女の人のところへ来たドラえもん

21歳の女の人と43歳の男の人が意気投合し、社会の矛盾に科学的に挑戦していく過程です。                    ブログの先頭に戻るには、表題のロゴをクリックして下さい。                                   数式の変形。必ずひと言、添えてよ。それを守ってくれたら、今後も数学に付き合ってあげる。

真理のカメさん(その4)

 現在2019年10月28日16時19分である。

麻友「河東泰之(かわひがし やすゆき)さんって、ネットにも取り上げられるくらいの秀才じゃない」

私「そう。第1回セミナー参加時は、旧姓の浅野泰之(あさの やすゆき)さんだった。私は、数理の翼の第9回セミナーの参加者だから、湧源クラブでもっと知ってても良さそうだけど、向こうは東京大学で、こっちは京都大学で、当時はインターネットもなくて、余り知らなかった」

麻友「でも、今は知ってる」

私「それは、京都大学を中退した後、雑誌『数学セミナー』で、河東さんが自分のゼミでは、レポーターに、テキストもノートも何も持たせずに、話させていると書いていた。それに対し、『そんなゼミに付いて行かれる子がいるのか』と、批判してきた人がいると言って、『優秀なサラリーマンの平均的な労働量と同じだけの労力を、ゼミにかければ(具体的には、1週間100時間)十分付いてこられる』と、河東さんが反撃していた。私はそれを読んで、おっ、この先生、勉強させてくれそう。この研究室、受けてみようかな? と、思ったんだ」

麻友「太郎さんって、単位が取れるゼミじゃなくて、勉強できるゼミなのね。それで、なぜ河東さんが、超実数の講義をしたのかしら?」

私「これ、恐ろしい話なんだけど、齋藤正彦『超積と超準解析』(東京図書)は、あとがきを読むと、齋藤正彦さんが、


 倉田令二朗が私に超積や超準解析の面白さを吹込みはじめたのは十二,三年も前である.最初から私は興味をもち,理解したいと思った.しかし,超積の方はともかく,数学基礎論を知らなかったためか,超準解析はどうしても本当には理解できなかった.はじめてどうにか分ったと思ったのは,

[1] M. Machover & J. Hirschfeld ; Lectures on non-standard analysis. Springer Lecture Notes in Math. 94 (1969)

を読んでからである.


と述懐しているほどで、東京大学で優秀な先生でさえ、理解するのに何年もかかったことを、先生なりに、一冊の本としてまとめたものなのである」

麻友「それが、恐ろしいというのは?」

私「河東さんは、その本を、中学時代に読んでいたと、他のところで、書いてるんだ」

超積と超準解析―ノンスタンダード・アナリシス

超積と超準解析―ノンスタンダード・アナリシス

麻友「ちょっと聞きたいけど、太郎さんはいつその本に出会った?」

私「大学2回生のとき」

麻友「ああ、河東さんが、凄いっての、分かるわ。でも、それに、付いて行ってる、太郎さんも、半端じゃないわね。どうして、大学院へ行かなかったの?」

私「河東さんの専門は、作用素環論(さようそかんろん)というものなんだけど、どんなものか知らないから、偶然その頃開かれた、湧源クラブのセミナーで、河東さんも、講演するというから、申し込んで聞きに行ったんだ」

麻友「面白くなかったのね。分からなかったんじゃなくて?」

私「分からない講演ではなかったけど、この道に今後の人生かけるというほど、ワクワクがないな。と思って、2008年は、物理学科の大学院を受けたんだ。落ちたことは、前に書いたね」

麻友「今受けたら、東京大学の大学院、受かるかしら?」

私「そりゃー、程度を下げれば、受かるだろうけど、レヴェルの低いところには、行きたくない。それに、今はもうちょっと、予備知識を、補充しておきたい」

麻友「47歳にもなって、予備知識ね。その予備知識のひとつが、超準解析?」


私「じゃあ、昨日の続き、始めよう」



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超実数のルール作り

 実数の列を考えてそれを新しい超実数だと考えたいわけです.{(1,2,3,4,\cdots )} だとか {\displaystyle \biggl(1, \frac{1}{2}, \frac{1}{3}, \cdots \biggr)} といった素直な列だけを相手にして,{(1,0,1,0,\cdots )} みたいな振動する列は仲間に入れないというのが,素直なもっともらしい作戦ですね.だけどその「いい数列」のルールは簡単には作れないのです。例えばですね,

