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女の人のところへ来たドラえもん

21歳の女の人と43歳の男の人が意気投合し、社会の矛盾に科学的に挑戦していく過程です。

1から始める数学(その7)

 現在2016年5月18日21時58分である。

「あっ、生きてた。」

 人を死人扱いして!

「いや、多分、生きてるだろうけど、また、入院したかな、と思って。」

 早く寝る習慣をつけようと思って、涙ぐましい努力をしてたんだよ。

「まあ、22時なら、早く寝られる圏内ね。」

 昨日と一昨日、ツイート出来なくてゴメン。

「ツイートしなかった分、早く寝たんでしょ。」

 そういうこと。許してね。

「あらっ、もともと、太郎さんなんて、眼中にないし。」


 宝塚の組のなかで、その名前が表しているものが、1個だけの組が一つだけあります。どの組でしょう?

「えっ、何、何?、ヅカで、1つの組?」

 これは、絶対、食いついてくると思った。ヒヒヒ。

「花なんて、いくらでもあるでしょ。雪は、物質名詞かも知れないけど、今年も何度も降ったわよね。月!月は1個しかないわよね。分かった月組よ。」

 ブー。

 麻友さんは知らないかも知れないけど、地球の月は、1個だけど、木星の衛星を、『木星の月』なんて言い方をするので、月は、たくさんあるのです。

「あっ、ひどい。『木星の月』なんて知らないわよ。じゃあ、残ってるのは、星組。星はたくさんあるわよね。最後は、宙組(そらぐみ)。あっそうか。宙(そら)って、空(そら)じゃなくて、宇宙(うちゅう)だったんだっけ。ずるいこと考えたわね。」

 いや、麻友さんは、本当は、間違えないはずだったんだ。

「間違えないって?」

 この問題を考えたとき、私、いわゆる地球の月と、宇宙の2つが、どっちも1個で、答えになる、ということに、気付いてなかったんだ。

「いつ、気付いたの?」

 『雪は、物質名詞かも知れないけど、今年も何度も降ったわよね。月!』まで、書いて、『月も1個だ。』と気付いたんだ。

「アッハッハッ。まだ、宝塚の訓練が、足りないのよ。」


 機嫌を直したところで、これを利用して、算数入門をしよう。

「どうやって?」

 私が、『1個だけの組が一つだけあります。』と言ったのに、実は、二組あった。

 1個と言ったり、一つと言ったり、一組と言ったり、ややこしいけど、麻友さんには、どれも同じように、個数が1つのものを表す言葉だと分かるだろう。

「わざと、難しくしないで。」

 ここで、わざと難しくしたのは、最初にボタンを掛け違うと、苦労するから。

「今、分からないと、駄目なの?」

 もちろん、何度も色んなやり方で、説明する。でも、最初に分かれば、それに越したことないでしょ。

「まあ、そうだけど。」


 麻友さんが、中学校の頃の参考書なんかは、一切、処分しちゃってて、数学を復習したくても、手掛かりがまったくない、というのなら、次の一冊は、かなり心強い味方になってくれると思う。

増補改訂版 語りかける中学数学

増補改訂版 語りかける中学数学

「数学だって、インターネットで調べれば、分かるんじゃないの?」

 そう思うでしょ。実は、中学レヴェルの数学なら、

三平方の定理

とか

『円周角の定理』

などのように、使う定理の名前が分かっていれば、検索できるんだ。

 ところが、

『こういう定理が成り立ちそうなんだけど、なんていう定理なのか分からない。』

ということが、数学では良くある。

 学校にいれば、先生に聞けば、それで解決だけど、麻友さんの周りに、数学の先生は、今、いないでしょう。

「そういう場合を、考えてくれたのね。」

 うん。


「それで、今、太郎さんは、何をしようとしているの?」

 小学校や中学で習うのとは違うやり方で、算数を始めたいと思う。

「どうして、違うやり方をするの?」

 麻友さんも、同じことを聞くんじゃ、退屈だろうと思って。

「退屈でもいいと思ってたんだけど。」

 まったく違うわけじゃないんだ。学校と同じところもある。

 とにかく麻友さんが、適度の緊張感を持って、読めるようにするよ。

「太郎さん、文系の女の子の数学の力、全然分かってないんだから。丁寧に説明してよ。」

 私が、麻友さんに捧げる、作品を作っているつもりで、頑張るよ。

「2日間、寝ていた効果あったかもね。」

 今日の最後に、『{1}』の定義をしよう。

「やっと『1から始める数学』ね。」


 定義 1

 上の、

『1個と言ったり、一つと言ったり、一組と言ったり、ややこしいけど、麻友さんには、どれも同じように、個数が1つのものを表す言葉だと分かるだろう。』

という文章で使った、

『個数が1つのもの』

という言葉の、

『個数が1つ』

という抽象的概念を、

{1}

と、表す。

 通常は、これを、『いち』と読む。

 定義 1 終わり


「こんなややこしいことするの?」

 こういうものはねぇ、ちゃんと定義したぞ、という安心感を持てるかどうかが、すべてなんだ。

 だから、ずさんな定義でも、本人が納得していれば、それでいいし、逆に、どんなに完璧に定義しても、本人の心がぐらついていたら、定義失格なんだ。

 もし麻友さんが、上の定義に納得できなかったら、麻友さんなりに、『{1}』というものを、他のものと区別できるように、定義しないとならない。

「えーっ、そんなことできない。」

 こういう風に、麻友さんに麻友さんの数学を作らせて、それで、この世界を渡っていくところが、学校の算数や数学と違うところなんだ。

「でも、マジで、自分の数学なんて、築けない。」

 じゃあ、最初は、私のを、お手本にしていると良い。

 私は、無茶苦茶なことは、しないから。

「とりあえず、{1}を定義したのが、今日の成果ね。月と宇宙の個数ね。」

 やっぱり、優等生だな。飲み込みが速い。

「早く寝られそうね。」

 うん。おやすみ。

「おやすみ。」

 現在2016年5月19日0時30分である。おしまい。