないで、上品かどうかなんて、完全には定められない。

 でも、もし『上品さ』というものが、数値で表せるなら、AKB48の女の子の平均と、キャバクラ嬢の平均を比べたら、絶対AKB48の女の子の平均の方が上にくると思う。

「そういう逃げ方をするの?」

 『上品さ』を数値で表すなんて、余りやりたくないな。

 偏差値世代の人間だけど、偏差値つけたくないものもある。

「反省すれば、よろしい。ところで、『AKB48SHOW』どうだった?」

 『君はメロディー』っていう歌、いいね!

「その一言を聞きたかったのよ。」

「その飾りのついていない一言が。」

 今日、特に、そう思った。

「二人の{\mathrm{favourite\ song}}が、もう一曲できたわね。」

 ちゃんと、イギリス英語を使えるようになってきてるね。

「エッ、どこが?」

 秋元さんは、{\mathrm{favorite\ song}}と綴っているじゃない。

「気付かなかった。意識はしてないのよ。」

 それで、いいんだ。今日も英語をやったので、これでお開きにしよう。

バイバイ

 バイバイ

 現在2016年3月21日0時55分である。おしまい。