{x=(1,2,3,4, \cdots )}

補注
{y=(1,0,1,0, \cdots )}
注終わり

{x'=(2,2,4,4,6,6, \cdots )(=x+y)}

{x''=(3,4,7,8,11,12, \cdots)(=2x+y)}

を考えてみます.これらは単純な規則で作られているので,排除する理由はありませんね.しかし,超実数でも {2} 倍するとか引くとかは認められているので,{y=x''-2x} ですから {y} も超実数に入ってしまいます.問題のなさそうな数列から少し計算するだけで {(1,0,1,0,\cdots )} のようなものも出てきてしまいます。だから, {y} のような振動している数列を排除する規則を作ることは実際上不可能です.


新しい手段の発見

 仲間はずれの数列を排除する規則を作れないまま諦められていたのは 100 年くらい前の話です.20 世紀半ばになり新しい手段が発見されました.

 まず,{a=(1,0,0,0, \cdots )} を考え,同じように {1-a} を作ります。

{1-a=(0,1,1,1,\cdots )}

 すると

{a(1-a)=(0,0,0,0, \cdots )=0}

ですね。

 超実数も普通の実数と同じような性質があると考えると, 「かけて {0} ならば,どちらかが {0} 」というのは超実数でも成り立つはずなので, {a=0} または {1-a=0} となります。ですが,どちらかと言われたら {a=0} でしょうね.しかし,{a} は全ての項が {0} という数列とは違います.そうすると,もし超実数を数列をもとにして作ろうとしたら {(1,0,0,0, \cdots )} というのは全部の項が {0} である数列とは違うにもかかわらず,「同じ数」だと思わないといけないわけですね。つまり,違う数列でも同じ超実数と思わなくてはいけないことがあるのです.

 ここで初めて超実数をどういうふうに理論的に捉えればよいか実体が見えてきたので,超実数とは何か理論的に答えることができます.

 {\Rightarrow}数列全体を考えて,その中で「ある関係」にあるものどうしを同じと見なしたものが超実数である.


正しい捉え方

 無制限に数列全体を考えます. どんな変なものでも排除はしません.これが最初の重要な点ですね.次に,不適切な数列をはずすのではなく,「ある関係」で同一視 を行います.同じ関係にある数列どうしは全て同じ超実数であると考えます.そういうものの中に {0}{1} だとかも入っています.それは普通の実数ですが「ある関係」を考えることで無限大や無限小が入った普通の実数よりも広い範囲の超実数を作るというわけです.


「ある関係」とは

 「ある関係」とはいったいどのような性質を指すのでしょうか.実は,いろいろ試していくと必然的に決まってしまうので,最終的にそれを理論の定義にしましょう.

{a=(1,0,0,0, \cdots )}

を考えます.先ほど考えたようにして {a=0} としましょう.どんな超実数 {x} に関しても {0} を足しても {x} のままだから,逆に言えば {x}{(1,0,0,0, \cdots )} を足しても {x} になるはずです.例えば,

{x=(4,-3,2,10,5,\cdots )}

{a+x=(5,-3,2,10,5, \cdots )}

を見てみましょう.第 {1} 項だけ違っていて後はみな同じです.もちろん最初が違えば数列としては違うわけですが,{a=0} を足しているのだから {a+x}{x} も同じ超実数だと思わなくてはいけないわけです。同様に,

{b=(0,1,0,0,\cdots ), c=(1,1,0,0,\cdots)}

{0} だと考えられますから,{x+b}{x+c}{x} と等しいはずです.

 そこで,これからどんな超実数を同一視するのかについて考えてみましょう.

 数列 {x=(x_n),y=(y_n)} において互いに値の異なる項の数が有限個しかないと仮定し,{A=\{n|x_n \neq y_n \}} と置きます.

