女の人のところへ来たドラえもん

21歳の女の人と43歳の男の人が意気投合し、社会の矛盾に科学的に挑戦していく過程です。                    ブログの先頭に戻るには、表題のロゴをクリックして下さい。                                   数式の変形。必ずひと言、添えてよ。それを守ってくれたら、今後も数学に付き合ってあげる。

超実数そして実数(その11)

 現在2023年3月19日15時20分である。(この投稿は、ほぼ4788文字)

麻友「リターンマッチね」

私「本気でやるぞー。


 定義  対等

集合 {A} と、{B} の間に、全単射写像があるとき、{A ~ B} (AたいとうB)と書いて、{A} と、{B} は、対等であると言う。等濃度であるとも言う。


 定理(ベルンシュタインの定理)

 集合 {X,Y} に対し、{U \subset Y} と、{V \subset X} で、{X ~ U} であり、{Y ~ V} である、{U,V} が存在すれば、{X ~ Y} である。


証明したいのは、これだ。昨日のスキャン原稿を、もう一度持ってくると、

だったな」

私「838ページの下の絵を参考にしながら、まず、集合 {X} の方から、{Y} への全単射{f:X \to U} を、考える。{Y} の方で、太い線になっている {U} への関数が、{f} だ」

私「次に、集合 {Y} の方から、{X} への全単射{g:Y \to V} を、考える。{X} の方で、太い線になっている {V} への関数が、{g} だ」

私「ここまで、大丈夫か?」


若菜「一応、分かってます」

私「では、関数 {g} で、{Y} の元を、写すのではなく、{Y} の全部の元を写した集合を、{g(Y)} と、書くことにすると・・・」

結弦「なんで、そんな、紛らわしいことを、するの?」

私「これは、数学での慣習なんだよ。元を写しているのか、集合を写しているのかは、慣れれば、すぐ分かる」

麻友「確かに、難しさ3.ね。手加減なし」

私「関数 {g} で、{Y} の全部の元を写した集合を、{g(Y)} と、書くことにすると、スキャンした絵で、

{A_0 =X-g(Y)}

と、なっている」

結弦「分かるけどさ、もう少し絵を大きく描いて欲しかった」

私「済まない。さて、次に、

{B_0 =Y-f(X)}

とおく」

結弦「今回も、集合を写しているの?」

私「そう。文脈で、分かるだろう」

結弦「まあ、そうだな」

私「ここから、難しくなる。ダッシュ、あるいは、プライムが、付いたものと、付いていないものが、交互に現れる。

{A_0’ =f(A_0)} と、定義し、{B_0’=g(B_0)} と、定義する。

次に、

{A_1 =f(A_0’)} と、定義し、{B_1=g(B_0’)} と、定義する。

以下どんどん、定義して、

{A_{n+1}=g(A_n’)} と、{B_{n+1}=f(B_n’)}

{A_{n+1}’=f(A_{n+1})} と、{B_{n+1}’=g(B_{n+1})}

と、帰納的に、定める」

麻友「わーっ、全然分からない。太郎さん書いてて、分かっているの?」

私「こういうものは、ある程度、写して、一般的な式になってから、大丈夫かな? と、チェックするんだ。私だって、書いている最中は、分かってない」

若菜「結局分からないんじゃないか? なんて、心配にならないんですか?」

私「だから、信頼できる人の書いた本であることが、望ましいということになる。この後、やってみせる。まず、{n=0} とする。

{A_1=g(A_0’)} と、{B_1=f(B_0’)}

{A_1’=f(A_1)} と、{B_1’=g(B_1)}

これ見て、どう思う?」

若菜「上の2式は、『以下どんどん定義して』の言葉の上の2式と同じです」

私「そうだな。下の2式は、行き過ぎだな、{n=-1} と、すれば、良かった」

{A_0’=f(A_0)} と、{B_0’=g(B_0)}

私「と、すると?」

結弦「『次に』の上の式になった」

私「だから、{n} の最初の方は、定義通りなんだよ。後は、これが、well-defined であることを、証明する必要がある」

麻友「well-defined ? こんなの、どうやって」

私「良い例だから、丁寧に、やってみよう。

{A_0 =X-g(Y)} と、{B_0 =Y-f(X)}

だった。そして、

{A_0’ =f(A_0)} と、定義し、{B_0’=g(B_0)} と、定義した。

 この後、

{A_{n+1}=g(A_n’)} と、{B_{n+1}=f(B_n’)}

{A_{n+1}’=f(A_{n+1})} と、{B_{n+1}’=g(B_{n+1})}

