現在2023年3月6日20時21分である。
麻友「妹さんって、司書をしてらっしゃる人よね」
私「そう。妹が、優秀なことは、過去形で語られることが、多く、あまり良い印象は、なかったかも知れない」
若菜「中学時代、関数の定義をばっちり試験で書いて、◯もらったとかですね」
私「私は、妹の良いところを、いくつも知っているが、明確に覚えているのは、幼稚園でのことだ」
結弦「その話、聞いたことあるのかなあ?」
私「この歳になると、どこでしゃべったか、分からなくなる。それは、私の幼稚園の年長のときの、お弁当のおかずにまで、遡る」
麻友「幼稚園のお弁当のおかずが、関係あるの?」
私「私は、幼稚園の年長のとき、ずっとさっちゃんの横にいたけれども、手をつないでいたわけではないので、多少は、離れることもあった」
若菜「筋金入りのストーカーですからね」
私「私が、年長のとき、幼稚園に、図書室ができた」
麻友「図書館好きなのは、幼稚園のときから!」
私「茶化すなよ。ある日、図書館が完成し、お昼ご飯の後、借りに行って良いと言われた」
若菜「それで、おかずですか?」
私「そんなにせかすな。食事後、図書館へ行き、この本を、選んだ。出来たばかりの図書室なので、本が少なく、1人1週間1冊だった」
麻友「『たんたんタグボート』、この本、小さいとき、見たことある。大のお友達の、豪華客船パシフィック号が、航海から、たんたんタグボートのいる港へ、帰ってくるのよね」
私「そう。非常に気に入ったので、その週、色んな書店を回って、探した。渋谷駅の書店の地下の絵本売り場で見つけ、『あったよ。あったよ』と、喜んだのは、良い思い出。そして、次の週には、同じのりものストーリーのシリーズの、
そして、翌週は、
を借りた。このとき、気になっていた本があった。シリーズではないが、似た内容の絵本、
多分これだったと思う。1976年のことだから、はっきりとは、覚えていない」
若菜「それを、借りるのに苦労したわけですね」
私「来週は、あの本を、借りるんだと、家で話していた」
結弦「それで?」
私「その借りに行ける日、母が、お弁当に、サトイモを入れていた。麻友さんなら分かるように、サトイモは、噛み下しにくくて、なかなか食べられない。先生が、『全部食べ終わらなければ、図書室に行っちゃいけませんよ』というので、ふうふう言って食べて、大分遅く、図書室へ行くと、『ばすくんのおむかえ』は、借りられてしまっていた。仕方なく他の本を借りて、家に帰って来て、『あのお芋のせいで』と、不満たらたらだった。私が、ガッカリしたのは、それが、卒園前の最後の図書室だったからでもあった」
麻友「確かに、太郎さん。本のことは、良く覚えているわね」
私「人間、幼稚園から、小学校に上がると、ガラッと気持ちが一新するものだ。もう、その本のことは、忘れていた」
若菜「そういうひとつのギャップを越えられないで、発達障害になる人も、多いようですが」
私「さて、私が、渋谷幼稚園を、卒園した年、2つ下の妹が、入園してきた」
麻友・若菜・結弦「わーっ、妹さんが、借りてきてくれた!」
私「そうなんだ。入園して最初の図書室の日に、『これ、読みたかったでしょ』と、借りてきてくれたんだ。どうして、これだと、分かったのか、よっぽど私の説明を聞いていたのだと思う」
麻友「良い妹さんね」
私「今日は、もう22時21分だ。眠いから、ここで、中断するよ」
若菜・結弦「おやすみなさーい」
麻友「おやすみ」
私「おやすみ」
現在2023年3月6日22時24分である。おしまい。