 例えば, {A=\{2,5,10 \}} の場合を考えてみましょう. このような超実数を引き算すると,

{x-y=(x_n-y_n)}
{=(0, \alpha ,0,0,\beta,0,0,0,0,\gamma,0,0,\cdots)}
      {(\alpha,\beta,\gamma \neq 0)}

右辺{=\alpha \times (0,1,0,\cdots )}
   {+ \beta \times (0,0,0,0,1,0,\cdots )}
   {+\gamma \times (0,\cdots, 1,0,\cdots)}

となります.ところがさっきの考え方に従うと {1}ヵ所だけ {1}が入っていて他は {0} である数列は {0} に等しいということだったので,右辺{=0} と思うべきでしょう。 すなわち,{x=y} です.

 そこで,{2} つの数列の食い違いが有限項だけであれば同じ超実数であると思わなければいけないということが導かれます.

 しかし,これだけでは同一視する条件としては足りないのです.


新しい考え方

 {F} という集合をこれから定めます.{F} というのは「小さい集合」の集合と考えたいわけですが,数列 {x}{y} についてさっき述べたように集合 {A} を定めて,{A \in F} の時に {x=y} と決めることにしたいと思います.


{F} の決め方

 {F} について期待される性質を先に考えます.

{A \in F,B \subset A \Rightarrow B \in F}

{A,B \in F \Rightarrow A \cup B \in  F}

{A}自然数の有限集合 {\Rightarrow A\in F}

 ①,②,③を満たすような集合 {F} は簡単に作れます. 有限集合を含むように {F} を決めるんだから,有限集合全体の集合を {F} と決めればこれらの規則は達成されていますね.簡単に確かめてみましょう.

①:有限集合の部分集合は有限集合であるので成り立つ.

②:有限集合 {A}{B} を持ってきたら合わせても有限集合なので成り立つ.

③:明らか.

 しかしこれでは不十分で,それをカバーするために④を考えなくてはいけません.


④の条件

{(0,1,0,1, \cdots)} というふうに {0}{1} とが無限に混ざっているものが問題なのでどうやってそれをクリアするか,もう少し一般的に考えましょう.

 自然数全体を2つの無限集合 {A,B} にわけます。偶数と奇数がその例です.その時重要なことはどちらも無限集合になるように分けるということです.

ここで数列 {(x_n)}{\left \{ \begin{array}{l} \displaystyle 0,~n \in A\\ 1,~n \in B \end{array} \right.} と定めます.これが表す超実数を {x} とおくと {x(1-x)=0} となります.しかし {x=0,1} のいずれかに決めたいですね. これは {A,B} のどちらが {F} に入るかで決まります.たとえば,{B \in F} だったら {x=0} であるというようにです.

 重要なことは{A,B} のどちらかが {F} に入るということです.もし {F}{A}{B} の両方が入ってしまえば,さっきの②より {A \cup B},すなわち自然数全体が {F} に入ってしまいます.言い換えると,すべての項が異なっている数列を同一視することになってしまいます.そうしたらどの数列も全部同じになってしまい無意味ですね.

 だから {A}{B} のどちらか一方だけが集合 {F} に入るようにしなくてはならないのです.しかし {A,B} のどちらを {F} に入れればいいのかは全然分かりません.区別する必然性が全くないですね.ではどうするかって言うとですね,どっちでもいいから勝手に自分で決めなさいというのが④です.

自然数全体を2つの無限集合 {A,B} に分けたときに,どんな分け方をしても必ずどちらか片方だけが {F} に入る.(どちらかを選ぶ理由はないので,勝手に決めてよい.)

 どちらの集合を {F} に入れるのか自分で勝手に決めるというのはある意味難しいことです.これが超実数を作る規則の最終的な答えだったので,長年考えられてこなかったのです.

 以上の①~④を満たす {F} が作れれば,上の方針にしたがって,超実数を作ることができます.

 では,④を満たす {F} を作れるのか確認しておきましょう.

①~④を満たす {F} の作り方

(i) {F_0} として有限集合全体をとる.(③までは成立するが④は満たしていない.)

