現在2016年5月18日21時58分である。
「あっ、生きてた。」
人を死人扱いして!
「いや、多分、生きてるだろうけど、また、入院したかな、と思って。」
早く寝る習慣をつけようと思って、涙ぐましい努力をしてたんだよ。
「まあ、22時なら、早く寝られる圏内ね。」
昨日と一昨日、ツイート出来なくてゴメン。
「ツイートしなかった分、早く寝たんでしょ。」
そういうこと。許してね。
「あらっ、もともと、太郎さんなんて、眼中にないし。」
宝塚の組のなかで、その名前が表しているものが、1個だけの組が一つだけあります。どの組でしょう?
「えっ、何、何?、ヅカで、1つの組?」
これは、絶対、食いついてくると思った。ヒヒヒ。
「花なんて、いくらでもあるでしょ。雪は、物質名詞かも知れないけど、今年も何度も降ったわよね。月!月は1個しかないわよね。分かった月組よ。」
ブー。
麻友さんは知らないかも知れないけど、地球の月は、1個だけど、木星の衛星を、『木星の月』なんて言い方をするので、月は、たくさんあるのです。
「あっ、ひどい。『木星の月』なんて知らないわよ。じゃあ、残ってるのは、星組。星はたくさんあるわよね。最後は、宙組(そらぐみ)。あっそうか。宙(そら)って、空(そら)じゃなくて、宇宙(うちゅう)だったんだっけ。ずるいこと考えたわね。」
いや、麻友さんは、本当は、間違えないはずだったんだ。
「間違えないって?」
この問題を考えたとき、私、いわゆる地球の月と、宇宙の2つが、どっちも1個で、答えになる、ということに、気付いてなかったんだ。
「いつ、気付いたの?」
『雪は、物質名詞かも知れないけど、今年も何度も降ったわよね。月!』まで、書いて、『月も1個だ。』と気付いたんだ。
「アッハッハッ。まだ、宝塚の訓練が、足りないのよ。」
機嫌を直したところで、これを利用して、算数入門をしよう。
「どうやって?」
私が、『1個だけの組が一つだけあります。』と言ったのに、実は、二組あった。
1個と言ったり、一つと言ったり、一組と言ったり、ややこしいけど、麻友さんには、どれも同じように、個数が1つのものを表す言葉だと分かるだろう。
「わざと、難しくしないで。」
ここで、わざと難しくしたのは、最初にボタンを掛け違うと、苦労するから。
「今、分からないと、駄目なの?」
もちろん、何度も色んなやり方で、説明する。でも、最初に分かれば、それに越したことないでしょ。
「まあ、そうだけど。」
麻友さんが、中学校の頃の参考書なんかは、一切、処分しちゃってて、数学を復習したくても、手掛かりがまったくない、というのなら、次の一冊は、かなり心強い味方になってくれると思う。
「数学だって、インターネットで調べれば、分かるんじゃないの?」
そう思うでしょ。実は、中学レヴェルの数学なら、
『三平方の定理』
とか
『円周角の定理』
などのように、使う定理の名前が分かっていれば、検索できるんだ。
ところが、
『こういう定理が成り立ちそうなんだけど、なんていう定理なのか分からない。』
ということが、数学では良くある。
学校にいれば、先生に聞けば、それで解決だけど、麻友さんの周りに、数学の先生は、今、いないでしょう。
「そういう場合を、考えてくれたのね。」
うん。
「それで、今、太郎さんは、何をしようとしているの?」
小学校や中学で習うのとは違うやり方で、算数を始めたいと思う。
「どうして、違うやり方をするの?」
麻友さんも、同じことを聞くんじゃ、退屈だろうと思って。
「退屈でもいいと思ってたんだけど。」
まったく違うわけじゃないんだ。学校と同じところもある。
とにかく麻友さんが、適度の緊張感を持って、読めるようにするよ。
「太郎さん、文系の女の子の数学の力、全然分かってないんだから。丁寧に説明してよ。」
私が、麻友さんに捧げる、作品を作っているつもりで、頑張るよ。
「2日間、寝ていた効果あったかもね。」
今日の最後に、『』の定義をしよう。
「やっと『1から始める数学』ね。」
定義 1
上の、
『1個と言ったり、一つと言ったり、一組と言ったり、ややこしいけど、麻友さんには、どれも同じように、個数が1つのものを表す言葉だと分かるだろう。』
という文章で使った、
『個数が1つのもの』
という言葉の、
『個数が1つ』
という抽象的概念を、
『』
と、表す。
通常は、これを、『いち』と読む。
定義 1 終わり
「こんなややこしいことするの?」
こういうものはねぇ、ちゃんと定義したぞ、という安心感を持てるかどうかが、すべてなんだ。
だから、ずさんな定義でも、本人が納得していれば、それでいいし、逆に、どんなに完璧に定義しても、本人の心がぐらついていたら、定義失格なんだ。
もし麻友さんが、上の定義に納得できなかったら、麻友さんなりに、『』というものを、他のものと区別できるように、定義しないとならない。
「えーっ、そんなことできない。」
こういう風に、麻友さんに麻友さんの数学を作らせて、それで、この世界を渡っていくところが、学校の算数や数学と違うところなんだ。
「でも、マジで、自分の数学なんて、築けない。」
じゃあ、最初は、私のを、お手本にしていると良い。
私は、無茶苦茶なことは、しないから。
「とりあえず、を定義したのが、今日の成果ね。月と宇宙の個数ね。」
やっぱり、優等生だな。飲み込みが速い。
「早く寝られそうね。」
うん。おやすみ。
「おやすみ。」
現在2016年5月19日0時30分である。おしまい。