と、なるのだった。もう一度スキャン原稿を持って来て、

ああ、この絵じゃ、分からない」

麻友「太郎さんの描きたい絵、描いてあげましょうか。

♪ キュアップラパッパ、はい!」


結弦「えっ、何、今の? 魔法!?」

若菜「お母さんのソロ曲に、『正しい魔法の使い方』っていうのが、ありました。お母さんは、魔法使いプリキュアの一員でしたね」

麻友「太郎さんの描きたい絵だから、あんなに下手なのよ。私だったら、もっと上手く描けるけどね」

私「これで、十分。これで、分かるように、{A_0} に、{f} そして、{g} と、行って戻ったものが、{A_1} になっている。一方、{A_0} を、{f} で、写したものが、{A_0’} だ。ところで、{B} の方も、同様。{B_0} に、{g} そして、{f} と、行って戻ったものが、{B_1} になっている」

麻友「そう、都合良く、隙間なく、並ぶのかしら?」

私「隙間に取り残されたような元は、どんどん右の方に、押しやられていく」

麻友「あっ、そういうこと?」


私「ここで、数学の証明で、よくやるんだけど、

{\displaystyle A=\bigcup_{n \in \omega} A_n, B=\bigcup_{n \in \omega} B_n,A’=\bigcup_{n \in \omega} A_n’,B’=\bigcup_{n \in \omega} B_n’}

と、おいて、

{C=X-A-B’,C’=Y-B-A’}

とすると、この、{C} と、{C’} が、右に追いやられて、最後まで残ってしまったものだ」

若菜「その、残ったもの同士は、同じ個数なんですかね?」

私「私のスキャン原稿を、見よう」

私「まず、定理の仮定から、{f} も、{g} も、全単射だから、特に単射で、{A_0’=f(A_0)} などという場合、{A_0’} と、{A_0} との個数は、無限大の場合も含めて、同じ個数である」

結弦「そうすると、

{|A_0|=|A_0’|=|A_1|=|A_1’|=|A_2|=|A_2’|=\cdots}

となるんだ。だって、単射なんだもん」

若菜「だとすると、

{|B_0|=|B_0’|=|B_1|=|B_1’|=|B_2|=|B_2’|=\cdots}

ですね」

私「ここで、トリックを使う。

{C=X-A-B’}

なんだろ。だから、

{X=A+B’+C}

 同様に、

{C’=Y-B-A’}

だったんだから、

{Y=A’+B+C’}

だ」

結弦「どう、トリック?」

私「まず、

{X=A+B’+C}

で、

{\displaystyle A=\bigcup_{n \in \omega} A_n}

だから、{f} が、全単射であることより、

{\displaystyle f(A)=f(\bigcup_{n \in \omega} A_n)=\bigcup_{n \in \omega} f(A_n)=\bigcup_{n \in \omega} A_n’=A’}

となる」

麻友「わかんなーい」

私「一つ目の等号は、いいな。二つ目は、{f}と、{\displaystyle \bigcup_{n \in \omega}} の交換。和集合取ってから、{f} で、写すのも、写してから和集合取るのも、同じだと言うこと。三つ目の等号は、{f(A_n)=A_n’} という定義。四つ目の等号は、{\displaystyle A’=\bigcup_{n \in \omega} A_n’} という、{A’} の定義を、使ったんだ」

麻友「難しさ3.の説明でも、地獄で仏に会ったような気分」

結弦「僕も、これくらい説明してもらわないと、分からない」

私「これは、説明しなきゃ、という場合には、手を貸すよ」

麻友「そうすると、{g} の方も、同じになるの?

{g(B)=B’}

って、いう風に?」

私「そう。同じ定義のものの場合、証明を省略しても、許される」

若菜「そうしますと、

{f(A)=A’,g(B)=B’}

で、{f} も、{g} も、単射ですから、濃度は、変わらず、{|A|=|A’|,|B|=|B’|}、と、なりますね」

結弦「トリックって、これ? 濃度について、

{|A+B’|=|A|+|B’|=|A’|+|B|=|A’+B|}

だから、

{X=A+B’+C}

と、

{Y=A’+B+C’}

だったから、これで、あと、{C} と、{C’} が、等濃度だったら、{|X|=|Y|} となる」

私「意味は、分かるんだけどね、{X} と、{Y} の間に、全単射を作らなければ、ならないんだ」

私「もう22時25分で眠い。明日以降、続きを書く。解散」

 現在2023年3月19日22時27分である。おしまい。