(ii) 自然数全体を2つの無限集合 {A}{B} に分け,どちらか一方(例えば {A} ) を選んで {F_0},に追加する.そして、①,②が成り立つようにさらに {F_0} に適当な集合を追加する.
  
(iii) ④が成り立っているかどうか見る.成り立っていなければ (ii) に戻り,さっきとは別の方法で自然数{2} つの無限集合に分ける.

 この操作を「無限に繰り返す」ことによって,いつかは④が達成されるようになるというのが現代数学の基本的原理の一つです. これによって,上の {4} つの規則を満たすように作られた集合が {F} なのです. この {F} にしたがって数列全体で同一視を行って,超実数ができることになります.



質疑応答

・実在しないものを無理やり作っているという印象があるのですが,超実数を作る動機は何だったのですか?

───────超実数の理論は論理的には首尾一貫しているし,今のところあまり広くは扱われてはいませんが,それなりに数学での理論的な応用はあります.物理に応用するんだという人もいますが,まだ満足できるようにできているとは言い難いと思います.しかし,{100} 年か {200} 年後には超実数という考えは普通になっていき,昔からあったと感じるようになるかもしれませんね.


・この超実数に関して図形的なイメージを捉える写像や対応付けなどはあるのですか?

───────難しいでしょうね.普通の実数とはいろいろ違うので,数直線のようなイメージでこれが超実数だと表すことは出来ません.


・超実数が実用面として現実の世界に出てくるのはどういったところですか?

───────そういうダイレクトなものはありませんね. そもそも普通の実数だって,非常に小さい数が物理的対象に対応しているのかと言われると,量子力学的に観測可能な限界があるのだから,理論的な虚構とも言えます.完全に現実と対応しているわけではないのだけどあたかも対応していると思っていろいろな理論を創り,それがうまくいっているということです.だから超実数だって理論的に使って普通の物理現象が証明されれば自然界に出てくると理解されるでしょう.今のところそうはなっていませんが.

  *  *  *


 今年も8月上旬に第 22 回セミナーを開催する予定です. 現在,「湧源クラブ」の大学生を中心に準備を進めています。4月以降に高校や大学などを通じて参加者の募集をする予定です。詳しくは「数理の翼」夏季セミナーのホームページ(http://www.yugen.org/tsubasa/)をご覧ください。またセミナーについてのお問い合わせは,tsubasa@yugen.org までお願いいたします.


補注 上の数理の翼のリンクは、切れてしまっている。現在は、https://www.npo-tsubasa.jp/ を。或いは、『数理の翼』とググっても良い。メールアドレスも、変わってしまっているようだ。




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 以上、雑誌『大学への数学』(東京出版) 2001年 3月号 pp.62-65 より転載



麻友「これで、全部?」

私「4ページだから、もっとサクッと、行くかと思ったけど、2段組だし、数字ひとつひとつ、{\TeX} 化するの、結構時間掛かった」

麻友「あまり、無限大とか、出てこなかったけど」

私「これね、多分、講義の前半分だけなんだと思う。この後、演習の時間になって、それぞれが、『{F} を実際作ろう』と、試されたんだと思う。

麻友「④の条件が、難しいっていうけど、私には、①からして、難しいわ。それに、どれが、真理のカメさんなの?」

私「河東さんは、普通の数学者と逆な考え方を、したんだ。違っているところの番号の集合を、{A=\{n|x_n \neq y_n \}} などとして、この {A} が、{A \in F} となる。みたいにしたでしょ」

麻友「そうだったかしらね」

私「『超積と超準解析』の本では、等しいところの番号の集合を、{A=\{n|x_n = y_n \}} などとして、この {A} が、{A \in \mathscr{F}} の様に、{\mathscr{F}} に入っているとするんだ。だから、①,②,③の条件も、逆になる」

麻友「例えば?」

私「例えば、③は、{A} の補集合が、自然数の有限集合 {\Rightarrow A \in \mathscr{F}} .みたいに」

麻友「そのすっごい飾り文字、何?」

私「Fの花文字だよ、{\mathscr{F}} みたいに、理論の重要な役を果たす集合に、使われることが多い。なぜFかっていうと、{\mathscr{F}} って、数学でフィルターってものになってるからって、この話、以前したよね」

麻友「演習かー」

私「こういうものは、実際使ってみないと、実感も湧かないし、愛着も生まれない」

麻友「太郎さんも、私を抱いてくれないから、愛着も湧かない」

私「麻友さん。最新の『麻友63』のノートの決意文の出だし、どうなってるか、知ってる?」

麻友「なんか凄いの?」

私「『身体を見たり触りたいだけなんだと、気付いた2人の言葉』っていうんだ」

麻友「それを、言っちゃ、でも、それだけかもね。恋人って、なんのために、いるのかしら?」

私「一番困っているとき、そばに居てくれなきゃ、何の意味もないよね」

麻友「だったら、太郎さんは、失格ね」

私「麻友さん。誘拐されたのに、あらゆる通信手段がないなんていうとき、『太郎さん、助けて』と、必死に祈って! 閃きだけが命の私の脳に、その祈りが、絶対届いて、私ひとりとは、限らないけど、絶対救出に行くから」

麻友「一応、覚えておく」

私「神様に祈るとは、限らなくていいよ。麻友さんの祈れるものに」

麻友「あっ、そうか。真理のカメさんって、『ここと、ここと、ここが、等しいんですけど、この2つの超実数は、等しいですか?』って、聞いたとき、その集合を、自分が持ってたら、『等しいよ』と、お墨付きをくれるというカメさんなのね。絶対間違わない。だから、『真理』のカメさん。そのバリエーションが、無限個だから、これが真理のカメさんのひとつです、とは、持ってこられないのね」

私「そういうことだよ」

麻友「じゃあ、カメさんが、少なくとも一匹は、存在するっていうことも、証明できないのね?」

私「存在することは、証明できる」

麻友「あら、できるの。いつもの、選択公理?」

私「そう。ただ、この場合、自然数の集合の部分集合全体を考えるから、可算選択公理では、駄目で、一般の選択公理を、必要とするだろう。ベルナイス・ゲーデル集合論を、バリバリ使うこととなる」

麻友「その選択公理って、何をやりたくて、導入したの?」

私「昔、『SONY許せぬと書きたかったが3』という投稿で書いたけど、

 「ある国で、『どんな会社にも社長がいる。』という命題が成り立っていたとすると、その国では、『その国の誰の部下にもならないような人間が少なくとも一人いる。』という命題が成り立つ」

という当たり前に近いことを、証明したいときなんだ。正確には、

 定理 (ツォルンの補題

 順序の定義された集合Xで、Xの任意の全順序部分集合の上界が、Xに存在するとき、Xに少なくとも1つの極大元が存在する。


となる」

麻友「あっ、そうか。真理のカメさんは、何匹もいるけど、それぞれには、強弱関係がないんだ。だから、極大っていうんだ。最大なら、最大のものを持ってこれるけど、この場合、最大はなくて、極大だけなんだ。少し分かった」

私「じゃあ、そろそろ、寝るよ」

麻友「こういう高揚感は、子供にも味わって欲しいわね」

私「数学って、面白いだろ」

麻友「面白さが味わえるまでを、短くできないかしらね」

私「自分にウソをつかない、というのを、少なくとも数学では貫いて欲しい。それをやっていれば、数学は、絶対、数我苦にはならない」

麻友「私、あっちこっちで、ウソついてる。今から、謝りに回るの?」

私「後で、許してもらうためには、常に気にかけていなければならない。私なんて、大学1回生から、解けずにいた、『解析入門Ⅰ』の第Ⅰ章§3問題3)が、17年かけて、2018年4月12日に解けたなんてことも、あった」

麻友「数学の宿題って、歳を追うごとに、懐かしい思い出に、なるのよね~。太郎さんには、分からないかも知れないけど」

私「この私のことも、思い出してね」

麻友「そんな弱気でどうするの。じゃあ、おやすみ」

私「♡~」

 現在2019年10月28日23時10分である。おしまい。